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自己破産は離婚相手に影響する?気をつけたい注意点や方法を解説

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夫婦といえども価値観は異なるため、お金の使い方を理解できないこともあるでしょう。
実際、4割の夫婦が1年に1度はお金を原因とする夫婦喧嘩をしています。
その喧嘩は、相手との距離感を生み出し、最終的には離婚にまで発展してしまいかねません。
今回は「自己破産と離婚の関係」を弁護士目線でお伝えします。

参考:夫婦のマネー事情と夫婦円満投資に関する調査 2019|調査のチカラ

自己破産と離婚の関係

借金を理由に離婚を迫られてしまった場合、離婚前に自己破産する場合と離婚後に自己破産する場合で何が違うのでしょうか。子どもがいるならば子どもにあまりダメージを与えたくないと思うものでしょう。「自己破産と離婚の関係」について解説します。

(1)自己破産とは?

自己破産とは、返済ができないような状態(支払不能)に陥っていると裁判所から認めてもらった上で、さらに裁判所の免責許可決定を得れば、一定の負債の返済義務を免れることができる手続きです。生活に必要な範囲を超えて所有している財産は原則として債権者(お金を貸した人)に配分されることになります。
基本的に破産する人(破産者)以外の財産に影響が及ぶことはありません。たとえば、夫が破産する場合に、妻名義で加入している生命保険や妻名義の車に影響はありません。もっとも逆に、夫名義の車を事実上妻が利用している場合には、その車を利用できなくなる可能性があります。

(2)自己破産で離婚できるかはケースバイケース

夫婦同士の話し合いによりお互いに納得して離婚するのであれば、その理由は問いません。
そのため、「借金がある」「お金の使い方が荒い」「お金をかけたいものが違う」なども離婚の理由になります。このような夫婦同士の話し合いによる離婚を「協議離婚」といい、離婚届を市(区)役所に提出すれば離婚が成立します。
しかし、夫婦同士の話し合いではなかなかまとまらず、調停委員という第三者に仲介してもらういわゆる離婚調停を申立てても、結局夫婦のどちらかが離婚したくないと思う場合には、離婚できません。
このようにいくら話し合っても折り合いがつかない場合には、最終的に裁判訴訟という形により決着をつけることになります。

自己破産を理由に離婚する場合、自己破産に至った事情が「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかを裁判所で争うことになります(民法770条1項5号)。過去に自己破産をしたことを隠していたとしても、特に何の問題もなく夫婦として暮らしてきたのであれば、離婚はできない可能性が高いでしょう。逆に働かず家事もしないのに散財している状況では、離婚が認められる可能性があります。

自己破産が離婚相手に影響を与える場合について

離婚後に自己破産した場合、元配偶者に影響を与えることはほとんどありません。
例外的に元配偶者の自己破産で影響を受けるケースを3つご紹介します。

(1)離婚相手が保証人である場合

離婚相手に借金の保証人になってもらっていた場合には、自己破産によって離婚相手に請求が届くようになります。離婚によって保証人の責任を免れることはできないのです。
離婚相手に迷惑がかかると心配な場合には、あらかじめ自己破産することを伝えておくのが良いでしょう。そうすれば、離婚相手もまた自己破産など債務整理を検討できます。

逆に自分が離婚相手の保証人となっていた場合、自己破産を申立てることによって、離婚相手が別の保証人を立てるように求められることがあります。

(2)慰謝料の支払いや財産分与がある場合

借金の返済義務を免除されるのが自己破産の特徴です。
消費者金融からの借入れだけでなく、慰謝料の支払いや財産分与の請求権も免除の対象になります。

たとえば、次のようなケースを想定してみましょう。

Aさん(女性、専業主婦)と離婚した後に自己破産を申立てることになったBさん(男性、サラリーマン)。離婚の原因は、Bさんの浮気だったので、BさんはAさんに200万円の慰謝料を月々3万円ずつ支払う約束になっていました。
また、財産分与としてBさんの財産の2分の1をAさんに渡しました。

自己破産を弁護士に依頼して以降は、原則として慰謝料の支払いを続けることはできません(ただし、悪意で損害を与えた場合等は例外的に免除されない債権となる可能性があります)。
そのため、Aさんは本来受け取れるはずだったお金を受け取れないことになります。
トラブルに発展してしまう可能性が高いため、あらかじめ伝えておくのが良いでしょう。

自己破産前に財産分与や慰謝料の支払いが終わっている場合、それが適正な金額である限り、特段問題になることはありません。2分の1の財産分与であれば、問題ないと判断される可能性が高いでしょう。

多額の借金を抱えている中で慰謝料や財産分与の取り決めをする場合には、過大な請求にならないように気を付けましょう。

慰謝料の支払いや財産分与が過大であれば詐害(さがい)行為となる

離婚相手の生活を保障するために、より多くの金額を渡したいと思うかもしれません。
しかし、相場を大きく上回るお金を渡してしまうと、新たな問題が生じます。

たとえば、次のようなケースを想定してみましょう。

自己破産を申立てたBさんに150万円を貸していたCさん。もともと返ってこないお金と思っていたのだから……と諦めようとしましたが、Bさんが自己破産を弁護士に依頼した後、住宅やら車やら宝石類やらすべての財産を無償で元妻のAさんに渡していることを知り、納得がいきません。

もしBさんが全ての財産をAさんに渡さなければ、Cさんは借金の一部を返済してもらえたかもしれません。納得できないのは無理のないことです。
そこで、裁判所から選任された管財人は,Cさん等債権者の利益のためにBさんの財産をすべてAさんに渡す行為を詐害行為(破産法160条)として取り消すことができます(これは詐害行為否認などと呼ばれます)。そうなると、Cさんは借金の一部に相当するお金を得られる可能性があります。

(3)離婚相手に養育費を支払う場合

離婚したとしても、両親には子を養う義務があります。そのため、自己破産をしても、それ以後養育費を支払わなくて良くなるわけではありません(破産法253条1項4号参照)。
また、自己破産をしたときに滞納していた養育費についても基本的に全額支払う必要があります。

他の借金の返済がなくなれば、きちんと養育費を支払えるようになるはずです。もっとも、自己破産をするほど生活が苦しいのであれば、離婚相手に養育費の減額交渉をしてみるのも1つの手です。

養育費を支払わないでいて、訴訟を起こされて負けてしまった場合や、もともと公正証書という書面で養育費の支払いの約束をしていた場合などには、財産を差し押さえられる可能性もあります。たしかに自己破産直後であれば差し押さえる財産はないと思われるかもしれませんが、勤務先を知られていれば給料の4分の1を差し押さえられる可能性があるため、注意が必要です。

自己破産と離婚をスムーズに行うための4つの注意点と方法

自己破産と離婚の両方をスムーズに行うための注意点をお伝えします。

自己破産後に離婚をした方が無難

一般的には自己破産後に離婚をするのが良いでしょう。
離婚後に自己破産をすると、慰謝料の支払いや財産分与が詐害行為等にあたらないか調査が一般に必要になるので、手続きが煩雑になってしまいます。簡略化された同時廃止手続で進められる可能性の高い事案でも、管財手続になってしまう可能性が高いでしょう。

もっとも、自己破産後に離婚する場合次の点で注意が必要です。
デメリットが気になって自己破産前に離婚をする場合でも、慰謝料や財産分与の支払いについては合意しないほうが良いでしょう。何らかの取り決めをする場合には、自己破産を依頼した弁護士にあらかじめ相談することをおすすめします。

(1-1)養育費について協議する

養育費の支払義務は、自己破産によってなくなりません。そのため、「自己破産すればなくなる」と安易に考えずに、しっかりと協議して金額や年数を決める必要があります。特に公正証書化する場合には、裁判手続きを経ずに強制執行することが可能になるので、慎重に話し合いましょう。

養育費の金額については、実務上、裁判所の作成した「養育費算定表」が参照されています。
算定表では、両親の年収(養育費を受け取る側が「権利者」、養育費を支払う側が「義務者」)を、縦軸と横軸に当てはめると、交差するマスが標準的な養育費の額を示すようになっています。
算定表は、子どもの数と子どもの年齢別に複数存在しますので、自分のケースに当てはまる算定表を参考にしてください。
2019年12月に公表された養育費算定表は、裁判所の下記サイトから入手できます。

参考:平成30年度司法研究(養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について|裁判所 – Courts in Japan

(1-2)慰謝料を支払えない可能性が高い

離婚後に自己破産をする場合、弁護士に依頼した時点で支払っていない慰謝料を支払うことはできません。これと同様、離婚前に自己破産をする場合でも、基本的には慰謝料を支払うことはできません。破産開始決定前に慰謝料を支払う原因が発生しているので、異なる扱いをする必要がないとされているのです。

もっとも、身体的なDVによる慰謝料であれば非免責債権に該当しうるので(破産法253条1項3号)、自己破産が離婚前であれ離婚後であれ、支払わなければなりません。

(1-3)相手が別居中でも書類をやり取りする

自己破産を申立てる場所を管轄する裁判所によっては、配偶者の収入などを裁判所に伝える必要があります。離婚相手と顔を合わせたくないとしても、必要な資料を集めるために何度かやり取りをしなければならない可能性があります。配偶者から借りているお金がない場合には、破産申立ての依頼しか受けていない弁護士は基本関知しないので、破産者自らやり取りを行うことになります。

自己破産に必要な資料としては、おおむね次のものが挙げられます。

  • 住民票
  • 源泉徴収票
  • 給与明細
  • 預貯金通帳のコピー
  • 保険証券のコピー
  • 車検証、登録事項証明書のコピー
  • 退職金に関する証明書
  • 不動産の登記簿謄本など
  • 毎月の家計簿

(1-4)破産する配偶者名義の財産を維持することはできない

結婚期間中に夫婦が協力して築いた財産は、「共有財産」として扱われます(民法762条2項)。たとえば、不動産や車がこれに当たります。自己破産前に離婚する場合であれば2分の1の価値相当分を受け取れる可能性が高いのに対し、自己破産後に離婚する場合、破産する人の名義である財産(20万円以上の価値のあるもの)を手元に残すことは基本的に難しいと考えるべきでしょう。

【まとめ】自己破産でお困りの方はアディーレ法律事務所へ

自己破産をしても基本的に離婚相手の財産に与える影響はありません。例外的に、1.離婚相手が保証人になっているケース、2.慰謝料の支払いや財産分与の取り決めがあるケース、3.養育費の支払いのあるケースでは影響が出る可能性があります。
自己破産をするにあたってご不安な方は、アディーレ法律事務所へご相談ください。