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なぜ自己破産で通帳の提出が必要なの?通帳がない場合の対処法も解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「自己破産をする際は通帳を提出しないといけないと聞いたけど…何のため?ないとどうなるの?」

自己破産をするときには、裁判所に通帳のコピーを提出しなければなりません。
通帳の履歴から、自己破産したい人が何にお金を使い、どれだけ収入があるかなどの情報を把握できるためです。裁判所は、このような情報を確認して、自己破産を認めてよいかなどを判断します。

自己破産の手続を弁護士に依頼した場合には、事前に弁護士に通帳のコピーを渡すことになります。

この記事を読んでわかること
  • 通帳の提出が必要な理由
  • 通帳がない場合の対処法

ここを押さえればOK!

自己破産の手続では、基本的に自己破産を申立てる日からさかのぼって1~2年分の通帳を裁判所に提出する必要があります。 東京地裁では、基本的に破産者名義の通帳のみ提出が求められますが、ほかの地域や事案によっては、同居人の通帳も提出が求められることがあります。 裁判所から同居人の資料の提出を求められた場合、同居人に自己破産を隠し通すことはできないでしょう。 通帳の提出が必要な理由は、支払不能かどうか、怪しいお金の動きがないか、保有財産が自由財産の範囲内かどうかをチェックするためです。 通帳は写しを提出し、通帳がない場合は取引明細書を提出することもあります。 また、通帳記帳を忘れると「おまとめ記帳」となり、取引明細書の提出が必要になります。

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この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

自己破産の際は通帳の提出が必要

自己破産を申し立てる裁判所によって必要な年数に違いはあるものの、基本的に、自己破産の申立日からさかのぼって1~2年分の通帳を裁判所に提出しなければなりません(事案によっては、さらにさかのぼって提出を求められることがあります)。

また、東京地裁では、一般的に破産者(破産する人)名義の通帳のみ提出を求められますが、ほかの地域や事案によっては同居人の通帳も提出を求められることがあります。
特に、家計の収支状況を一体にしており、公共料金を同居人名義の口座で引き落としている場合などには、注意が必要です。

同居人に自己破産を隠したい人もいるかもしれませんが、同居人の資料の提出を求められると、基本的には隠し通すことはできません。
あらかじめお住まいの地域の裁判所等の運用を弁護士に尋ねておくといいでしょう。

通帳を提出しなければいけない理由は、主に次の3つです。

支払不能かどうかのチェック

怪しいお金の動きがないかのチェック

保有財産が自由財産の範囲内かどうかのチェック

それぞれご説明します。

(1)支払不能かをチェックする!

「自己破産」とは、財産、収入が不足し、借金返済の見込みがないこと(支払不能)を裁判所に認めてもらい、借金の支払義務を原則として免除してもらえる手続です。
ただし、公租公課など一部の返済義務は自己破産しても免除されません。

裁判所に提出する書類のなかには、財産目録・資産目録などといって、保有口座、残高、最新記帳日などを記載する箇所があります。

極端な例ですが、1,000万円の預金がある人が300万円の借金を返せないといっても、客観的にみれば支払不能とはいえません。
そのため、すべての預金口座の残高を調べて、本当に支払不能かどうかをチェックする必要があるのです。
残高が0円であっても、長期間利用しておらず休眠口座となっていても、すべて提出しなければなりません。

ちなみに、長期間使っていない口座に少額を入金し、記帳してから通帳を提出すると、お金の流れの動きがないことが明確になります。

支払不能とは具体的にどういう状況ですか?

基本的には、今ある借金などの債務を今後3年以内(36回)に弁済できるかどうかが1つの基準になります。

支払不能について詳しくはこちらの記事もご覧ください。

自己破産の手続を始めるための「支払不能」とは?破産法に基づき解説

(2)怪しいお金の流れをチェックする!

最新の通帳だけでなく、過去数年間の通帳を提出しなければならないのは、お金の流れの動きをみるためです。
たとえば、このような通帳があったとしましょう。

年月日お預かり金額お支払金額残高
2023年12月28日ヘンサイ
1万円
7万6000円
2024年1月12日家賃
6万5000円
1万1000円
2024年1月18日(仮称)甲野太郎
100万円
101万1000円
2024年1月29日宝くじ
1000円
101万円
2024年2月1日ATM
100万円
1万円
2024年2月2日賞与
20万円
21万円

この通帳をみた裁判所や弁護士は、甲野太郎とはいったい誰で、なぜ100万円もの大金を振り込んだのか、そして、その100万円はどこにいったのか(財産を隠していないか)に関心を抱き、調査します。
また、宝くじの引き落としがあるため、ほかにも宝くじをしているのではないかと疑問を抱く場合もあります。

宝くじなどギャンブルは、免責不許可事由に該当しうるため、いつからいつまで宝くじをしていたのか、いったいどれだけの金額を宝くじに使ったのか調査が必要です。

1000円分の宝くじを買っただけで免責が認められないのですか?

免責不許可事由がある方であっても、実際には大多数の方が「裁量免責」といって、裁判所の判断で免責が認められています。
意図的に財産を隠したり、裁判所に嘘をついたりなど、よほど悪質なケースでなければ免責が不許可になることは通常ありません。
ただ、裁量免責を認めるかどうかはあくまでも裁判所の判断ですので、個別のケースの見込みなどは、弁護士に相談することをおすすめします。

さらに、この通帳をみると、賞与の振り込みがあるにもかかわらず、1月分の給与がこの通帳には振り込まれていません。給料の支払など通常あるはずのものが通帳に表れていない場合には、ほかに通帳を持っていないかに関して調査が行われます。

ここでご紹介した通帳の例は、わかりやすく怪しくしていますが、一見すると不自然な点がないようにみえても、裁判所・弁護士からみると、怪しいお金の流れがあることも少なくありません。
財産を隠すことはせずに、すべての財産を正直に打ち明けましょう。

(3)保有財産が自由財産の範囲内かをチェックする!

東京地裁の運用では、破産手続の開始決定時点での全保有口座の預金残高が20万円以下であれば、自由財産の拡張により、原則として手元に残すことができます。

自由財産について詳しくはこちらの記事もご覧ください。

自由財産とは?自己破産をした後でも残せる財産について解説

たとえば2024年2月2日に破産手続開始決定があったとしましょう。
2024年2月2日時点では預金残高が20万円を超えていますので、この場合には、原則として預金の全額を破産管財人に引き継がなければなりません。

もしも破産手続開始決定が2024年2月1日だった場合には、賞与の20万円は手元に残しておけるのですか?
1日ずれるだけで、手元に残せるか残せないか違うなんて…

形式的にはそうなります。
ただ、1回あたりの賞与が20万円を超えることが見込まれる場合など、破産手続開始決定時点で預金残高が20万円を超える可能性がある場合には、弁護士と相談して、破産申立の日を調整することがあります。

通帳は写し(コピー)を提出する

裁判所に提出するのは、通帳のコピーです。
もっとも、法律事務所によっては、法律事務所に通帳の原本を簡易書留で送付し、法律事務所でコピーする場合もあります。

表紙や中表紙も含めてすべてのページを印刷する必要があるため、通帳原本を送付したほうが依頼者の負担が軽くなることが多いでしょう。法律事務所の指示に従ってください。
通帳を原本ごと法律事務所に預けた場合、申立てまでずっと法律事務所に預けておくことは基本的にできず、いずれ簡易書留等で返送されてくるのが通常ですので、この場合、きちんと受け取るようにしましょう。

東京地裁では、申立日から数えて1週間以内に記帳した通帳の写しをコピーする必要があるため、完成した申立書が送られてきたタイミングで通帳記帳をしておきましょう(弁護士から別途指示された場合を除きます)。

通帳がない場合は取引明細書を提出

インターネットバンキングのように、紙の通帳を発行していない銀行もあります。
また、大手の銀行でも通帳を有料化するなどして、紙媒体の通帳の利用を削減しようとしています。

紙の通帳がなくてもインターネット上で取引履歴を確認できるのであれば、パソコン上の画面を印刷して提出すれば問題ありません。ただし、自身でさかのぼれる期間に制限があるなど、インターネット上でも確認できない場合には、普通預金や定期預金などの取引状況・残高などの情報を記した取引明細書で代用します。

取引明細書の発行の仕方は銀行に問い合わせてみてください。
また、取引明細書の発行に必要な料金は銀行によって異なり、毎月提出するのが大変なことがあります。その場合には、その口座を解約するか、どうしても解約できない場合には、弁護士に相談しましょう。

「おまとめ記帳」がある場合も取引明細書を提出

長期間通帳記帳をしていない場合、入出金それぞれの合計金額のみをまとめて記入する「おまとめ記帳」(一括記帳、合算記帳)になる場合があります。裁判所から資料の提出を必要とされている期間内におまとめ記帳がある場合には、個別のお金の流れの動きを調べるため、取引明細書を提出する必要があります。

自己破産の手続を弁護士に依頼したあとは、原則として毎月記帳して、通帳を提出しなければなりません。
もし通帳記帳を長期間忘れ、「おまとめ記帳」表示になると、省略されている部分についての取引明細書を取り寄せる必要があるため、忘れずに毎月記帳しましょう。

【まとめ】自己破産で通帳の提出が必要なのは、免責を認めていいかなどを判断するため

自己破産を申し立てる裁判所によって異なるものの、基本的に、自己破産の申立日からさかのぼって1~2年分の通帳を提出しなければなりません。
また、地域や事案によっては、同居人の通帳も提出を求められることがあります。
通帳を提出しなければいけない理由は、主に(1)支払不能かどうかチェックするため(2)怪しいお金の動きがないかをチェックするため(3)保有財産が自由財産の範囲内かどうかをチェックするため、の3つです。

もっとも、自己破産を申し立てる裁判所や具体的事情によって、提出が必要な範囲が異なることもあるため、自分のケースではどうなるのかについては、弁護士への相談をおすすめします。

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(2024年4月時点)。

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