あなたの法律のお悩み一発解決サイト
リーガライフラボ

ボーナスも差押え対象になる?給与差押えの範囲と対処法をご紹介

作成日:
yamazaki_sakura

借金の返済期日を乗り切るのが大変になってくると、「このまま返済できなくなったら、毎月の給料を差押えられてしまって、ますますやり繰りが厳しくなるのかな…」と不安になることもあるのではないでしょうか。

返済が滞ると、債権者は給料等を差押えることによる回収を図りますので、返済が困難と感じたら早期に対処する必要があります。

この記事では、

  • 給与差押えの基礎知識
  • 給与差押えの範囲
  • 給与差押えを受けて、生活が苦しくなったときの対処法

を解説します。

給与差押えの基礎知識

まず、給与差押えの概要や流れを説明します。

(1)給与差押えとは?

差押えとは、

金銭債権を強制執行できるようにするため、債務者が財産譲渡などの事実上または法律上の処分をすることを禁じる目的で行われる手続き

引用:三省堂編修所(編集)『デイリー法学用語辞典』三省堂 P.236

のことです。

借金の滞納の場合、差押えは債権者から申立てを受けた裁判所が行います。
差押えの対象となる財産は動産、不動産、債権等に分けることができますが、給与は債務者が勤務先に対して請求できる「給与債権」ということで差押え対象となります。

給与差押えの申立てを裁判所が認めると、「債権差押命令」が勤務先に送達され、給与が差押えられます。

(2)給与差押えまでの流れ

借金の滞納から給与への差押えまでの流れは、上の図のようになることが一般的です。

  1. 催促
    まずは電話やハガキ等で、返済期日を過ぎているから早く返済するようにとの催促の連絡が来ます。
    返済期日を1日でも過ぎれば、その日数分の遅延損害金が増えるものの、この段階で遅れを解消できれば通常は差押えを回避できます。

  2. 事故情報の登録
    返済の遅れが続いていると、貸金業者は滞納があったことを信用情報機関に登録します。
    滞納や債務整理等の、返済について問題が起こったという情報を「事故情報」と呼ぶことがあるのですが、事故情報が登録されている間は新規のクレジットカードやローンの利用等が困難になります。
    事故情報について詳しくはこちらをご覧ください。
  3. 何をするとブラックリストに載るの?載るのはいつまで?
  4. 一括請求
    滞納を解消できないでいると、それまでは分割払でよかったところ、残額について一括請求を受けます。
    返済の遅れで一括請求を受けることとなることについて詳しくはこちらをご覧ください。
  5. 期限の利益とは?期限の利益喪失通知が届いたときの対処法を解説
  6. 裁判所からの通知
    一括請求に対応しないでいると、債権者は差押えの準備を始めます。
    強制執行をするためには、請求権の存在と範囲を示す「債務名義」という文書を取得しておく必要があるためです。
    債務名義の中でも代表的なものが、確定判決や仮執行宣言付支払督促等です。
    これらの取得のため、債権者は裁判所での手続を始めます。

    裁判所での手続が始まると、訴状や支払督促等の書面が債務者に届きます。
    これに対応せずにいれば、債権者の主張通りの権利があると認められ、「債務名義」を債権者が取得し、強制執行が申立てられます。

  7. 差押え
    債務名義に基づき差押えが申立てられます。
    裁判所が申立てに理由があると認めるときは、差押命令が発せられ、申立て時に「差押債権目録」で債権者が指定した債権への差押えに至ります。

参照:債権執行に関する申立ての書式一覧表|裁判所 – Courts in Japan
参考:民事執行手続|裁判所 – Courts in Japan

給料差押えはボーナスも対象!差押えの範囲とは

給与差押えは、月給だけでなくボーナスや退職金も対象となるうえ、未払い額と執行費用が解消するまで将来にわたり継続します。
もっとも、全額まるまる差押えられてしまうわけではなく、債務者の生活のため差押えには上限が定められています。

それでは、給与差押えの範囲について説明します。

(1)月給への差押えについて

月給への差押えの上限は、原則として手取り金額の4分の1までです(民事執行法第152条1項2号)。
ただし、給与が高い場合にはより多く差押えても生活保障には足りるということで、手取り金額が44万円を超える場合には、33万円を超える部分全てが差押え可能です(同法152条1項、同法施行令第2条1項1号)。

(2)ボーナス・退職金の場合

ボーナスや退職金も差押えの対象です(同法第152条1項2号、2項)。
ボーナスについては月給と同様、差押え可能なのは原則として手取りの4分の1まで、手取りが44万円を超える場合には33万円を超える額全て(同法施行令第2条2項)です。

一方、退職金の場合には差押え可能な範囲は一律で4分の1までとされています(同法第152条2項)。

(3)養育費の未払いで差押えを受けた場合

養育費の未払いが原因の場合、債務者の生活だけでなく子どもの福祉も考慮が必要なため、より高額の差押えが可能です。
具体的には、原則として月給・ボーナス・退職金全てが手取りの2分の1まで差押え可能となり(同法第152条3項、第151条の2第1項3号)、月給とボーナスについては手取りが66万円を超える場合には33万円を超過する部分全てが差押え可能です。

参考:差押可能な給料の範囲|裁判所 – Courts in Japan

給与差押えで生活が苦しいときの対処法

上記の範囲で給与を差押えられてしまっては生活が立ち行かないという場合には、より多くの給与を受け取れるようにするか、そもそもの返済負担を見直す必要があります。
それでは、給与差押えへの対処方法について説明します。

(1)差押禁止債権の範囲の変更の申立て

法令に基づく範囲での給与差押えでは生活が成り立たず、差押えの範囲を狭めてほしい場合には、裁判所に対して「差押禁止債権の範囲の変更の申立て」(民事執行法第153条1項)を行います。

裁判所が債務者の生活等の事情を考慮のうえ、給与差押えの範囲を変更を認める可能性があります。

(1-1)申立て方法

申立ては、債権差押命令を出した裁判所に対して行います。
申立ての際には、申立書の他、範囲変更が必要かどうかの判断材料となる生活状況の分かる書類等を提出します。

参照:差押範囲変更(減縮)の申立てをする方へ 東京地方裁判所民事第21部│裁判所 – Courts in Japan

(1-2)申立て後の流れ

裁判所は提出書類をもとに、差押命令の全部または一部を取り消す必要があるかを判断します。
その際、追加資料の提出を求められたり、裁判所から債権者に意見を求める場合もあります。

範囲変更の是非の判断には時間がかかる場合があること、申立てが認められず従前どおりの給与差押えが継続する可能性があること、範囲変更が認められたとしても債務自体が減るわけではないことには注意が必要です。

(2)そもそも給与差押えを受けないためには、早期に債務整理を!

給与差押えの前から困難だった家計のやり繰りは、給与差押えを受けては一層大変になってしまいます。
しかし、返済が困難と感じた段階で早期に弁護士に債務整理を依頼することで、差押えを受けるリスクを減らすことができます。

債務整理には、主に任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。
任意整理とは、払い過ぎた利息はないか、取引開始時にさかのぼって利息制限法の上限金利(15~20%)に金利を引き下げて再計算すること(引き直し計算といいます)により、負債額を算出し、残った借入れ金額について、将来利息のカットや、長期分割による月当たりの支払額の減額等による総合的な返済の負担の軽減を目指して個々の借入先と交渉する手続です。

任意整理の場合、実現可能性のある返済計画ができることを期待した債権者が一旦差押えの準備をストップしてくれる場合があります。

個人再生とは、現在の借金が返済できないおそれがあることを裁判所に認めてもらい、法律に基づき決まった金額を原則3年間で分割して返済していく手続です。
個人再生で支払うこととなる金額は、負債総額や財産価額等を基準に決まりますが、高額な財産がなければ大幅に返済額を減らせる可能性があります。

自己破産とは、債務者の収入や財産からは返済が不可能であることを裁判所に認めてもらい、原則として全ての負債の支払の免除を受ける手続です。

個人再生と自己破産の場合、裁判所での手続が始まると借金についてのそれまでの強制執行が停止または失効し、新しく強制執行することも原則できなくなります。
そのため、申立て準備が滞りなく進んでいる限りは、債権者が差押え準備をストップすることが多いです。

早期に債務整理を開始することは、差押えリスクの低減ばかりでなく、返済の負担の見直しによる生活の立直しにもつながります。
返済が難しいと感じたら、無理を重ねず弁護士に借金問題について相談しましょう。

【まとめ】給与への差押えを回避するためには、早期に債務整理を

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 借金返済が滞り、催促や一括請求に対応しないでいると給与への差押えを受ける可能性がある。
  • 給与差押えは、月給の全額が受け取れなくなるわけではなく、差押えには上限があるものの、完済に至るまで差押えは継続する。また、月給のみならずボーナスや退職金も差押えの対象となる。
  • 給与差押えで生活が苦しい場合には、差押禁止債権の範囲の変更の申立てでより多くの額を受け取れるよう図ることができる。
  • そもそも差押えを受けないようにするためには、早期に債務整理に取り組むことがお勧め。個人再生や自己破産の場合は、始まってしまった給与差押えについても停止・失効させることが可能。

借金問題は、返済が苦しいと放置し続けては、利息や遅延損害金で総返済額が増えるのみならず、差押えリスクも高まり、解決からは遠ざかってしまいます。
ましてや給与差押えを受けては、一層家計のやり繰りが困難となります。

差押えを回避するには、早期に債務整理に取り組み返済負担を見直すのがお勧めです。

アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続につき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続に関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。
また、完済した過払金返還請求の手続の場合は、原則として過払金を回収できた場合のみ、成果に応じた弁護士費用をいただいておりますので、費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。(2021年7月8日時点。)

借金問題でお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。