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トラック運転手も残業代請求できる!よくある4つの誤りと請求方法を解説

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kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「トラック運転手として働いているけれど、荷待ち時間が長いこともあって、残業が多い!
荷待ち時間は休憩時間扱いにされていることが残業代が出ない一因だけど、それって本当に正しいのかな?残業代が請求できるのなら、請求したい!」

トラック運転手は残業が多くなりがちな代表的な職種です。
しかも、残業が多いにもかかわらず、さまざまな理由から残業代を適切に支払われていない方も多いです。

残業代が適切に支払われていない原因として、トラック運転手の残業に関するよくある4つの誤りがあります。
例えば、「荷待ち時間は一切労働時間として扱われない」は誤りです。

この記事を読んでわかること
  • トラック運転手の残業実態
  • トラック運転手の残業に関するよくある4つの誤り
  • トラック運転手の残業代請求の方法
  • トラック運転手の残業代請求の注意点
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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トラック運転手の残業実態

トラック運転手として働いてきましたが、長時間労働がつらく、もっと残業が少ない職場に転職しようと考えています。
実際のところ、世の中のトラック運転手はどれくらい残業しているのでしょうか?

トラック運転手の方は、多くの方が長時間労働をしています。
今の職場が長時間労働のつらい職場であれば、転職を考えるのもおかしなことではありません。

トラック運転手には、長時間労働の実態があります。
また、長時間労働の原因として、荷待ち時間の存在があります。
さらに、トラック運転手は時間外労働の上限規制の点でも残業が多くなりやすいです。

ここでは、トラック運転手の残業実態についてご説明します。

(1)トラック運転手の長時間労働と荷待ち時間

経済産業省が公表する資料(「トラック運送業会の2024年問題について」)によると、トラック運転手の年間労働時間は、全職業平均よりも大型トラック運転者で432時間(月36時間)、中小型トラック運転者で384時間(月32時間)長くなっています。

また、2021年度(令和3年度)の、時間外労働の上限を超える従業員の有無に関するアンケートの結果、時間外労働が年960時間超となるドライバーの有無について、「いる」と回答したのが全体の27.1%、長距離ドライバーでは48.1%にも及んでいます。

参考:トラック運送業界の2024年問題について(公益社団法人全日本トラック協会)|経済産業省

トラック運転手の長時間労働の要因のひとつとして、荷卸し場所での長時間の荷待ち時間・荷役作業が挙げられています。
荷待ち時間がない運行であれば、荷待ち時間のある運行に比べて、拘束時間が約2時間も短縮されます。

このように、荷待ち時間は、トラック運転手の労働時間を長くする代表的かつ特徴的な要因であるといえます。

(2)トラック運転手の時間外労働の上限規制

トラック運転手には、時間外労働の上限規制の面でも、時間外労働が長くなりやすい特有の事情があります。

そもそも、一般的に、会社は労働者に対して、残業(時間外労働・休日労働)をいくらでも無制限にさせることができるわけではありません。
残業には、「ここまでしか残業させることができない」という上限があります。
基本的に、会社は、この「時間外労働の上限規制」を超えて労働者を働かせることができません。
この上限規制に違反した会社に対しては、刑事罰が科されることもあります。

時間外労働の上限規制について、詳しくはこちらをご覧ください。

労働時間に「時間外労働の上限規制」超過の可能性があるときの対処法

一般的には、このように時間外労働の上限規制があります。
しかし、トラック運転手などを含む「自動車運転の業務」などについては、2024年3月31日までの間は、この上限規制が適用されないこととされています。

このように、現時点(2023年2月)ではトラック運転手には時間外労働の上限規制が適用されないために、トラック運転手の時間外労働が長時間になりやすいのです。
なお、2024年4月1日からは、トラック運転手などの自動車運転の業務についても最長で年960時間まで(休日労働を含まない)の上限規制が適用されます。

参考:運送事業者の皆様へ|厚生労働省

トラック運転手の残業に関するよくある4つの誤り

トラック運転手の方の残業に関しては、よくある4つの誤りがあります。

  • みなし残業代制(固定残業代制)だから残業代は出ない
  • 歩合制が採用されているから残業代は出ない
  • 会社から請負契約だと言われているから、残業代は出ない
  • 荷待ち時間は一切残業に含まれない

これらはいずれも誤りです。
これらの誤りについて、ご説明します。

(1)「トラック運転手は、みなし残業代制(固定残業代制)なら残業代は出ない」は誤り

「みなし残業代制」(固定残業代制)とは、あらかじめ一定の時間残業するものとみなしたうえで、それに対応した固定額の残業代を支払う制度のことです。

たとえば、みなし残業時間が10時間である場合、実際に残業した時間が9時間であったとしても、10時間残業したものとみなして残業代をもらうことができます。

トラック運転手によっては、みなし残業代制が採用されていることがあります。
そして、「みなし残業代制だから固定残業代以外の残業代は支払わなくてよい」と会社に主張され、固定残業代以外の残業代の支払を受けていないケースがあります。

しかし、「トラック運転手はみなし残業代制(固定残業代制)なら残業代は出ない」は誤りです。

みなし残業代制の下での残業代の支払が不適切なケースには、次の2つがあります。

  • そもそもみなし残業代制が無効となっており、有効な残業代の支払がなされていない
  • みなし残業代制は有効だが、みなし残業時間を超えて残業した分の残業代が支払われていない

これらのケースでは、いずれも会社に対して未払い残業代の請求をすることができます。

実際に発生した残業代が固定残業代を超過していれば、当然、超過分の残業代が支払われなければ、会社の対応は違法なのです。

(2)「トラック運転手は歩合制が採用されているから残業代は出ない」は誤り

トラック運転手の方は、会社から「歩合制(歩合給)が採用されているから残業代は出ない」と言われることがあります。
ですが、歩合給とは、労働時間に応じてではなく、労働の成果に応じて支給される賃金のことです。歩合給であっても、法定労働時間を超えて働いた場合には残業代が発生します。

トラック運転手の方も、1日8時間以上、または週に40時間以上働いている場合や休日・深夜に働いた場合には、原則として残業代が発生しますので、会社から「歩合給だから残業代は出ない」と言われてもすぐにあきらめないでください!

なお、トラック運転手の方で、「歩合給に固定残業代が含まれている」と会社から言われている方は多いです。

確かに、固定残業代に相当する労働時間内の残業であれば、基本的には、別途残業代は発生しません。

ですが、そもそも、会社が固定残業代制を採用する場合、そのことが契約書や就業規則などで明確に規定されていないといけません。

また、その際は単に「固定残業代制を採用する」と規定するだけでは足りず、「固定残業代として支払われる残業代の金額」「固定残業時間」「超過した残業代は別途支給すること」を、いずれも就業規則などに明記していなければいけません。さらに、基本給部分と固定残業代部分が明確に区別されていなければいけません。

会社によっては、これらの要件を満たしていない場合も少なくありませんので、トラック運転手の方で、ご自身のケースがどうなるのか分からない場合には、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。

(3)会社から言われた「トラック運転手は請負契約だから残業代は出ない」は誤り

トラック運転手の方は、会社から「請負契約だから残業代は出ない」などと言われている方も多いです。
「請負契約」とは、雇用契約と異なり、会社の従業員としてではなく個人事業主等として会社から一定の仕事を完成させることを請け負う契約形態のことです。

契約形態が「請負契約」になっているから会社は残業代を支払う必要がないと主張されることがあります。

たしかに、請負契約であれば会社の従業員ではないので、原則として賃金が支払われるわけではなく残業代という概念もありません。
仕事の完成に対して報酬が支払われるにとどまります。

しかし、契約形態が請負契約であったとしても、会社が労働者に対して残業代を支払わなければならないケースはあります。

そもそも、残業代を含めた賃金は、労働基準法上の「労働者」に対して支払われるものです。
そして、労働基準法上の「労働者」にあたるかどうかは、単に契約の形式的側面だけで判断するのではなく、労働の実態などさまざまな事情を考慮して実質的に判断されます。
実質的な判断の結果、契約形態が請負契約だったとしても、実質的には労働基準法上の「労働者」にあたると判断されることがあるのです。

労働基準法上の「労働者」にあたるかどうか(労働者性)を判断するにあたっては、会社の指揮命令下で従属的に労働しているのかどうかが重要なポイントとなります。

例えば、次のようなケースでは、労働者性が肯定される可能性があります。

  • 毎日の始業時刻・終業時刻やユニフォームなどについて会社から細かく指示を受けており従わなければならない
  • 会社から受け取る報酬から、所得税の源泉徴収をされていたり社会保険料等を控除されていた

労働者性が肯定される場合(労働基準法上の「労働者」にあたる場合)には、会社はトラック運転手に対して、請負契約という契約形式をとっていたことにかかわらず残業代を支払わなければなりません。

(4)「トラック運転手の荷待ち時間は一切労働時間として扱われない」は誤り

私の場合は荷待ち時間が長いのですが、荷待ち時間は一切労働時間として扱われてきませんでした。
そのことが嫌で今の職場から転職することも考えているのですが、実際のところ荷待ち時間は労働時間に含まれないものなのでしょうか?

荷待ち時間も、場合によっては労働時間に含まれます。
荷待ち時間を一切労働時間として扱わない職場は、不適切な労働時間管理をしている可能性もあります。

荷待ち時間が労働時間であるとみなされず、残業代が支給されないケースがあります。

荷待ち時間が労働時間ではなく休憩時間であるとみなされるための視点のひとつに、「客観的に見て労働からの解放が保障されていたか」という視点があります。
例えば、荷待ち時間であっても、荷主などの指示があれば、これに即時に対応する必要がある場合があります。

このような場合には、客観的に見て労働からの解放が保障されていたとはいえず、労働時間にあたると判断されます。
労働時間にあたると判断される以上、このような荷待ち時間は残業代支払の対象となることがあります。

荷待ち時間は、労働時間にあたるケースとそうでないケースがあります。
具体的な荷待ち時間がどちらのケースにあたるのかは、さまざまな事情を具体的に考慮して判断しなければなりません。
自分だけでは判断できないという場合には、弁護士に相談してみるのもおすすめです。

トラック運転手の残業代請求の方法

トラック運転手の方の残業代請求は、他の職種の方と同様に、次の手順で行います。

実際の残業時間に関する証拠を集める

未払いの残業代を計算する

会社に対して残業代を請求する

このうち、証拠収集と残業代計算についてご説明します。

特に、証拠収集についてはトラック運転手の方に特有の証拠があるので、ぜひ確認してみてください!

(1)手順1|実際の残業時間に関する証拠を集める

トラック運転手の残業代を請求するにあたっては、まず実際の残業時間に関する証拠を集める必要があります。
トラック運転手の場合、次のような証拠が有効になります。

  • タイムカード
  • タコグラフのデータ
  • 運転日報
  • 自分で出勤・退勤時刻を正確に記録した日記・メモ   など

タコグラフのデータや運転日報などは、特にトラック運転手の方などに特有の証拠です。
タコグラフのデータは客観性も高く、有力な証拠となりやすいです。
積極的にこれらの証拠を集めていきましょう!

これらのほかにも、残業代請求の証拠とできるものはいくつもあります。
未払い残業代請求で集めるべき証拠について、詳しくはこちらをご覧ください。

残業代請求に必要な証拠がどんなものかは分かりましたが、いま手元に十分な証拠がありません。
証拠がないから残業代請求できないのでしょうか?

いまあなたの手元に十分な証拠がなかったとしても、あきらめるのはまだ早いです!
あなたの手元に証拠がなくても、会社側に証拠が残されていることは多いです。
そのような場合には、会社に対して証拠の開示を請求するなど、いくつかの手段があります。
証拠の開示を請求するのは弁護士を通して行うとより効果的ですので、まずは弁護士に相談してみましょう。

手元に証拠がない場合の対処方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

未払い残業代の請求には証拠が必要!証拠がない場合の対処方法を紹介

(2)手順2|未払いの残業代を計算する

残業代の証拠が集まりました!
これをつきつければ、会社は残業代を支払ってくれるのでしょうか?

証拠を集めただけではまだ足りません。
証拠を基に、いったいいくらの残業代を請求できるのか計算する必要があるからです。
証拠をつきつければ会社が未払いの残業代を計算してくれるわけではないので注意しましょう。

残業の証拠を集めたら、次は未払いとなっている残業代を計算します。
雇用契約書や給与明細、就業規則などの証拠を基に、1時間当たりの基礎賃金を計算します。
そして、雇用契約書や就業規則などで定められた労働時間と実際の労働時間を照らし合わせて、残業代の未払いがどれだけあるかを計算します。

残業代の計算方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

残業代の計算方法とは?残業代の基礎知識について弁護士が解説

残業代は、頑張って自分で計算してみようかなあと思うのですが……難しいでしょうか?

実は、残業代を自分で計算するのはなかなか難しいです。
特に、トラック運転手の方の場合は歩合制が採用されていることが多くあります。
歩合制の場合には計算方法が特に複雑です。
ご自身で計算するよりも、残業代請求に慣れた弁護士に相談して任せることが、手間や時間の節約という観点からもおすすめですよ。

残業代の計算は弁護士に任せるのがおすすめですが、ご自身だけでもできる限り把握したいですよね。
そんなあなたのために、残業代を簡易に計算することができる「残業代かんたん計算ツール」というウェブサイトがあります。

「残業代かんたん計算ツール」を使えば、請求できる残業代を簡易的に計算することが可能です。
※あくまでも簡易的に計算するサイトなので、実際の請求額とは異なることがあります。

トラック運転手の残業代請求の注意点

今の職場から転職するタイミングで残業代請求をしてみようと思うのですが、退職後にはもう残業代請求ができないのでしょうか?

そんなことはありません。
退職後でも残業代請求はできます。
もっとも、退職後に残業代請求をする場合には、注意するべき点があります。

トラック運転手の方に限りませんが、残業代請求には注意点があります。
その最も大きなものが、「残業代請求には時効がある」ということです。

このことについてご説明します。

残業代請求には時効がある

残業代請求には、「ここまでの分までしかさかのぼって請求することができない」という「消滅時効」があります。

残業代請求の消滅時効は、次のとおりです。

  • 2020年3月31日までに支払日が到来する残業代:2年
  • 2020年4月1日以降に支払日が到来する残業代:3年

例えば、2022年6月25日が支払日である残業代は、何もしないまま放っておいて支払日から3年である2025年6月25日が経過すると、もはや請求することができなくなります。

トラック運転手の方は忙しくてなかなか残業代が請求できないということもあるかもしれません。
しかし、何もしないまま放っておくと、どんどん請求できたはずの残業代が消滅していってしまうことになりかねません。
請求できたはずの残業代が消滅していくことは、とてももったいないことですよね。
残業代が時効で消滅する前に、しっかりと会社に対して請求していきましょう!

【まとめ】「荷待ち時間は一切残業に含まれない」などは誤り

この記事のまとめは次のとおりです。

  • トラック運転手の長時間労働の原因には、荷待ち時間の存在がある。
    また、トラック運転手は時間外労働の上限規制が適用されない(2023年2月現在)ので、この点でも残業が多くなりやすい。

  • トラック運転手の残業に関して、いくつかのよくある誤りがある。
    例えば、「歩合制が採用されているから残業代は出ない」「荷待ち時間は一切残業に含まれない」などは誤り。

  • トラック運転手の残業代請求は、証拠集め→残業代計算→残業代請求の順で行う。
    実際の残業時間に関する証拠として、タイムカードやタコグラフのデータ、運転日報、ドライブレコーダーの記録などがある。

  • 残業代請求には2年または3年の消滅時効がある。
    何もしないまま消滅時効期間が経過すると残業代を請求することができなくなるので注意が必要。

トラック運転手の方は、ここまでに紹介したようなさまざまな誤解などから、残業代を適正にもらうことができていないことが多くあります。

トラック運転手などの運送業の方でも、残業代をもらうことはできます。
実際に、トラック運転手の方が残業代を請求して獲得した事例があります。

残業を伴う長時間のトラック運転はとても大変なもの。
そんな大変な労働をしたのに、残業代をもらえないのは、つらいことですよね。
未払いの残業代を請求して受け取ることができれば、その分のお金で新しく好きなものを買ったり生活費に充てたりすることもできますよ。

ぜひ、未払い残業代請求をしてみましょう。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2023年2月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

※トラック運転手の方を始めとするドライバーの方からは、現在多くのご依頼をいただいており、一時的にご相談をお断りさせていただくことがあります。

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