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2回目の自己破産はできる?3つのポイントと破産が難しいときの対処法

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kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「前に自己破産して、『もう二度と借金はしない!』と決めたけど……。生活費が足りなくて借金を始めたら、またいつの間にか返しきれない額に……。でも、2回目の自己破産となると厳しいって、前に頼んだ先生にも言われたしなぁ……。」

1回目の自己破産から数年経って、借金を再開する人がいます。その中には、再び返しきれないほどの借金を抱え込み、自己破産を検討する人もいます。

同じ人に何度も免責許可を出せば、その人が「また自己破産すればいい」と思って生活を立て直さなくなってしまう弊害があるうえ、お金を貸した債権者も損することとなります。
ですので、2回目以降の自己破産となると、1回目以上に裁判所での審査が厳しくなる傾向にあります。

もっとも、再び借金を抱えてしまったことについて真摯に反省して手続きを進めれば、免責許可が出る可能性もゼロではありません。
「1回目にはギャンブルで自己破産、その後再びギャンブルで借金を抱えてしまった」などの場合には2回目の自己破産は厳しい可能性もありますが、そのような場合でも個人再生などで返済の負担を軽減できる可能性はあります。

この記事では、1回目の自己破産後に再び借金を抱えてしまった(仮称)Dさんの事例をもとに、「2回目の自己破産が上手く行くのか」について弁護士が解説します。

※あくまで例ですので、実際のケースとは異なります。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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1回目の自己破産から7年ほど。また借金を抱えてしまった……。

10年前、30代後半の頃に自己破産の手続きをしたDさん。その時は、無事免責許可決定が出ています。
Dさんが1回目の自己破産の原因は、ギャンブルや交際費によって返しきれないほどの借金を抱えてしまったことです。

1回目の自己破産後、Dさんは浪費を見直して、借金に頼らない生活を送っていました。
しかし、数年後、状況が一変します。
Dさんの両親の介護が必要となったのです。介護の影響で仕事量を減らさざるを得ず、Dさんの収入は減りました。

そのうえ、両親の医療費や子どもの教育費などで出費がどんどん増えました。足りないお金を補うために、Dさんは再び借金に頼ってしまいました。

Dさんの借金は総額300万円を超え、毎月の支払額も10万円を超える状況です。
あるところに返済するために別のところから借りてくる自転車操業でその場しのぎをしていましたが、ついにどこからも借りられなくなりました。

Dさんが自転車操業をしてまで何とか返済を続けようとしたのは、1回目の自己破産で免責許可が出たとき、弁護士からこう言われたからです。

2回目の自己破産は、基本的にとても難しいです。なので、「次はない」と思って借金を繰り返さないことが肝心です。

それでも、返済も新たな借入れもできなくなった今のままでは、一括請求や差押えを受けることになりかねません。
何とかしなければと思ったDさんは、再び借金問題について法律事務所に相談する覚悟をしました。

再び、法律事務所へ

Dさんは、2022年2月20日に、職場の近くの法律事務所に連絡し、法律相談の予約をしました。

そして相談当日、弁護士はDさんに借金が膨らんだ経緯について聞き始めました。

1回目の自己破産で免責許可決定が出たのは……(Dさんが持ってきた書類を確認…)2012年8月6日ですね。
借金を再開したのは、いつ頃でしたか?

2年くらい前です。両親の医療費がかかって、自分の収入だけでは払いきれなかったので……。

借金の主な理由は、医療費などで足りなくなった生活費を補うため、ということで間違いないでしょうか?

ええ。10年前の自己破産のとき苦労して以来、ギャンブルは控えています。
交際費も、仕事をスムーズに進めるために必要な範囲でしか出さないように気を付けてきましたし、ここ最近はコロナの影響で接待がほとんどないのでほぼゼロ円です。

1年くらい前にX銀行(仮称)から借金を始めていますね。これはお子様の教育ローンということで間違いないですか?

はい。子どもが大学に進学して、その時組んだ教育ローンです。子どもは「奨学金を使う」と言ってくれたのですが、お金のことで子どもに苦労させたくなかったので、私名義で組みました。

その他にも、Dさんは次のような質問にも答えました。

・現金や預貯金はいくらあるか
→現金は財布の中の約5万円、預貯金は30万円
・高額な財産を持っているか
→賃貸暮らしで、自動車も持っていない。その他、高額なブランド品なども特にない。
・ご両親はご健在か
→2人とも存命

2回目の自己破産でも、免責許可の可能性はある

Dさんから事情を一通り聞いた弁護士は、次のようなことを言いました。

1回目の自己破産とは違って、浪費やギャンブルといった免責不許可事由はありませんね。
ですが、2回目の自己破産であることには注意が必要です。
今回の場合、1回目の自己破産で免責許可決定が確定した日から10年近く経っておりますので、「免責許可決定が確定した日から7年以内に自己破産の申立てをすること」という、免責不許可事由には当てはまっていません(破産法252条1項10号イ)。

ただし、同じ人に何度も免責許可決定を出せば、債権者も損をしますし、借金をしていた債務者も「自己破産でどうせ借金をなくせるから、また借りよう」と思ってしまい、生活を立て直せなくなってしまうおそれがあります。
そのため、2回目の自己破産となると、裁判所での審査が厳しくなりがちなことに注意が必要です。

やっぱり、2回目の自己破産となると厳しいんでしょうか?

100%無理というわけではありません。
1回目の時にお聴きになっているかもしれませんが、裁判所がさまざまな事情を総合的に考慮したうえで、免責許可決定を出す可能性があるからです。

私の場合はどうでしょうか?自己破産、いけるでしょうか?

最終的に免責許可決定を出すかどうかの判断をするのは裁判所なので、保証はできません。ですが、今回のお借入れが膨らんだ主な原因は、あくまでも「介護に伴う減収」「ご家族の医療費・教育費」という生活上欠かせない出費だったと伺っておりますので、裁判所が免責許可決定を出す可能性はゼロではないと考えています。

Dさんは、弁護士からこのような説明を受けて、少し安心することができました。

管財事件になる可能性には注意

審査が厳しくなると言いましたが、具体的に言いますと、自己破産の手続きが「管財事件」という手続きになる可能性が高いです。
1回目の自己破産も、管財事件でしたか?

そうだったと思います。依頼した弁護士とは違う、確か「管財人」という弁護士が色々調査をしていました。

繰り返しになりますが、2回目以降の自己破産となると「本当に免責許可決定を出してよいのか」の審査が厳しくなる傾向があります。
そのため、今回も裁判所から破産管財人が選任されて、借金が膨らんだ経緯などについて細かな調査を受けることとなる見込みです。

管財事件になると、確か破産管財人の報酬とかで費用が高くなりましたよね……。

はい。破産管財人のための報酬として、基本的に20万円ほど必要になります。
また、ご依頼いただく場合、我々の方でも破産管財人への対応などで負担が重くなりますので、弁護士費用も同時廃止の場合より多めにいただいております。
弊所はこうした費用を合わせて毎月お積み立ていただく方式ですので、まとまったお金を一度にご用意いただく必要はございません。

管財事件の流れについて詳しくはこちらをご覧ください。

管財事件とは?手続きの流れや注意点についても解説

自己破産の手続きにかかる費用について、詳しくはこちらをご覧ください。

破産費用はどの程度かかる?安く抑える方法や弁護士費用を解説

今後の注意点

免責許可決定が出る可能性はありますが、注意点もあります。主に次の3つです。

  • 家計を今まで以上に見直すこと
  • 借金が膨らんだことについて反省すること
  • 手続きを真摯に進めること

(1)家計を今まで以上に見直すこと

免責許可は、何度も簡単に出るものではありません。
2回目の自己破産がもし無事終わったとしても、3回目、4回目で免責許可決定が出るとは限りません。
そのため、「2回目で最後にする」という覚悟が必要です。

Dさんは、家族のための出費で借金が膨らんでしまったのですが、次のようなことを検討し、家計を見直す必要があります。

  • 無駄な、削ることのできる出費は本当にないのか
  • 自己破産の手続きをする本人や、家計が同じ家族の収入を増やす余地はないのか

(2)借金が膨らんだことについて反省すること

1回目の自己破産でも「借金についての反省」は必須だったのですが、より審査が厳しくなりがちな2回目以降となると、さらなる反省が必要と言えます。

(3)手続きを真摯に進めること

手続きを誠実に進めることも大切です。
また、裁判所や破産管財人の調査に協力しなかったり、説明を拒否した場合には、それはそれで免責不許可事由に当てはまってしまうおそれがあります(破産法252条8項、9項、11項)。

自己破産の申立てをして以降も免責不許可事由に該当することをしていると、免責不許可となってしまうケースが少なくありません。
免責不許可となる可能性を下げるためには、真摯に手続きをすることが大切です。

2回目の自己破産が厳しい場合の対処法

免責許可決定が出る可能性もあると聞いて心強くなったDさんは、この弁護士に依頼することにしました。

もっとも、2回目の自己破産が厳しいケースもあります。
例えば、1回目も2回目も借金が膨らんだ原因がギャンブルだった場合には、Dさん以上に、2回目の自己破産が免責不許可に終わる可能性が高いと言えます(どのようなケースで2回目以降の自己破産が厳しくなるかは、個々のケースにより異なります)。

免責不許可となってしまった場合には、免責不許可決定が送達された日の翌日から1週間以内に即時抗告をするという方法もあります。しかし、免責不許可事由があることが明らかである場合、即時抗告をしても免責不許可を覆せないことが少なくありません。
そのため、始めから免責不許可の見込みが強い場合には、自己破産の手続きは選ばないということが多いです。

ですが、自己破産が厳しい場合でも、今抱えている借金を減額できる可能性はあります。
主に、次の2つの対処法があります。

  • 個人再生
  • 任意整理

(1)個人再生

個人再生とは、裁判所から認可を得たうえで、基本的に減額された負債(借金などの支払義務)を、原則3年間で分割して支払っていく方法です。
どのくらい減額されるかは、負債の総額や所持している財産の価格などによって異なります。
ですが、次にご説明する「任意整理」よりも大幅に減額できるケースが多いです。

自己破産を検討されている方の場合、任意整理では返済しきれないほどの借金を抱えていることが多いです。
そのため、自己破産が厳しい場合、基本的に個人再生を検討することとなります。

(2)任意整理

任意整理とは、支払い過ぎた利息がないか負債を正確に再計算したうえで、次のような方法で返済の負担を軽減することを目指して個々の債権者と交渉する手続きです。

  • 返済期間を長期化することで、毎月の返済額を減らす
  • 今後発生するはずだった利息をカットすることで、総返済額を減らす

【まとめ】2回目の自己破産であっても、免責が出る可能性はある

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 2回目の自己破産となると、裁判所での審査が厳しくなることが多い。
  • 特に、1回目の自己破産の免責許可決定が確定した日から7年以内の自己破産の申立てだと、それ自体が免責不許可事由に当たることには注意。
  • 2回目の自己破産の原因が家族の生活費など、どうしてもやむを得ないものであれば、免責許可が出る可能性はゼロではない。
  • 免責不許可となるリスクを少しでも下げるためには、次の3点に注意。
    1.家計を今まで以上に見直すこと
    2.借金が膨らんだことについて反省すること
    3.手続きを真摯に進めること
  • 2回目の自己破産で免責不許可となる見込みが強い場合には、個人再生や任意整理を検討する。

確かに2回目の自己破産となると、裁判所での審査が1回目以上に厳しくなったり、免責不許可となるおそれはあります。
しかし、借金を抱えた事情などによっては、免責許可決定が出る可能性もゼロではありません。
自己破産が厳しかったとしても、「今のまま借金を抱え続けていても、状況は良くならない」というのは1回目の自己破産の際に痛感されているのではないでしょうか。

借金をこのまま抱え込まずに、まずは相談だけでもしてみることをおすすめします。

アディーレ法律事務所では、自己破産を始めとする債務整理についてのご相談を承っております。
また、アディーレ法律事務所では、万が一個人の破産事件で免責不許可となってしまった場合、当該手続きにあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用は原則として、全額返金しております(2022年8月時点)。

※ただし、免責不許可が、次の場合に起因する場合などは、返金対象外です。

  • アディーレ法律事務所へ虚偽の事実を申告し、又は事実を正当な理由なく告げなかった場合
  • 自己破産の受任時に、遵守を約束いただいた禁止事項についての違反があった場合

自己破産できないかお悩みの方は、破産を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。