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無職でも年金の特別催告状は届く?失業した際に利用できる制度を解説

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kiriu_sakura

「仕事がなくて困っているところに、国民年金の『特別催告状』が届いた……。どうすればいいんだろう?」

たとえ無職の方でも、20歳以上60歳未満であれば基本的に国民年金を支払わなければいけません。
そのため、支払わずにいると財産を差し押さえられたり、延滞金を上乗せされてしまったり、将来受け取れる年金の額が減ってしまうなどのデメリットがあります。

実は、早めに免除や納付猶予などの制度を利用することで、こうしたデメリットを軽減し、支払の負担を減らすことができます。新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減った場合には、特例免除もあります。

また、借金を抱えている方の場合は、債務整理をすることで家計を立て直せる可能性もあります。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 無職でも国民年金を滞納していると特別催告状が届いてしまうこと
  • 特別催告状を放置し続ける3つのデメリット
  • 失業などの場合に利用できる免除や納付猶予の制度
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で減収した場合の特例
  • 借金がある場合の債務整理
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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無職でも国民年金を滞納していると「特別催告状」が届く!

仕事がないのに国民年金など支払えないと思われるかもしれません。しかし、国民年金保険料を支払わずにいれば特別催告状が届いてしまいます。
たとえ無職の方でも、原則として国民年金の支払義務を負っているためです。

それでは、国民年金の支払義務についてご説明します。

(1)無職でも基本的に国民年金の支払義務がある

国民年金法では、次のように定められています。

第八十八条 被保険者は、保険料を納付しなければならない。

引用:国民年金法88条1項

そして、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、基本的に全員「被保険者」です(国民年金法7条1項)。

そのため、たとえ収入がない状態であっても、国民年金保険料を支払う義務はあるということになります。

(2)国民年金は世帯主や配偶者にも支払義務がある

また、国民年金保険料の支払義務を負っているのは本人だけではありません。
世帯主や配偶者も、連帯して支払う義務を負っています(国民年金法88条2項、3項)。

そのため、本人が滞納していると世帯主や配偶者も請求を受け、最悪の場合には財産を差し押さえられてしまうおそれがあるのです(差押えについては次の項目でご説明します)。

特別催告状を放置する3つのデメリット

たとえ支払うことができないとしても、特別催告状を放置したままにしておくことにはデメリットがあります。
主なデメリットは次の3つです。

  • 財産を差し押さえられてしまうおそれがある
  • 支払うべき金額に「延滞金」を上乗せされてしまう
  • 将来受け取れる年金の額が減ってしまう

それぞれについてご説明します。

(1)財産を差し押さえられてしまうおそれがある

1つめのデメリットが、差押えのおそれです。
差押えの対象となる財産には、主に次のものが挙げられます。

  • 預貯金
  • 自宅などの不動産
  • 自家用車 など

特別催告状が届いてから差押えまでは、通常、次のような流れをたどります。

最終催告状

督促状

差押予告通知書

差押え

差押予告通知書には、このままだと差押えを行う、支払意思がある場合には早めに窓口で相談するように、という趣旨の記載があります。
差押予告通知書を放置すると、差押えに至ります。差押えの実行日時が事前に通知されることはありません。
差押えまでの流れについて、詳しくはこちらをご覧ください。

国民年金の滞納で届く特別催告状とは?納付が困難な場合の対処法

無職の人自身の財産が差し押さえられる可能性は高くはないものの…

2021年時点で日本年金機構が差押えを図るのは、主に「控除後所得額が300万円以上+7ヶ月以上滞納している人」とされています。
そのため、無職の方自身が差押えを受ける可能性は、現時点ではそれほど高くないといえます。

もっとも、法律上、無職の人に差押えをしてはいけないと定められているわけではないので、差押えリスクがゼロとは言えません。
また、本人は差押えを受けずに済んでも、先ほど述べたとおり、世帯主や配偶者の財産が差し押さえられてしまう懸念は残ります。

参考:日本年金機構 令和3年度計画|日本年金機構

(2)「延滞金」が上乗せされてしまう

2つめのデメリットが、支払が遅れた日数分の「延滞金」を上乗せされてしまうことです。

先ほどの図で出てきた「督促状」では、滞納分を支払うべき期限が書かれています。
その期限を過ぎてしまうと、延滞金が発生してしまうのです。

延滞金の計算方法はこちらをご覧ください。

参考:国民年金保険料の延滞金|日本年金機構
参考:延滞金について|日本年金機構

(3)将来受け取れる年金の額が減ってしまう

3つめのデメリットが、将来受け取れる年金の額が滞納したままだった月数に応じて減ってしまうことです。

将来、1年間に受け取れる年金の額は次の計算式で求められます。

※2022年度分は、77万7800円です。

例えば30年間全額納付で10年間滞納のままの場合、受け取れる金額は40年間全額納付した場合の4分の3になってしまいます。
このように、滞納を解消しなかった場合には、受け取れる年金の額が減ってしまうのです。

失業などの際に利用できる制度

失業や低所得の場合には、免除や納付猶予の制度を利用することで、支払の負担を軽減できる可能性があります。
主な制度は次の3つです。

  • 保険料免除制度
  • 保険料納付猶予制度
  • 失業等による特例免除

それぞれについてご説明します。

(1)保険料免除制度

1つめが、保険料免除制度です。
「本人」「世帯主」「配偶者」の前年所得が一定以下の場合に、国民年金保険料の支払を免除してもらえる制度です。
免除を受けられる割合には4段階あります。

前年所得の要件を表にまとめましたので、免除を受けられないかご確認ください。

制度前年度所得の基準
全額免除(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円(※)
※2020年度以前は22万円
4分の3免除88万円(※)+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
※2020年度以前は78万円
半額免除128万円(※)+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
※2020年度以前は118万円
4分の1免除168万円(※)+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
※2020年度以前は158万円

※「扶養親族等控除額」「社会保険料控除額等」は、年末調整や確定申告で記載された額です。

参照:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構

(2)保険料納付猶予制度

2つめが、保険料納付猶予制度です。
こちらの制度は、「本人」「配偶者」の前年所得が一定以下の場合に利用できます。
前年所得は、次の計算式で求められる金額以下である必要があります。

(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円(※)
2020年度以前は22万円

(3)失業等による特例免除

3つめが、失業等による特例免除です。
上2つの制度は「前年所得」が基準になっていました。一方、こちらの制度であれば、前年所得にかかわらず失業等のあった月の前の月から免除を受けられます。
世帯主や配偶者がいる人の場合には、次のいずれかの要件を満たしている必要があります。

  • 世帯主や配偶者が所得要件を満たしている
  • 世帯主や配偶者も、失業等の特例に該当している

失業等による特例免除を受けたい場合には、自治体の保険年金課などでご相談ください。

参考:国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間|日本年金機構
参考:ご存じですか?国民年金保険料は、退職(失業)による特例免除があります!!|室戸市

(4)家計に余裕ができたら追納を検討

免除や納付猶予を利用すると、将来受け取れる年金の額が減ってしまう場合があります。
将来受け取れる年金の額の計算方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

年金の特別催告状とは?年金免除制度・申請条件について解説

そのため、家計に余裕が出てきたら「追納」を検討しましょう。
免除や納付猶予を利用していた場合、基本的に過去10年分まで遡って追納が可能です。

追納の申請方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

参考:国民年金保険料の追納制度|日本年金機構

新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減った場合

新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減ってしまった方のための、特例免除もあります。
次の2つの要件を満たしている人が対象です。

  • 2020年2月以降に、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した
  • 2020年2月以降の所得等の状況から見て、当年中の所得の見込が、国民年金保険料の免除等を利用できる水準になることが見込まれる

※記事執筆時点(2022年3月17日)の情報です。最新の情報につきましては、日本年金機構のホームページをご確認ください。

参考:新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除について|日本年金機構

新型コロナウイルス感染症の影響で生活が苦しくなった人向けに、さまざまな支援制度があります。詳しくはこちらをご覧ください。

新型コロナ支援でもらえる・免除される制度まとめ

【借金をしている場合】債務整理を検討しよう

失業で国民年金保険料の支払が困難になってしまっている人の中には、「仕事をしていた頃の借金の支払が厳しい……。」という方も少なくありません。

借金を抱えている人の場合、「債務整理」をすることで、返済の負担を減らしたり無くしたりできる可能性があります。
債務整理では、国民年金保険料など公租公課の支払義務を軽減することはできません。
しかし、債務整理で借金の返済の負担を軽減できれば、その分国民年金保険料の支払が楽になる可能性があるのです。

債務整理には、主に次の3種類があります。

  • 任意整理
    支払い過ぎた利息がないか、負債を正確に再計算します。
    次に、将来発生するはずだった利息を無しにすることや、毎月の支払額を減らすことなどを目指して、個々の債権者と交渉します。
  • 個人再生
    負債を返済できなくなってしまうおそれがある場合に、裁判所の認可を得たうえで、法律に基づき決まった金額を原則3年間で分割して支払っていく手続きです。
    ケースにもよりますが、任意整理よりも大幅に総支払額を減らせることがあります。
    また、条件を満たしていれば、住宅ローンの残った自宅を手放さずに済む可能性もあります。
  • 自己破産
    債務者の財産や収入からは負債を返済できなくなってしまった場合に、裁判所から、原則全ての負債について支払を免除してもらうこと(免責許可決定)を目指す手続きです。
    一定の財産は手放さなければならない場合がある(債権者への配当など)などの注意点はありますが、3つの手続きの中で最も支払の負担を軽くできる可能性があります。

任意整理と個人再生の場合、基本的に財産を手放さなくてよいなどのメリットの反面、数年間支払を続けることが前提となります。
そのため、この2つの手続きをとりたい場合には、近々再就職できるなどの返済のメドが必要となります。

もっとも、どの債務整理が一番適しているのかは、負債の総額や家計の状況などによって異なります。過去の借金について調べてみると、思わぬ過払い金があった、ということも少なくありません。
まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

【まとめ】国民年金の支払が難しい場合には免除や猶予の制度を確認しよう

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 無職の状況でも国民年金保険料の支払義務はあるため、滞納していると「特別催告状」が届いてしまうことがある。
  • 特別催告状を放置し続けると、主に次の3つのデメリットがある。
    • 財産を差し押さえられてしまうおそれ
      (※本人だけでなく、配偶者や世帯主の財産も対象)
    • 延滞金が上乗せされてしまう
    • 将来受け取れる年金の額が減ってしまう
  • 失業や低所得の場合には、主に次の3つの制度で支払の負担を減らせる。
    • 保険料免除制度
    • 保険料納付猶予制度
    • 失業等による特例免除
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で減収した人は、特例免除を受けられる場合がある。
  • 借金も抱えている人は、債務整理を検討することがおすすめ。

免除や納付猶予の制度を利用できるかどうかなどについては、お近くの年金事務所などでご相談ください。

参考:全国の相談・手続き窓口|日本年金機構
参考:電話での相談窓口|日本年金機構

借金を抱えている場合の債務整理については、弁護士にご相談下さい。アディーレ法律事務所では、債務整理手続きを取り扱っております。

アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続きにつき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続きに関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。
また、過払い金が発生していることが分かった場合、過払い金返還請求ができる可能性があります。完済した業者への過払い金返還請求の場合は、原則として過払い金を回収できた場合のみ、弁護士費用をいただいておりますので、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。(2022年3月時点)

債務整理についてお悩みの方は、債務整理を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。