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警備員でも残業代はもらえる!業務内容による違いや残業代の請求方法

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kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「警備員として働いて残業もたくさんしてきたのに、残業代がもらえていない。
会社に聞くと、警備員の業務は『監視・断続的労働』というものにあてはまるから残業代はもらえないというのが法律のルールらしい。
でも、それって本当なのかな?
警備員は残業代がもらえないものなのか、知りたい!」

「警備員は残業代がもらえないもの」という思い込みをしている警備員の方も多いかもしれません。
また、中には、会社にそのように言われているという方もいるかもしれません。
会社が残業代を支給しない理由として、「警備員の業務は『監視・断続的労働』にあたるからだ」ということを聞かされたことがある方もいるのではないでしょうか。

実は、警備員の業務は、全てが「監視・断続的労働」にあてはまるわけではありません。
「監視・断続的労働」にあたる警備員は、限定されています。

このため、警備員も、原則として他の職種の方と同様に残業代をもらうことができます。

このことを知っていれば、会社が「警備員は残業代が出ない」と間違った知識を教えてきたとしても、残業代がもらえると適切に判断し、請求することができるようになります。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 警備員の仕事の種類と勤務体制
  • 警備員の残業代ルール・残業代に関する注意点
  • 警備員の残業代が適正に支払われない場合の対処法
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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警備員の仕事の種類と勤務体制

警備員の種類や勤務体制について、ご説明します。

(1)警備員の仕事の種類とは?

警備員の仕事には、いくつかの種類があります。
具体的には、第1号業務から第4号業務までの4種類の業務があります。
これは、警備業法に基づいた区分です。

警備員の仕事の種類について、ご説明します。

(1-1)第1号業務

第1号業務とは、各種の施設における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務です。
各種の施設とは、具体的には、オフィスビルや住宅、スーパーなどの商業施設や遊園地などの施設です。

契約先の施設に警備員が常駐して、出入りの管理や巡回などの各種の業務を行う施設警備業務や、契約先施設に警備員が常駐せずに巡回などを行う巡回警備業務、百貨店やスーパーマーケットなどの商業施設において店内巡回やモニターによる監視などを行い、万引きなどの犯罪を防止する保安警備業務などが、第1号業務に含まれます。

(1-2)第2号業務

第2号業務とは、人や車両の雑踏する場所や通行に危険のある場所における事故の発生を警戒・防止する業務です。
第2号業務には、交通誘導警備業務、雑踏警備業務が含まれます。

交通誘導警備業務とは、道路工事現場や駐車場など交通に危険がある場所において、通行する人や車両の誘導を行うことで、交通安全を実現する業務です。
雑踏警備業務とは、コンサート、花火大会、夏祭りなどの不特定多数の人が集まるイベント場所において、規制や誘導、案内によって、人の混雑によって事故が発生することを防ぐ業務です。

(1-3)第3号業務

3号業務とは、運搬中の現金、貴金属、美術品などの盗難等を警戒・防止する業務です。

貴重品運搬業務などが第3号業務に含まれます。
貴重品運搬業務では、複数の警備員が連携して貴重品を目的地まで運搬します。

(1-4)第4号業務

第4号業務とは、人の身体に対して危害が加えられることを警戒・防止する業務です。

いわゆるボディーガードと呼ばれる身辺警備などが第4号業務に含まれます。
政財界の要人や芸能人、スポーツ選手などの著名人の身辺を警護する例が典型的です。

(2)警備員の勤務体制とは?

今の警備員の仕事は、夜勤も多く日勤と不規則に入り混じるので、体がしんどくもう辞めたいです。
日勤だけの警備員の仕事に転職したいのですが、あるでしょうか……?

警備員は基本的に2交代制などが取られているので、「日勤だけ」にこだわるとその分選べる仕事の幅は狭くなります。
「日勤だけ」の警備員の仕事が見つからなければ、警備員以外の仕事に転職することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

警備員は、基本的には交代制で働きます。
具体的には、日勤・夜勤の2交代制がとられることが多いです。
また、24時間警備をしなければならない現場では、1日8時間勤務の3交代制になることもあります。

警備員は、多くの場合、24時間365日稼働する必要があります。
このため、勤務時間の管理が複雑になりやすい職業であるといえます。

警備員の働き方として、「変形労働時間制」が採用されるケースもあります。

変形労働時間制とは、特定の日や週において法定労働時間(原則1日8時間、週40時間)を超えて働くことがあったとしても、労働時間を一定の期間内において平均したときに一定の基準内に収まっているのであれば、法定労働時間の規制に違反したことにならないという特殊な労働時間制のことです。

変形労働時間制について、詳しくはこちらをご覧ください。

変形労働時間制とは?種類やメリットとデメリットについて解説

警備員の残業代ルール・残業代に関する注意点

警備員の残業代ルールや残業代に関する注意点についてご説明します。

(1)警備員の残業代ルール

警備員も、通常の労働者と同様に残業をすれば残業代がもらえることに変わりはありません。

警備員には、基本的には通常の労働者と同じ残業代ルールが適用されます。
警備員だからといって一律に残業代がもらえないということはありません。

残業代ルールの基礎知識について、詳しくはこちらをご覧ください。

残業代の計算方法とは?残業代の基礎知識について弁護士が解説

もっとも、警備員特有の注意点もあります。
それは、警備員の業務は「監視または断続的労働」と「それ以外の労働」とに分類することができるということです。
警備員の残業代ルールを考えるにあたっては、この分類に着目することが大切です。

警備員の業務が「監視または断続的労働」にあたる場合には、残業をしても残業代をもらうことができません(労働基準法41条3号)。
このため、警備員の具体的な業務が「監視または断続的労働」にあたるかどうかが重要になります。

「監視または断続的労働」って、どういう仕事のこと?
言葉の響きからなんとなくは分かるけど……「監視」というなら警備員はだいたい何かを「監視」してるんじゃないの?

実は、「監視または断続的労働」にあたる業務はそれほど幅広くありません。
ある業務が「監視または断続的労働」にあたるかについては、いくつかのチェックポイントがあります。

「監視労働」、「断続的労働」、そして「それら以外の業務」について、詳しくご説明します。

(1-1)「監視労働」「断続的労働」の判断基準と残業代ルール

警備業務に関する「監視労働」「断続的労働」の判断基準は、「警備業者が行う警備業務に係る監視又は断続的労働の許可について」(平成5年2月24日基発第110号)という通達によって定められています。
この通達によれば、次の全ての要素を満たす場合に、「監視労働」にあたることとされています。

  • 一定の部署で監視することを業務として、基本的には身体の疲労や精神的な緊張が少ないものであること
  • 勤務場所が危険でなく、また、その環境に関する条件が温度・湿度・騒音・粉じん濃度などさまざまな点から見て有害でないこと
  • 一回の勤務の拘束時間(始業時刻から終業時刻まで)が、12時間以内であること
  • ある勤務と次の勤務との間に、10時間以上の休息時間が確保されていること

また、同様にこの通達によれば、次の全ての要素を満たす場合に、「断続的労働」にあたることとされています。

  • 原則としてほとんど労働する必要のない勤務で、定期的な巡視、施錠・開錠、非常事態対応などを業務内容とするもの
  • 一回の勤務の拘束時間(始業時刻から終業時刻まで)が、原則として12時間以内であること
  • ある勤務と次の勤務との間に、原則として10時間以上の休息時間が確保されていること

この基準を満たせば「監視労働」「断続的労働」にあたります。
もっとも、「監視労働」「断続的労働」として残業代がもらえないというルールが適用されるためには、労働基準監督署の審査を経て会社が許可を得なければなりません。
会社が労働基準監督署に申請しておらず、許可を得ていない場合には、たとえこれらの要素を満たしていても、会社は労働者に対して残業代を支払わなければなりません。

仮に監視労働・断続的労働にあたり、労働基準監督署の許可も得ているという場合には、残業に対しては割り増したりされていない通常の賃金が支払われます。
この場合でも、賃金の支払が全くなくなる(ただ働きになる)というわけではないので注意しましょう!

監視労働や断続的労働にあたらなかったり労働基準監督署の許可を得ていなかったりするのに、「監視労働・断続的労働にあたるから残業代の支払は不要」として会社が残業代を支払わないケースがあります。
しかし、それは間違いです。
このようなケースでは、会社に対して本来もらえるはずの残業代の支払を請求することができます

会社は「監視労働・断続的労働にあたるから残業代の支払は不要」と言っていましたが、いま説明を受けた内容を見ると私の仕事は「監視労働」「断続的労働」にはあたらなそうです。
かといって、会社に対して間違った考え方を直してもらうように言うのもなんだか難しそうですが……どうすればよいでしょう?

会社に対して間違った考え方を指摘して直してくれればそれが一番ですが、なかなかそううまくはいかないですよね。
間違った考え方で残業代を支払わない会社の下で働くのはやめて、思い切って転職活動をし、転職先を決めた後で残業代請求をするという方法もありますよ。

実際、転職や退職のタイミングで残業代請求をする方は多いですが、その際には「消滅時効」に注意する必要があります。一定期間を経過すると、消滅時効により残業代を請求することが難しくなってしまうためです。

(1-2)「監視労働」「断続的労働」以外の警備業務の残業代ルール

ある警備業務が「監視労働」「断続的労働」にあたらず、または会社が労働基準監督署の許可を得ていない場合には、通常の労働基準法が適用され、残業代をもらうことができます

残業代の基本的なルールを確認しておきたいな。
そもそも「残業」って法律的にはどのようなことのことなんだろう。
「残業」をするともらえる「残業代」とは、どのようなもののことなんだろう?

「残業」(時間外労働)とは、「法定労働時間」を超えた労働のことです。
「法定労働時間」とは、原則1日8時間・週40時間までの労働時間の上限のことです。

法定労働時間を超えて労働をした場合にもらうことができる賃金のことを、一般的に「残業代」と呼びます。
会社が労働者に残業代を支払う場合、通常の賃金とは異なり、一定の率で割り増した賃金(割増賃金)を支払わなければならないこととされています。

割増賃金の率は、次の表のとおりです。

割り増しの理由割増率
時間外労働(月60時間以下)25%以上
時間外労働(月60時間超)50%以上
休日労働(=法定休日に労働した場合)35%以上
深夜労働(=原則22~5時までの時間帯に労働した場合)25%以上
時間外労働(月60時間以下)+深夜労働50%以上
時間外労働(月60時間超)+深夜労働75%以上
休日労働+深夜労働60%以上

※時間外労働(月60時間超)の場合の割増率について、2023年4月1日より前までは中小企業への適用が猶予されています。
2023年4月1日からは、中小企業にも適用されます。
※各条件が重複する場合は、各割増率を足した率で計算されます。
例えば、時間外労働(月60時間以下)かつ深夜労働の部分には、25%+25%=50%の割増率が適用されます。

割増賃金の割増率について、詳しくは次のページをご覧ください。

「割増賃金率」とは?2023年4月からの引き上げも併せて解説

(2)警備員の待機時間・仮眠時間

警備員は、休憩時間を具体的に定めないで、代わりに勤務中の待機時間・仮眠時間が設定されることが多くあります。
この待機時間・仮眠時間は、労働時間に含まれないものとして扱われ、これに対する残業代が支払われないことも多いです。

もっとも、待機時間・仮眠時間が必ずしも労働時間に含まれないとされるわけではありません。
場合によっては、待機時間・仮眠時間であっても労働時間に含まれる可能性があります

待機時間・仮眠時間においても、緊急時にはいつでも勤務に復帰して相当な対応をすることが義務付けられていることがあり、警備員の場合は、そうした緊急時における即時の対応が義務付けられていることが多いでしょう。
緊急時における即時の対応が義務付けられていれば、業務から完全に離れている(労働からの解放が保障されている)とはいえないことがあります。
業務から完全に離れていると言えず、依然として使用者の指揮命令下で労働に従事していると判断される場合には、これらの時間も労働時間とみなされることになります。

待機時間・仮眠時間が労働時間とみなされる場合には、その時間に対して残業代を含む賃金を受け取ることができます。

いままで待機時間・仮眠時間は賃金がもらえなくて当たり前だと思っていました。
でも、賃金がもらえる場合もあるなら、しっかり賃金をもらいたいです。

待機時間・仮眠時間でも、仕事の内容に応じて賃金を支払ってくれる警備会社も存在します。
法律に従ってちゃんと賃金を支払ってくれる警備会社に転職するのも、取り得る選択肢のひとつですし、実際、退職や転職を決意したタイミングで残業代請求をする方は多いです。

警備員の残業代が適正に支払われない場合の対処法

警備員も、他の職種と同様に、残業代が適正に支払われないケースが多くあります。
例えば次のようなケースがあります。

  • 待機時間・仮眠時間について、実質的には業務から完全に解放されていないのに、賃金がもらえていない
  • 「監視労働」「断続的労働」の要件を満たさないのに、「監視労働」「断続的労働」にあたるとして残業代をもらえていない

このように、本来残業代がもらえるはずのケースで残業代がもらえていないという場合には、ぜひ会社に対して残業代を請求するべきです。

会社への残業代請求は、転職・退職後でもできます。
「会社に在籍し続けながら残業代請求をするのは気が引ける」「残業代を支払わないような会社とは決別したい」というような場合には、転職・退職の機会に残業代請求をするのがおすすめです。

転職・退職後でも残業代請求できるんですね!
それなら、在籍中に残業代請求するよりも請求しやすそうです。
ただ、そうはいっても元々いた会社に自分で請求をするというのはハードルが高いです……何かいい方法はないでしょうか?

残業代請求は、残業代請求を積極的に取り扱っている弁護士に相談・依頼し、弁護士を通して請求するという方法もありますよ。

弁護士に任せれば、あなたに代わって残業代を請求してくれます。

弁護士はちょっと敷居が高いです。
お金もかかりそうですし。
それでも弁護士に相談したほうがよいのでしょうか?

たしかに、弁護士は敷居が高くお金がかかるイメージがあり、なかなか気軽には相談・依頼できないですよね。
ですが、弁護士に残業代請求を任せることにはさまざまなメリットがあります。
思い切って弁護士に相談・依頼する価値はありますよ!

残業代請求を弁護士に相談・依頼するメリットには、次のようなものがあります。

  • 弁護士があなたに代わって会社に残業代を請求してくれるので、あなたが会社と直接やり取りをする負担が軽減される
  • 弁護士は法律の専門家なので、あなたの働き方が「監視労働」「断続的労働」にあたるかどうかや、待機時間・仮眠時間が労働時間とみなされるべきかどうかなどについて、法律的な観点から適切に判断してくれる
  • 効果的な証拠収集のアドバイスをしてくれる
  • 複雑な残業代計算をあなたの代わりにおこなってくれる
  • もしも会社が残業代の支払を拒絶して、裁判手続きを活用する必要が生じても、一貫してあなたの代理人として手続きを進めてくれる

弁護士に相談・依頼することで、実際に残業代トラブルを解決できた事例について、詳しくはこちらをご覧ください。

【まとめ】警備員も原則として他の職種と同様に残業代をもらえる

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 警備員も、通常の労働者と同様に残業をすれば残業代がもらえる。
    警備員特有の注意点として、「監視労働」「断続的労働」にあたり、かつ、会社が労働基準監督署の許可を得ていれば、残業代の支払は不要だが、そうでない場合には警備員でも残業代はもらえる。
  • 警備員の待機時間・仮眠時間についても、場合によっては労働時間に含まれる可能性がある。
  • 残業代請求は、弁護士に依頼するのがおすすめ。
    弁護士に依頼するメリットには、弁護士があなたに代わって会社に残業代を請求してくれるので、あなたが会社と直接やり取りをする負担が軽減されることなどがある。

警備員だからといって残業代がもらえないというのは、考えてみればおかしなことですよね。
警備員も、原則として他の職種と同様に、残業代をもらうことができます

例外的に残業代がもらえない「監視・断続的労働」のケースにあたるかどうかについても、厳しい基準があります。
自分では判断がつかないという場合には、積極的に弁護士に相談することがおすすめです。

もしも未払いの残業代をもらうことができたら、そのお金で日ごろの働きをねぎらっておいしいお酒を飲むことだってできますよ。
残業代請求は、ためらわずにやってみることが大切です。

アディーレ法律事務所は、そんな残業代請求のお手伝いをしている弁護士事務所です。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。

※以上につき、2022年10月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

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