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財産分与における共有財産とは?対象となる財産とならない財産を解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

離婚に伴う財産分与を行うにあたって、「共有財産」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

共有財産とは、夫婦二人で築き上げてきた財産のことを言い、財産分与の対象となります。
一方で、共有財産ではない財産は、財産分与の対象にはなりません。

離婚後の生活のため少しでも財産をもらっておくことを考えると、どういった財産が共有財産(財産分与の対象)となるのか、ならないのかを知っておくことはとても重要です。

実際に、どういった財産が共有財産となるのかをケース別に解説しますので、あなたが持っている財産であてはめて、共有財産にあたるのかを見ていきましょう。

受け取れる財産はしっかり受け取り、新しい人生へ一歩を踏み出しましょう。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 財産分与の概要
  • 共有財産になるものとならないもの
  • 財産分与に当たっての注意点
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

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離婚の財産分与とは

「財産分与」とは、離婚にあたり、夫婦で築いた財産(共有財産)を精算、分配することです。

財産というと、すぐにお金をイメージしてしまいますが、お金以外の財産も対象となります。

例えば、お金以外にも次のようなものも財産分与の対象となります。

  • 土地や建物などの不動産
  • 自動車
  • 家財道具
  • 飼っているペット
  • 投資信託などの有価証券、各種会員権
  • 夫婦の一方の退職金               など

実際にどのくらいの割合で財産を分けるかについては財産を築き上げた貢献度に応じて決まりますが、一般的には夫婦各々2分の1が原則です。

これは専業主婦や専業主夫の場合でも同じです。
家事労働によってもう一方の労働を支え夫婦の資産形成に貢献したと考えられているためです。

なお、離婚が成立後2年以内であれば、離婚後であっても財産分与を請求することができます。

離婚後の財産分与と時効について詳しくはこちらをご覧ください。

離婚後の財産分与の時効とは?期限経過後でも財産分与できるケースも紹介

財産分与の対象となるのは共有財産だけ

「共有財産」とは、婚姻中に夫婦が協力して形成・維持された財産のことをいい、財産分与の対象となります。

そして、どういった財産が「共有財産」にあたるかは、財産の名義によるのではなく、実質的な判断によります。

どういうことかというと、銀行口座や不動産などは名義が夫婦の一方であることが多いですが、それら名義の財産は名義人の物ということにはなりません。

名義が夫、妻のどちらであったとしても、実質的に見て、婚姻中に形成された財産と言えれば「共有財産」となります。

特有財産は財産分与の対象にならない

夫婦それぞれの個人的な財産である場合や婚姻中であっても夫婦の協力とは無関係に取得した財産は、「特有財産」とされ、財産分与の対象とはなりません(民法762条1項)。

(1-1)婚姻前から夫婦のどちらかが有していた財産

婚姻前から有していた財産は、財産分与の対象にはなりません。

例えば、独身時代に貯めてあった預貯金などです。
ただし、もともとは独身時代に築いた財産であっても、夫婦の協力で価値の維持や増加があった場合は、貢献度の割合で財産分与の対象になりえます。

(1-2)婚姻中に夫婦の協力とは無関係に取得した財産

婚姻中に夫婦の協力とは無関係に取得した財産も、財産分与の対象にはなりません。

例えば、婚姻中に家族から相続した不動産などです。

また、婚姻中であっても、別居後に取得した財産は、夫婦の協力とは無関係の財産とされています。そのため、離婚前であっても別居後に取得された財産については、財産分与の対象にはなりません。

【ケース別】共有財産の対象になるものとは?

次に挙げる財産についてケース別に財産分与の対象となるのかについて説明します。

  1. 預貯金
  2. 不動産
  3. 保険
  4. 有価証券
  5. 家財道具
  6. ローンなどの負債

財産というと、お金や不動産をイメージしますが、家財道具や借金も財産分与の対象となる財産です。

(1)預貯金

婚姻前に築いた預貯金は特有財産になりますが、婚姻後、毎月貯金をして貯めたお金は共有財産(財産分与の対象)になります。

預貯金の預け先が銀行などの金融機関ではなくても、関係ありません。
へそくりやタンス預金も、夫婦の家計に入れるべき財産ですから、共有財産となります。

(2)不動産

土地、建物を所有している場合、共有財産(財産分与の対象)になります。
婚姻中に夫婦の一方に黙って買ったアパートなどの不動産があれば、それも共有財産として財産分与の対象となります。

一方、どちらか一方が独身中に貯めた預金だけで不動産を購入した場合には、婚姻中に購入した不動産であっても、特有財産となり、財産分与の対象にはなりません。

(3)保険

婚姻中に加入した生命保険や学資保険なども、共有財産(財産分与の対象)となります。

財産分与する際には、離婚時に解約し、その解約払戻金を分割することが多いといえます。しかし、契約の継続を希望する場合には、保険金の受取人であり続ける側から相手に対して、一定の清算金が支払われる形で財産分与を行うことが一般的です。

離婚する時に学資保険について詳しくはこちらをご覧ください。

離婚する時に学資保険はどうする?損しない方法とは

(4)有価証券

婚姻中に購入した株式や国債も共有財産になります。
有価証券は評価額が変動するため、離婚が成立した時の評価額で財産分与することが一般的です。

(5)家財道具

婚姻中に購入した家具や家電も財産分与で分けておく必要があります。

貴金属や絵画、骨董品などの美術品は、売却、または査定で評価額を出したうえで金銭により精算することになります。

ペットも法律上は物として扱われることから、財産分与の対象となります。

(6)ローンなどの負債

住宅ローンや生活費のカードローンなど、夫婦双方のための借り入れは財産分与の対象となります。

住宅ローンの場合、購入当初よりも価格が下がっているのが一般的ですが、現在の住宅の評価額を考慮したうえで住宅ローンの残元金額を控除して財産分与を計算します。

一方、借金については、婚姻生活のために生じた借金であれば夫婦共同の債務として財産分与において考慮されます。しかし、例えばパチンコのための借り入れなどの個人的な借金は、財産分与においては考慮する必要はないとされています。

夫婦の共有財産(プラスの財産)と夫婦の債務(マイナスの財産)がある場合には、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた残額を分配するという処理がされることになります。
ただし、プラスの財産の総計よりもマイナスの財産の総計の方が多い場合には、超過負債分を財産分与として相手方に求めることはできないとされています。

オーバーローンの住宅についての財産分与についてくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

離婚時にオーバーローンの住宅はどうなる?財産分与とそのポイント

<コラム>共有財産の判断が難しい場合はどうすればいい?

共有財産となるか特有財産となるかハッキリしないものは、基本的に「共有財産」として財産分与を行います。

夫婦の財産が、特有財産かわからない場合には、「共有財産ではない」という反証がない限り「共有財産」として取り扱うこととされているからです(民法762条2項)。

特有財産として財産分与の対象外とする場合には、特有財産であることは立証する必要があります(特有財産であることに争いがある場合)。

財産分与をする時の注意すべき4つのこと

財産分与をする時に注意すべきことは次の4つです。

  1. 財産分与と慰謝料を区別するか話し合う
  2. 財産分与について公正証書を作成する
  3. 財産分与前に隠し財産がないか調べる
  4. 財産分与には、原則税金はかからない

それぞれ説明します。

(1)財産分与と慰謝料と区別するか話し合う

財産分与の話し合いにおいては、慰謝料の問題と区別せずにまとめて請求したり、支払いをしたりすることがあります。

「財産分与が慰謝料と一緒に清算するのか、しないのか。」
ここが不明瞭ですと、財産分与と慰謝料をまとめて清算したつもりだったのに、後から改めて「慰謝料」や「財産分与」の話を持ち出されてしまうなどのトラブルに繋がるおそれがあります。

(2)財産分与について「公正証書」を作成する

財産分与や慰謝料などについて夫婦で合意した場合には、決められた内容を口約束のままにせず公正証書を作成しておく方が良いでしょう。
そうすることにより、離婚した後にも離婚のときの約束を互いに確認できます。

公正証書は、法務省に属する機関である公証役場で公証人により作成される公文書のことです。

そのため、公正証書は信用性の高い文書であると考えられており、公正証書に執行受諾文言が付されていれば、財産分与や慰謝料の支払いが滞ったとき、裁判をしなくても強制的に支払いをさせること(財産を差し押さえすること)ができます。

公正証書について詳しくはこちらをご覧ください。

公正証書とは?作成するメリットや種類・作る手順を弁護士が詳しく解説

(3)財産分与前に隠し財産がないか調べる

お金の管理を夫婦のどちらか一方だけがしていた場合、本来は共有すべき夫婦の共有財産が隠されるケースも多く見られますので、財産分与前に隠し財産がないかを調べておきましょう。

特に危ないのは、離婚を切り出したことにより財産分与前に配偶者が財産隠しをしてしまうケースです。
例えば、夫名義のゴルフの会員権や、株式投資、保険会社の年金積立、会社の社内積立などは、知らない内に消えている可能性もあります。

離婚を切り出す前に、隠し財産がないか調べておくのが得策でしょう。
財産を把握するには、通帳のコピーや給与明細、不動産登記簿謄本、証券口座や保険の証券などが必要となりますので、しっかり確認しておきましょう。

財産分与の対象となる預貯金について詳しくはこちらをご覧ください。

(4)財産分与には、原則税金はかからない

財産分与によって多額の財産の移転が生じますが、原則税金かかりません。

ここでは、財産分与を受ける側とする側に分けて説明します。

(4-1)財産分与を受ける側

財産分与をされる側には原則として税金はかかりません。

なぜなら、財産分与とは、離婚によって生じた財産分与請求権に基づいて財産が分け与えるに過ぎず、贈与等によって財産を取得するものではないので贈与税の課税対象にはならないと考えられているからです。

ただ、財産分与を受ける側が受け取る額が多過ぎるような場合、離婚を手段とした贈与税逃れとされ贈与があったものとして取り扱われることが例外的にあるため注意が必要です。

不動産を分与された場合には、登録免許税、固定資産税といった税金がかかりますので、注意が必要です。

(4-2)財産分与をする側

財産分与をする側が、金銭で支払う場合には原則として税金はかかりません。

しかし、不動産など現金以外の物で財産分与をする場合は「譲渡所得税」がかかる場合があります。譲渡所得税の対象となるのは、所得税法上の「資産」であり、土地、建物、株式等、ゴルフ会員権などです。

参考:譲渡所得|国税庁

なお、財産分与時の時価が購入時に比較して高い場合、譲渡所得税を支払わなければならない可能性があります。

離婚時の財産分与に税金について詳しくはこちらをご覧ください。

離婚時の財産分与に税金はかかる?節税に使える制度も併せて解説

【まとめ】共有財産とは、夫婦二人で築き上げてきた財産のこと

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 「財産分与」とは、離婚にあたり、夫婦で築いた財産(共有財産)を精算、分配すること
  • 財産分与の対象となるのは「共有財産」だけで、「特有財産」は対象外になる。
  • 財産分与をする時の注意すべき4つのこと
  1. 財産分与と慰謝料を区別するか話し合う
  2. 財産分与について公正証書を作成する
  3. 財産分与前に隠し財産がないか調べる
  4. 財産分与には、原則税金はかからない

早く離婚したいからといって、財産分与を疎かにせずに、しっかりと財産分与によって経済基盤を確保し、幸先の良いスタートを取れるように準備するようにしましょう。

財産分与や共有財産のことで疑問点がある方は、離婚問題を取り扱う弁護士に相談することをおすすめします。

アディーレ法律事務所では、離婚問題のご相談を承っております(※)。
(※なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。)

また、アディーレ法律事務所では、安心してご依頼いただけるよう、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたしますので、費用倒れになることは原則ありません(2023年6月時点)。

離婚でお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所(フリーコール:0120-783-184)にご相談下さい。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

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※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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