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過払い金請求の落とし穴!専門家に相談すべき3つの理由【アディーレの弁護士が解説】

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※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「昔の借金に過払い金がありそうだけど、過払い金って弁護士に相談した方が良い?」

過払い金の請求は、弁護士などの専門家に相談せず自分ですることも可能です。

ただし、貸金業者から過払い金を取り戻すことは決して簡単ではなく、いくつか気を付けなければいけない注意点があります。

このことを知らなければ、過払い金を取り戻すことができなくなったり、不当に低い金額の過払い金しか取り戻せなくなってしまうおそれがあります。

今回は、「過払い金を取り戻す際の注意点や専門家に相談すべき理由」について、アディーレの弁護士が解説します。

この記事を読んでわかること
  • 過払い金を取り戻せる可能性のある方の条件
  • 過払い金を取り戻すための流れ
  • 過払い金を請求する時の注意点
  • 過払い金の請求を専門家に相談すべき理由
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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『過払い金』とは?

過払い金とは、本来支払う必要がなかったのに、貸金業者に払い過ぎたお金です。

貸金業者とは、例えば、消費者金融からお金を借りた場合の消費者金融や、クレジットカード会社からキャッシングをした場合のクレジットカード会社です。

次の条件にいずれも当てはまる方は、貸金業者から過払い金を取り戻すことができる可能性があります。

・2010年(平成22年)6月17日以前に借入れを開始した
・最後に借入れ・返済をした日から10年(※)以内

(※)民法改正により、2020年4月1日以降に完済した取引については「完済から10年」、「過払い金の請求が可能と知ってから5年」のいずれか早い方となる可能性があります。

※貸金業者によっては、2010年6月17日以前から利息制限法の範囲内で貸付けをしており、同日以前の借入れについても過払い金が発生していないこともあります。

借入れをした時期や、最後に返済した時期などを正確に覚えている必要はありません。

これからご説明するとおり、基本的には、貸金業者から「取引履歴」を取り寄せれば、取引時期などは分かります。

過払い金を取り戻すための必要な手続は?

先ほどの条件に該当するという方は、まずはご自身の借入れに過払い金が発生しているかどうか調べてみましょう。
過払い金を取り戻すまでの大まかな流れは、次のとおりです。

【1】 貸金業者を特定して、『取引履歴』(*)を取り寄せる

消費者金融などは、合併や社名変更などにより名称が変わっていることがあります。破産などにより会社がなくなっていなければ、別の会社から取引履歴を取り寄せられることも多いです。かつて借金をした会社がない、という場合にもすぐにはあきらめず、調べてみることをお勧めします。

(*)取引履歴…貸金業者が持っている、借入れや返済などを記録した書面。貸金業者には開示義務があります。

【2】 『引き直し計算』をして、過払い金額を確定する

貸金業者から借入れ・返済した分を、利息制限法の上限金利(15~20%)に引き直して計算をし直す必要があります。これにより、利息制限法の上限を超えて貸金業者に支払った過払い金がいくらあるのか確定できます。

【3】 貸金業者に過払い金を請求する

過払い金額が確定すると、貸金業者に請求をします。請求方法は、まずは交渉で請求しますが、相手が請求に応じなかったり、金額に折り合いがつかない場合は、訴訟をして取り戻すこともあります。

過払い金請求の落とし穴!どんな点に注意が必要?

「過払い金請求なんて、自分でできるでしょ?」

貸金業者から過払い金を取り戻す場合、ご自身ですることもできます。
弁護士などの専門家に相談・依頼せず自分で取り戻せば、費用が安く済むというメリットは大きいです。

ただし、ご自身で過払い金を取り戻す際はくれぐれも次の落とし穴にご注意ください

(1)【過払い金の落とし穴:1】消滅時効に注意!

過払い金を取り戻す権利は、消滅時効にかかります。消滅時効期間が経過すると、過払い金を請求された貸金業者は「消滅時効が完成しているから払わない。」と主張することができます(時効の援用)。
そうなると、せっかく過払い金が発生していたとしても、時効が完成した部分については一切取り戻すことができません。

過払い金請求の消滅時効は、基本的に最後に取引した日から10年です。
(*2020年4月1日以降に完済した取引については「完済から10年」または「過払い金の請求が可能と知ってから5年」のいずれか早い方となる可能性があります。)

過払い金の取り戻しは、消滅時効により権利が消滅する前にしなければいけません。

具体的には、いつまでに、何をしないといけないのですか?

基本的には、消滅時効期間が過ぎるまでに、引き直し計算をした上で、少なくとも貸金業者に対して過払い金の請求をする必要があります。

さらに、貸金業者が過払い金の請求に応じない場合には、請求時点から一定期間内に訴訟を提起するなどの必要があります。

過払い金の消滅時効は、時効が完成する前であれば、時効の完成を阻止することができます。
「最後に取引をした時からもうすぐ10年近く経ちそう…。」そう思う方は、大至急過払い金を取り戻すことをお勧めします。

(2)【過払い金の落とし穴:2】引き直し計算は案外難しい!

「過払い金の計算は、取引履歴をソフトに入力すれば良いだけでしょ?」
そう思われる方もいらっしゃるでしょう。

確かに、過払い金を計算するソフトに、借入時期と金額・返済時期と金額をそれぞれ入力すれば、自動的に過払い金を計算してもらえます。

ただし、正確な過払い金額の算出には、借入・返済時期と各金額を全て正確に入力する必要がありますが、長年借金をしている場合などは、入力すべき取引が数百件以上になります。

借入・返済の時期や各金額の入力を間違えると、それ以降の全ての計算が狂ってしまい、正確な過払い金額が出てきません。

貸金業者によっては取引履歴の見方が複雑で、一見してどれが借入れ・返済か分からない書式を使っている業者もいますし、そもそも廃棄を理由に取引履歴の一部を開示しない業者もいます。

引き直し計算を間違えて貸金業者に過払い金を請求すると、業者から足元を見られるおそれもあります。

過払い金の取り戻しを依頼することを前提とする場合には引き直し計算を無料で行ってくれる弁護士も多いです。

ご自身で引き直し計算ができる自信がない場合には、専門家に依頼することをお勧めします。

(3)【過払い金の落とし穴:3】過払い金の取り戻しには争点も少なくない!

過払い金の取り戻しは、過払い金額が確定して貸金業者に請求すれば、すぐに支払われるとは限りません。少しでも返す過払い金を減らすべく、貸金業者も様々な主張をします。

例えば、「取引の分断」と言われる主張があります。
取引の分断とは、一定期間、取引のない期間があった場合に、その期間以前の取引と、その期間以後の取引は一体の取引ではなく、全く別の取引として扱うという主張です。

上の図の「先の取引」と「後の取引」は一体の取引ではなく、別個の取引と評価すべきという主張です。

「取引の分断」は、消滅時効の判断に大きな影響を及ぼします。
例えば、次のような取引 があったとします。

もし先の取引と後の取引が一体の取引だとすると、一連の取引で過払い金が発生していた場合、その消滅時効がスタートするのは、基本的には、最後の取引があった2017年4月1日からです。
ですから、先の取引で過払い金が発生していた場合、2027年4月1日までは消滅時効にかかりません。

他方、先の取引と後の取引が別個の取引だとすると、先の取引で発生した過払い金を取り戻す権利の消滅時効は2010年4月1日からスタートします。

そうすると、先の取引で過払い金が発生している場合であっても、その過払い金は2020年4月1日に消滅時効が完成していますので、それ以降は先の取引で発生していた過払い金を取り戻すことができなくなってしまうのです。

取引の分断が認められるかどうかは、取引がなかった期間などから判断されます。

貸金業者が取引の分断を主張しても、有効な反論ができるケースもありますので、すぐにあきらめないでください!

取引の分断について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

この取引は一連?分断?過払い金請求での7つの判断ポイント

(4)【過払い金の落とし穴:4】貸金業者との交渉は簡単ではない!

過払い金を取り戻すことは、借主の正当な権利です。
ですが、過払い金を請求されてすぐに返してくれる業者だけとは限りません。

貸金業者側も返す過払い金を減らすべく、取引の分断をはじめ様々な主張をします。

これに対して、適正な過払い金を取り戻すためには、これまでの裁判例を踏まえた有効な反論をしながら、交渉に応じない貸金業者に対しては、裁判をして過払い金を取り戻すかどうか検討しなければいけません。

交渉で過払い金を取り戻す方が、裁判をするよりは短い期間で済みますが、裁判をした方が、最終的に取り戻すことができる過払い金額が高くなる可能性があります。

過払い金を取り戻すために裁判をするかどうかは、過払い金に対する利息の金額や、貸金業者が交渉で返すと言っている過払い金の総額や、裁判のコストなどを慎重に検討して決める必要があるのです。

裁判までしたくないという方は、交渉で最大限の譲歩を貸金業者から引き出す必要があります!

過払い金の落とし穴!はまるとどうなる?

ご自分で過払い金を計算して、貸金業者から過払い金を取り戻すことは、簡単ではありません。
特に、今回ご説明した過払い金の時効には要注意です。消滅時効が完成してしまうと、その分について一切過払い金を取り戻すことができなくなります。

過払い金の請求に慣れた業者と個人では、交渉力にも差があります。

業者の主張に対して効果的な反論ができずに諦めてしまうと、本来取り戻すことができたはずの金額から大幅に減額された過払い金しか取り戻すことしかできないことになりかねません。

まずは、弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。

過払い金の取り戻しを専門家に相談すべき3つの理由

それでは、過払い金の取り戻しを専門家に相談すべき理由をご説明します。

(1)【相談すべき理由:1】煩雑な手続を任せることができること

過払い金の取り戻しを弁護士などに依頼する場合、取引履歴の取り寄せ➡引き直し計算➡過払い金額の確定➡貸金業者との交渉を、基本的には全て任せることができます。

特に、引き直し計算は煩雑でミスをしがちです。
過払い金の請求に慣れている弁護士などであれば、引き直し計算にも慣れていますから、 過払い金の計算を間違えることはありません。

また、消滅時効が迫っている場合も、弁護士などであれば、適切かつ迅速に時効の完成を阻止することができます。

貸金業者が過払い金を返さず、裁判をすることになっても、基本的に裁判所への書類の提出や出廷は弁護士に任せることができます。

当事者尋問など、どうしても本人が裁判所にいかなくてはいけなくなる場面もごくまれにありますが、弁護士に依頼することで裁判所にいかなくて良いケースが圧倒的に多くなります。

(2)【相談すべき理由:2】業者の主張に適切に対応できること

過払い金には「取引の分断」など争点も多いです。

取引の分断は、過払い金の中では比較的メジャーな争点ですが、それ以外にも、貸金業者ごとに独自の主張をすることも少なくありません。
業者が何らかの主張をしてきた場合、法律や裁判例などの専門的知識がないと適切に反論できないことも多いです。

過払い金の請求に慣れた弁護士などであれば、業者の主張が正当な主張かどうか判断し、不当な主張に対して適切に反論することができます。

(3)【相談すべき理由:3】業者と対等に交渉できること

貸金業者は過払い金の請求にも慣れており、過払い金を取り戻す側の個人とは経験や情報量などに圧倒的な差があることが多いです。

ご自身で貸金業者に過払い金を請求すると、特に、まだ借金が残っている場合に「ゼロ和解」を持ちかけられることがあります。

「ゼロ和解」とは、残っている借金を帳消しにする代わりに、過払い金も請求しないとする合意です。借金がなくなるのであれば、と思って業者と合意する方も多いですが、業者は、基本的には自社が損をする提案はしません。

弁護士などが貸金業者と交渉する場合、弁護士は、本来取り戻せる過払い金がいくらか正確に計算をした上で交渉しますので、業者の提案が、借主にとってどの程度不利なのかすぐに分かります。

もちろん、裁判をせずに交渉で過払い金を取り戻すために、ある程度、取り戻す過払い金額を譲歩することもあり得ます。

ただ、譲歩する場合であっても、裁判をして過払い金を取り戻すメリット・デメリットと、交渉で終了するメリット・デメリットをしっかり説明してもらえますから、それらを理解した上で業者と和解をするかどうか決めることができます。

【まとめ】過払い金を取り戻すことはあなたの正当な権利!まずは専門家に相談して、次のステップに進みましょう

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 過払い金を取り戻すことができる可能性のある方は、次のとおり。

  (1) 2010年(平成22年)6月17日以前に借入れを開始した
  (2) 最後に借入れ・返済をした日から10年以内(※)

(※)民法改正により、2020年4月1日以降に完済した取引については「完済から10年」、「過払い金の請求が可能と知ってから5年」のいずれか早い方となる可能性がある。

  • 過払い金を取り戻すには、まず、貸金業者から取引履歴を取り寄せて引き直し計算をした上で、金額を確定する必要がある。
  • 過払い金の注意点は、主に次の4つ。

  (1) 過払い金を取り戻す権利には消滅時効がある
  (2) 過払い金の引き直し計算はミスがしやすい
  (3) 過払い金の請求には争点も多い
  (4) 貸金業者との交渉は難しい

  • 過払い金の取り戻しを弁護士などの専門家に相談するメリットは、主に次の3つ。

  (1) 煩雑な手続を任せられる
  (2) 貸金業者の主張に適切に対応できる
  (3) 貸金業者と対等に交渉ができる

アディーレ法律事務所では、負債が残っている業者に対する過払い金返還請求をご依頼いただいたのに所定のメリットがなかった場合、当該手続にあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用を原則として全額ご返金しております。

また、完済した業者への過払い金返還請求の場合は、原則として、弁護士費用は回収した過払い金からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません(2023年5月時点。業者ごとに判断します)。

過払い金返還請求でお悩みの方は、過払い金返還請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。