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破産管財人が選任されるのはどんなとき?破産管財人の業務内容や対応も解説

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自分で破産手続きを進めることもできますが、一般的には弁護士に相談・依頼します。
破産手続きを依頼した弁護士は、破産する人(破産者)の代理人として手続きを進めてくれる人です。
その弁護士と裁判所のやり取りだけで破産が終了することもありますが、手続きの種類によっては、もう1人弁護士が登場します。その弁護士が「破産管財人(はさんかんざいにん)」であり、裁判所から選任された人です。
今回は、破産管財人の業務内容などについて詳しくみていきましょう。

破産管財人とは?

破産管財人とは、法律上、「破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者」のことです(破産法2条12号)。
簡単に言うと、破産者の持っている財産を管理したり処分してお金に換えたりする人です。
もし回収可能な財産があれば、破産者に代わって、その財産を回収します。
たとえば、破産者が第三者に貸しているお金があれば、管財人が当該第三者から貸金の回収を図ったりします。

また破産手続においては、破産者の財産をできる限り換価し、債権者へ配当を行ったとしても、それだけで残った債務について返済義務を免除されるわけではありません。裁判所に免責(債務の支払義務を免除すること)の申立てをし、裁判所が免責の許可をして初めて返済義務が免除されます(そのため、個人が破産手続を行おうとする場合、破産手続開始の申立てと免責許可の申立てを同時に行うことになります)。

しかし,どのような場合でも免責を許可されるわけではなく、破産法では免責不許可事由というものが設けられています(破産法252条1項各号)。

そこで破産管財人は、支払義務の免除を認めてよいか、すなわち免責してよいかどうかの調査もします(なお、免責許可決定が出ても、税金など一部の負債の返済義務は免除されません)。

破産管財人は、公正・中立であることが求められ、(少額)管財と呼ばれる事件では、裁判所が破産管財人を選任します。
破産手続きの代理を依頼する弁護士と違って、破産管財人を破産者が自ら選ぶことはできません。

破産管財人が選任される理由

破産をすると、原則として生活に必要な範囲を超える財産を持ち続けておくことができません。
たとえば評価額が20万円を超える車は、お金に換えられて、債権者に配当される可能性があります。

しかし、その車を持ち続けたいと願う人の中には、その車を隠し通そうとする人がいます。
債権者からみると、貸したお金はほとんど返ってこないのに破産者は自分の好きなように財産を持つことができてしまうと、不公平になってしまいます。
そのような不公平な事態とならないように、破産管財人が選任されて財産の調査をします。

また例えば、破産をする人の中には、1000万円以上パチンコにつぎ込んだ結果破産をしようとする人や2000万円をFX取引で一瞬のうちに失ったので破産をしようとする人もいるかもしれません。

このように借金の原因が著しい浪費にあるような場合にまで、借金を免除するとあまりに債権者がかわいそうだといえるでしょう。

そのため破産管財人は、免責を認めてよいかを調査するのです。
財産の調査や免責の調査は、本来であれば裁判所が行えばよいことです。
しかし、裁判官の数に限りがあるので、その代わりとして破産管財人が選任されます。

破産管財人の業務内容

それでは、より詳しく破産管財人の業務をみていきましょう。

(1) 破産者の債務額の確定

破産管財人は、破産手続き開始前に破産者が有していた債務(破産債権)を調査します。
貸金業者からの借入額だけでなく、個人的な貸し借りや、家賃や通信料、光熱費などの滞納なども調べられます。
破産者が保有している財産を債権者らに配当する前提として、誰が債権者なのかを確定させなければなりません。また、抵当権や所有権留保など法律上、優先的に弁済を受けられる債権者が誰かも調査して確定させる必要があります。
手続きとしては、破産者に対して債権を有する人(破産債権者)が、裁判所に、債権の額・種類を記載した書面を提出し、破産管財はその債権の有無や額が正しいかを検討します。

破産者が知っていたのに申告していない債務については、返済義務を免除されず、自身で返済しなければならない可能性があります。

(2) 破産者が有していた資産の管理・処分・回収

破産管財人の最も重要な業務は、債権者により多くのお金を配当できるようにすることです。
破産手続きが開始されると、破産者が有していた財産は「破産財団」と呼ばれ、管財人が管理するようになります(99万円以下の現金など自由財産を除きます。なお、自由財産の範囲についての基準は裁判所によって異なります)。

その後、破産管財人は、無駄な支出をなくし、換価できるものは適正な価格でお金に換えます。

たとえば、破産者が自動車を持っていたとします。
破産管財人は、まず登録年数や走行距離、車種などから価格調査を行います。

東京地裁では減価償却期間が経過した車両(普通自動車であれば初度登録から6年、軽自動車であれば初度登録から4年経過したもの)は、資産価値がないものと扱われるのが一般的ですが、この期間を経過しても輸入車や人気のある車種などについては、複数の業者から査定を取得するなどして、できる限り高額で売却することを目指します。

車両が無価値であると判断されると、破産財団から放棄され破産者が管理処分できるようになります(破産者が法人である場合には、法人の消滅により所有者がいなくなるので破産管財人が廃車手続きを行います)。

無価値でなくとも評価額が一定額以下(東京地裁であれば20万円以下)の自動車であれば、自由財産拡張決定により自由財産として所持が認められることもあります。一定額を上回る評価額の場合でも、破産しても手元に残せる財産(自由財産)や第三者の援助などによって相当額の積立を行うことで維持ができる可能性もあります。

資産価値があり、かつ自由財産拡張などによっても維持が認められない自動車は、管財人によって売却、換価され、配当や管財人報酬に当てられることになります。(自動車ローン等が残っている場合、管財人による処分とは別に、所有権留保等により債権者が換価・処分する場合があります)

このように破産者が有する財産に応じて、破産管財人は管理・処分・回収を行います。

(3) 破産に至った経緯・原因の調査(免責調査)

破産管財人は、破産に至った経緯・原因について調査し、免責不許可事由があるかどうかを調査します。
免責不許可事由がなければ、免責が認められることになります。
実務で免責不許可事由として問題になる一例として、「浪費又は賭博その他の射幸行為」があります(破産法252条1項4号)。
簡単に言うと、たとえば競馬で1000万円使ったケースでは、免責を認めるかどうか慎重に検討する必要があるということです。

免責不許可事由がある場合には、裁量免責が相当かどうかを検討します。
具体的には、当該免責不許可事由が支払不能となった原因にどの程度影響を及ぼしたか、債権者が破産に反対しているか、破産者の現在の生活はどうか、破産者の反省の態度はどうかなどを踏まえて、免責を認めるかどうかを検討するのです。

たとえば収入の9割を競馬に費やして半年で破産に至った人と月に1度のペースで5000円だけ競馬に費やしてきた人とでは、免責を認めるかどうかの判断が異なります。
また、破産に至ったことを申し訳なく感じて質素に暮らしている人と破産のことを全く気にせずに贅沢三昧に暮らしている人とでも、免責を認めるかどうかの判断が異なります。

破産に至った経緯・原因に関すること以外にも免責不許可事由が定められており、このような免責不許可事由がないか、免責不許可事由があったとして裁量免責を認めてよいかどうかを調査し、裁判所に対して管財人としての意見を報告することも破産管財人の仕事です。

(4) 債権者集会

破産管財人は、債権者集会にて、財産や債務の調査状況や、破産に至った事情、配当可能性などの調査結果について報告します。
“債権者”集会と呼ばれていますが、通常、個人の破産の場合には、裁判官、破産者及び破産者代理人、破産管財人が出席し、債権者が来ることは少ないです。

債権者が出席した場合には、破産管財人はより詳しい説明を求められることがあります。また、場合によっては配当の可能性を中心に質疑応答の時間が設けられます。

通常、債権者集会は破産管財人が事前に提出した書面に基づき、簡単に報告して終了となります。1回の債権者集会までで破産管財人の調査が完了し,手続が終了することも多いですが、不動産の任意売却や過払金などの回収が終わっていない場合、引き続き破産者の生活態度を観察する必要がある場合等には、2回目以降の債権者集会が開催されることもあります。

管財人の調査が完了したら,完了した後の債権者集会において,配当を行うほどの財産がなければ破産手続は廃止となり(破産手続開始と同時に手続廃止となる同時廃止と異なり、「異時廃止」といいます)、配当を行うほどの財産があれば配当の手続に進みます。もっとも、個人が破産する場合、配当するほどの財産(破産財団)がない場合も多いです。

東京地裁の運用では。この集会において管財人が免責についての意見を述べることになります。

(5) 配当手続

管財人は債権者への配当を実施します。個人が破産する場合は、通常配当額が1000万円未満であり、この場合に通常行われるのが「少額型の簡易配当」です。

配当手続きが終わたら、任務終了計算報告集会において、破産管財人がその結果を報告して、すべての手続きが終了することになります(破産手続終結決定)。

破産管財人が選任された場合の対応方法

裁判所に申立てをすると、同時廃止または少額管財のいずれになるかが決まります。
破産管財人が選任されるのは、(少額)管財と呼ばれる手続きです。
高額の資産(東京地裁であれば、各資産類型ごとの合計20万円以上の資産)があるケースや免責不許可事由のあるケースでは、一般に(少額)管財となります。
逆に、主だった資産がない、浪費といった免責不許可事由がないなどの場合には、破産管財人の選任されない同時廃止と呼ばれる手続きで進められる可能性があります。

では、破産管財人が選任された場合、破産者にどのような義務が発生するのかを詳しくみていきましょう。

(1) 破産管財人の調査に協力しなければならない

破産者には、破産管財人の調査に協力する義務があります。
具体的には、例えば、重要な財産を自ら開示して、破産管財人の質問に正直に答えなければなりません。
また、破産者は管財人面接や債権者集会に出席する必要があります。

(2) 郵便物の転送

破産手続開始決定後、通常は手続が終了するまでの間、破産者宛の郵便物が破産管財人に転送され、その内容を確認されます。

(3) 転居・旅行・出張等の制限

破産手続開始決定後、通常は手続が終了するまでの間、転居・旅行出張等を行う場合には、原則として事前に破産管財人や裁判所の許可を得ることが必要となります。

自己破産申請の前に弁護士に相談する

自ら破産を申し立てた場合、自分一人で法律の専門家である破産管財人と交渉することになります。

破産管財人は中立的な立場であって、破産者の味方という立場ではありません。そこで、自己破産の申立てをする前に、自らの味方となってくれる弁護士に相談・依頼することも検討するとよいでしょう。

また少額管財は、専門家である弁護士が代理人として事前に調査した上で申立てをすることで、破産管財人の負担が軽くなることを前提とした制度となっています。そのため弁護士が代理人となっていない申立ての場合は、一般的に少額管財(裁判所により呼称は異なります)ではなく、特定管財(通常管財)と呼ばれる扱いとなり、特定管財となった場合は、少額管財よりも高額の予納金が課される傾向にあります(東京地裁であれば少額管財は20万円以上、通常管財は50万円以上。なお、少額管財に相当する制度がなく、通常管財しか存在しない裁判所もあります)。

その意味でも,弁護士費用をかけてでも弁護士に依頼するメリットがあることも多いです

【まとめ】自己破産で困ったらアディーレ法律事務所へ!

 破産管財人は、自己破産手続きの内、管財手続きというものになったときに、裁判所から選任される弁護士のことです。破産管財人は中立・公平な立場で、破産者の一定財産の管理・処分、免責調査などの業務をします。

 破産管財人は、代理人弁護士とは違い、「破産者の味方」という立場でないことに注意しましょう。

自己破産でお困りの方はアディーレ法律事務所へご相談ください。

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