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相続放棄ちょっと待って!回収できるかもしれない過払い金

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多額の借金がある可能性が高い、借金が財産よりも明らかに多いという場合には、「相続放棄」することで、借金の相続を避けることを検討されると思います。

しかし、金融業者からの借入れについては、請求書では借金があるように見えても、実は借主側から逆に請求可能な「過払い金」が発生している可能性があります。
しっかり調査することで、借金でなく、財産を相続することができるかもしれません。

この記事では、

  • 過払い金とは何か
  • 遺産に過払い金があるかどうかの調査方法

を解説します。

相続放棄について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

借金を残したまま死んだらどうなる?死ぬ前にとっておくべき対応などを解説

過払い金とは何か

過払い金とは簡単に言うと、「貸金業者に対して払い過ぎた利息」です。
この項目では、

  • 過払い金が発生する仕組み
  • 過払い金があるかどうかの目安
  • 発生した過払い金を回収可能かどうか

を説明します。

(1)過払い金はなぜ発生するのか

利息制限法においては、貸金業者がお金を貸す際の利息の上限が定められています(15~20%、利息制限法第1条各号)。

一方、かつての出資法では、上限金利は29.2%とされておりました。
そのため、利息制限法を超える出資法内の利率(グレーゾーン金利)が、広く用いられていました。

利息制限法違反の利率は、利息制限法の上限をオーバーしている部分(グレーゾーン)が無効となり、支払う必要がなかった金利が、「過払い金」になります。

(2)過払い金があるかどうかの目安

2010年6月18日以降の貸付において、通常の貸金業者は利息制限法に則った利率を設定するようになっています。
そのため、過払い金が発生している可能性が高いのは、2010年6月17日以前に開始した取引です。

また、過払い金を請求する権利は完済から10年間で時効にかかって消滅してしまいます(民法改正により、2020年4月1日以降に完済した取引については完済から10年、過払い金の請求が可能と知ってから5年のいずれか早い方となっています)。

よって、回収可能性があるのは完済した日から10年以内のものということになります。

過払い金がある可能性が高いのは……

  • 2010年6月17日以前に開始した取引
  • 完済してから10年以内の取引

過払い金があるかどうかの調査方法

過払い金があるかどうかは、貸金業者から取引履歴を取り寄せることにより調査します。

この項目では、遺産の中に過払い金があるかどうかを調べる方法と、注意点を説明します。

(1)相続放棄の期限には要注意!

相続放棄が可能な期間(熟慮期間といいます)には限りがあります。

自己のために相続の開始があったことを知ってから3ヶ月です(民法第915条1項)。

この期間内に被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申立てをしなければ、相続放棄は原則として不可能です。

そのため、過払い金があるかどうかはこの期間内にはっきりさせる必要があります。
3ヶ月を経過してしまうと、相続したことになり、過払い金がなかった場合には借金のみを相続することになりかねません。

3ヶ月では遺産の調査が終わらないという場合には、この期間内に相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立てを行い、期間を延ばすこともできます。

参照:相続の承認又は放棄の期間の伸長|裁判所 – Courts in Japan

(2)信用情報の開示請求を行う

請求書や通帳等で判明した貸金業者以外からも、被相続人が借入れをしているかもしれません。
借入先に漏れがないようにするため、

  • CIC
  • JICC
  • KSC

の3つの信用情報機関へ、相続人として被相続人の信用情報の開示請求を行います。

信用情報機関では、個人の借入れの状況等の情報(信用情報といいます)を管理しています。
ここに信用情報を照会することで、被相続人がどこの貸金業者を利用していたかを把握できます。

(3)取引履歴を取り寄せる

借入先を洗い出したら、それぞれの貸金業者から債務者の相続人として取引履歴を取り寄せます。

取引履歴には、借入日や利息、返済日、借入残高等が記載されており、これを元に過払い金がありそうかどうかある程度の判断は可能です。

(4)引き直し計算をする

取引履歴の記載事項をもとに、「引き直し計算」をします。
引き直し計算とは、利息制限法の利率に基づいて再計算して、過払い金がないかを算出するものです。

(5)過払い金については弁護士に相談するのがおすすめ

引き直し計算は、専門知識も必要で難しい一面があります。

相続放棄の期限のこともありますので、遺産の中の過払い金について気になった方は、早めに、弁護士に相談するのがお勧めです。

【まとめ】相続放棄の前に過払い金があるか調査する価値はある

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 過払い金は、2010年6月17日以前の取引で、完済から10年以内のものについて存在している可能性がある。
  • 相続放棄可能な期限(原則、自分が相続人と知ってから3ヶ月)に十分注意し、信用情報機関への照会で借入先を洗い出したうえで、借入先から取引履歴を取り寄せ、引き直し計算を行うことで見当をつける。間違いがないよう、弁護士に相談することがお勧め。
  • 調査した結果、過払い金がなければ、家庭裁判所で相続放棄の手続きをとる。
  • 相続放棄の期限に注意する。

「もしかしたら、遺産に過払い金があるかも」と思われた方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。