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破産管財人による財産放棄|法人破産にも適用されるのか?

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自己破産手続きの中でも、(少額)管財事件と呼ばれる手続きでは、自己破産を依頼した弁護士のほかに「破産管財人」と呼ばれる弁護士が登場します。そして、破産者の財産の行く末は、“強力”な権限を持つ破産管財人に委ねられることになります(破産者の最低限の生活に必要なものを除く)。
今回、弁護士が解説するのは破産管財人の権限の1つ「財産放棄」です。

自己破産とは?

「自己破産」とは、財産、収入が不足し、借金返済の見込みがないこと(支払不能)を裁判所に認めてもらい、原則として、法律上、借金の支払い義務を免除してもらえる手続です。
簡単に言うと、客観的にみて借金の返済ができないので、借金を帳消しにしてもらう手続きです(ただし、滞納した税金の支払いなど一部の返済義務は自己破産をしても帳消しにはなりません)。

自己破産には、同時廃止事件と管財事件の2種類があり、最終的にいずれの手続きで進めるかは裁判所が判断します。例えば東京地裁で管財事件となってしまう可能性が高いのは、次のケースです。

  • 隠し財産があると疑われるケース
  • 33万円以上の現金のあるケース
  • ギャンブルなど収入に見合わない浪費行為をして借金が増えてしまったケース
  • 不動産や自動車や保険の解約返戻金など現金以外で20万円以上の価値のつく財産を持っているケース
  • 法人の代表者や自営業者のケース(かつてこれらの立場だった者も含まれます)
  • 弁護士に自己破産を依頼した後一部の人にだけ借金を返済してしまったケース

これらは一例にすぎず、破産を申立てる裁判所の運用によっても異なります。

管財事件の中には、予納金の額を低額に抑えた少額管財と呼ばれる事件があります。
個人の破産手続きでは、同時廃止として手続きを進めることができないケースであっても、弁護士に依頼して破産を申立てる限り、多くの場合が“少額”管財となります。

破産管財人とは?

破産管財人とは、法律上、「破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者」のことです(破産法2条12号)。
簡単に言うと、破産者の持っている財産を管理したり売却してお金に換えたりする人です。
もし回収可能な財産があれば、破産者に代わって、その財産を回収します。
たとえば、未払い賃金があれば、場合によっては雇い主に裁判を提起するなどして回収します。
そのほか、破産を認めてよいか(免責)の調査もします。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

破産管財人に管理・処分を委ねられる財産とは

債権者は、債務者に破産手続きをされると、貸したお金を取り戻すことができません。もし債務者に財産があるなら、「可能な限りで払って!」と思うでしょう。
そこで、生活に必要な範囲を超える財産をお金に換えて債権者に配る必要が生じます。
このように債権者に配当するための元手を「破産財団」といいます。

破産法34条1項では、破産財団に関して次のように規定されています。

破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。

引用:破産法34条1項

「一切の財産」というと全ての財産ですが、例外的に破産財団にならない財産もあり、それを自由財産と呼んでいます。自由財産には以下のようなものがあります。

  1. 差押え禁止財産
    ただし、現金については差押え禁止財産である66万円の1.5倍の99万円までが自由財産とされています(破産法34条3項)。これらを「本来的自由財産」といいます。
  2. 破産手続開始後に破産者が取得した財産
  3. 破産管財人が破産財団から放棄した財産

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

破産管財人による破産財団からの財産放棄とは

破産管財人は、原則として、破産者に意見を聴いたうえで、裁判所の許可を得て、権利の放棄をすることができます(破産法78条2項12号)。ここにいう「放棄」には、債務免除や所有権放棄などだけでなく、訴えの取下げや請求の放棄なども含まれます。

もし破産管財人が裁判所の許可を得ずに権利を放棄した場合、その行為は無効となります(破産法78条5項)。裁判所の許可がないことを知らなかった第三者を保護する規定はあるものの、この第三者に破産者は含まれないとされています。

さて、今回メインテーマとなるのは「財産放棄(財団からの放棄)」です。
放棄された財産は、自由財産に該当し、破産者の手元に残ります。
破産者が個人であれば、元々破産者が管理していたものを破産者に戻すだけですから特段問題はありません。これに対して、破産者が法人であれば、倒産とともに会社自体が消滅してしまいますから、放棄された財産をどのように管理するかが問題になります。

法人破産・会社破産における破産管財人による放棄

たとえば、こんなケースを想定してみましょう。

不動産業を営んでいたA社は、資金繰りができなくなって、破産手続きの開始決定を受けました。A社の破産管財人は、抵当権を設定され賃料を差し押さえられ続けているXビルの任意売却を試みたものの功を奏さず、放棄したいと考えています。

この状況では賃料収入を得られない一方、管理・修繕コストがかかり、Xビルは保有しているだけで財産を減らし続ける要因となります。
そこで、破産管財人は財団からの放棄を検討します。

会社は、破産手続開始決定により解散し(会社法471条5号、641条6号)、財団から放棄された財産は清算法人に帰属します。一方、会社と取締役の関係は委任関係である(会社法330条)ため、破産手続き開始決定を受けたことにより、委任契約は当然に終了します(民法653条2項)。そうすると、法人破産の場合には、破産管財人が放棄すると、事実上管理者がいなくなってしまいます。

たとえば、Xビルが今にも倒壊しそうな状況であればどうでしょうか。
そのような状況なのに管理者がいなくなれば、万が一の時に責任を負う人が事実上いなくなるという事態になりかねません。そうすると財団から放棄することによって損害賠償責任を早く逃れることが重要なのではなく、破産法人の社会的責任などを含めて慎重に検討することが大切になります。

一般的に、法人破産の場合、財団から放棄されるのはごく例外的な場合に限られます。
また、破産財団から財産を放棄する場合には、破産管財人は、放棄の2週間前までに担保権者に対して放棄する旨通知しなければならないとされています(破産規則56条後段)。

財産を任意売却するため清算人が選任された場合には、清算人が管理をしていくことになるでしょう。競売の場合には、特別代理人を選任することになります。
清算人や特別代理人には、元破産管財人が就くケースが多い傾向にあります。

参照:第2 会社非訟事件について|裁判所 – Courts in Japan

【まとめ】自己破産についてお困りならばアディーレ法律事務所にご相談ください

自己破産については、多岐にわたる専門的な知識が必要不可欠です。
弁護士費用など手続き費用を安く抑えようとして、自分一人で手続きを進めると、思わぬところで失敗して、時間とお金を無駄にしかねません。そこで、なるべく早い段階、手続きに着手する前の段階で、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
借金の問題でお困りならば、アディーレ法律事務所にご相談ください(ただし、2021年3月時点において、法人破産・法人再生のご依頼はお受けしておりません)。

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