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無職で年金を払えずにいたら特別催告状が届いた!?|免除制度の利用方法

作成日:更新日:
kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「無職で生活に困っているところに、国民年金の『特別催告状』が届いた……。どうすればいいんだろう?」

たとえ無職の方でも、20歳以上60歳未満であれば基本的に国民年金保険料を支払わなければいけません。
そのため、支払わずにいると財産を差し押さえられたり、将来受け取れる年金の額が減ってしまうなどのデメリットがあります。

実は、早めに免除や納付猶予などの制度を利用することで、こうしたデメリットを軽減し、支払の負担を減らすことができます。

この記事を読んで分かること
  • 無職でも国民年金を滞納していると特別催告状が届く
  • 特別催告状を放置し続ける3つのデメリット
  • 無職の場合に利用できる免除や納付猶予の制度
  • 借金がある場合の債務整理
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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無職でも国民年金を滞納していると「特別催告状」が届く!

特別催告状は、納付書や催告状が届いたのに、納付も連絡もせずにいると、届く書面です。特別催告状は、緊急度の違いにより色が異なりますが、「色鮮やかなピンクの封筒が届いて驚いた」という方もいらっしゃるかと思います。

「無職で収入がないのに国民年金なんて支払えない」と思われるかもしれません。しかし、国民年金保険料を支払わずにいれば、特別催告状が届いてしまい、財産の差押さえなどのリスクがあります。

たとえ無職の方でも、原則として国民年金の支払義務を負っているためです。

まず、国民年金の支払義務についてご説明します。

(1)無職でも基本的に国民年金の支払義務がある

国民年金法では、次のように定められています。

第八十八条 被保険者は、保険料を納付しなければならない。

そして、日本に住所がある20歳以上60歳未満で、厚生年金保険に加入していない人は、基本的に全員「被保険者」です(国民年金法7条1項)。

参考:国民年金法|e-Gov法令検索

そのため、たとえ無職で収入がない状態であっても、国民年金保険料を支払う義務はあるということになります。

(2)国民年金は世帯主や配偶者にも支払義務がある

また、国民年金保険料の支払義務を負っているのは本人だけではありません。
世帯主や配偶者も、本人と連帯して支払う義務を負っています(国民年金法88条2項、3項)。

そのため、本人が滞納していると世帯主や配偶者も請求を受け、それでも支払わないでいると特別催告状が届き、最悪の場合には(世帯主や配偶者の)財産を差し押さえられてしまうおそれがあるのです(差押えについては次の項目でご説明します)。

特別催告状を放置する3つのデメリット

特別催告状を放置したままにしておくことには主に次のようなデメリットがありますので、放置せずに次で説明する免除制度などの利用を検討するようにしましょう。

  • 財産を差し押さえられてしまうおそれがある
  • 「延滞金」を上乗せされてしまう
  • 将来受け取れる年金の額が減ってしまう

それぞれについてご説明します。

(1)財産を差し押さえられてしまうおそれがある

1つめのデメリットが、差押えのおそれです。
差押えの対象となる財産には、主に次のものが挙げられます。

  • 預貯金
  • 自宅などの不動産
  • 自家用車 など

特別催告状が届いてから差押えまでは、通常、次のような流れをたどります。

最終催告状が届く

督促状が届く

差押予告通知書が届く

差押え

差押予告通知書には、このままだと差押えを行う、支払意思がある場合には早めに窓口で相談するように、という趣旨の記載があります。
差押予告通知書を放置すると、差押えに至ります。差押えの実行日時が事前に通知されることはありません。
差押えまでの流れについて、詳しくはこちらをご覧ください。

国民年金の滞納で届く特別催告状とは?納付が困難な場合の対処法

無職の人自身の財産が差し押さえられる可能性は高くはないものの…

日本年金機構の令和5年度計画によれば、日本年金機構が差押えを図るのは、主に「控除後所得が300万円以上かつ7か月以上保険料を滞納している場合」とされています。

そのため、無職で収入がない方自身が差押えを受ける可能性は、現時点ではそれほど高くないといえます。

もっとも、法律上、無職の人に差押えをしてはいけないと定められているわけではないので、差押えリスクがゼロとは言えません。
また、本人は差押えを受けずに済んでも、先ほど述べたとおり、世帯主や配偶者の財産が差し押さえられてしまう懸念は残ります。

参考:日本年金機構令和5年度計画|日本年金機構

(2)「延滞金」が上乗せされてしまう

2つめのデメリットが、支払が遅れた日数分の「延滞金」を上乗せされてしまうことです。

納付書の次に届く「督促状」には、納付すべき期限が指定されています。
その期限までに納付すると、延滞金はかかりません。しかし、その期限を過ぎてしまうと、(もともとの)国民年金保険料を支払う期限の翌日から、実際納付する日の前日までの日数分、延滞金が発生してしまうのです。

延滞金の計算方法はこちらをご覧ください。

参考:国民年金保険料の延滞金|日本年金機構

(3)将来受け取れる年金の額が減ってしまう

3つめのデメリットが、将来受け取れる年金の額が、滞納したままにしている月数に応じて減ってしまうことです。

将来、1年間に受け取れる年金の額は次の計算式で求められます。

例えば40年の加入期間があり、そのうち30年間は全額納付したが10年間は滞納のままの場合、受け取れる金額は40年間全額納付した場合の4分の3になってしまいます。
このように、滞納を解消しなかった場合には、受け取れる年金の額が減ってしまうのです。

参考:老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額|日本年金機構

さらに、年金保険料の未納期間があると、将来受け取れる老齢年金が減るばかりでなく、未納期間は『障害年金』・『遺族年金』の受給資格期間に算入もされません。万が一の事態に備えて、国民年金保険料は未納のままにせず、免除等の制度を活用されることをお勧めします。

失業などの際に利用できる制度

失業して無職の場合や低所得の場合には、免除や納付猶予の制度の利用を検討しましょう。免除などの制度を利用することで、支払の負担を軽減できることに加えて、特別催告状を放置することで増加する差押えのリスクも回避することができます。
主な制度は次の3つです。

  • 保険料免除制度
  • 保険料納付猶予制度
  • 失業等による特例免除

それぞれについてご説明します。

(1)保険料免除制度

1つめが、保険料免除制度です。
「本人」「世帯主」「配偶者」の前年所得(1月~6月に申請する場合は前々年所得)が一定以下の場合に、国民年金保険料の支払を免除してもらえる制度です。
免除を受けられる割合には4段階あります。

前年所得の要件を表にまとめましたので、免除を受けられないかご確認ください。

制度前年度所得の基準
全額免除(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円(※)
※2020年度以前は22万円
4分の3免除88万円(※)+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
※2020年度以前は78万円
半額免除128万円(※)+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
※2020年度以前は118万円
4分の1免除168万円(※)+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
※2020年度以前は158万円
※「扶養親族等控除額」「社会保険料控除額等」は、年末調整や確定申告で記載された額です。

参照:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構

(2)保険料納付猶予制度

2つめが、保険料納付猶予制度です。
こちらの制度は、「本人」「配偶者」の前年所得(1月~6月に申請する場合は前々年所得)が一定以下の場合に利用できます。
前年所得は、次の計算式で求められる金額以下である必要があります。

(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円(※)
※2020年度以前は22万円

(3)失業等による特例免除

3つめが、失業等による特例免除です。
上2つの制度は「前年所得」が基準になっていました。一方、こちらの制度であれば、前年所得にかかわらず失業等のあった月の前の月から免除を受けられます。
世帯主や配偶者がいる人の場合には、次のいずれかの要件を満たしている必要があります。

  • 世帯主や配偶者が所得要件を満たしている
  • 世帯主や配偶者も、失業等の特例に該当している

失業等による特例免除を受けたい場合には、自治体の保険年金課などでご相談ください。

参考:国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間|日本年金機構
参考:ご存じですか?国民年金保険料は、退職(失業)による特例免除があります!!|室戸市

※最新の情報につきましては、日本年金機構のホームページをご確認ください。

(4)家計に余裕ができたら追納を検討

免除や納付猶予を利用すると、将来受け取れる年金の額が減ってしまう場合があります。
将来受け取れる年金の額の計算方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

年金の特別催告状とは?年金免除制度・申請条件について解説

そのため、家計に余裕が出てきたら「追納」を検討しましょう。
免除や納付猶予を利用していた場合、基本的に過去10年分まで遡って追納が可能です。

追納の申請方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

参考:国民年金保険料の追納制度|日本年金機構

借金で支払えないときは債務整理を検討する

失業で国民年金保険料の支払が困難になってしまっている人の中には、「借金の支払が厳しくて、国民年金保険料まで手が回らない……。」という方も少なくありません。

借金を抱えている人の場合、「債務整理」をすることで、返済の負担を減らしたり無くしたりできる可能性があります。
債務整理では、国民年金保険料など公租公課の支払義務を軽減することはできません。
しかし、債務整理で借金の返済の負担を軽減できれば、その分国民年金保険料の支払が楽になる可能性があるのです。

債務整理には、主に次の3種類があります。

  • 任意整理
    支払い過ぎた利息がないか、負債を正確に再計算します。
    次に、将来発生するはずだった利息を無しにすることや、毎月の支払額を減らすことなどを目指して、個々の債権者と交渉します。
  • 個人再生
    負債を返済できなくなってしまうおそれがある場合に、裁判所の認可を得たうえで、法律に基づき決まった金額を原則3年間(最長5年間)で分割して支払っていく手続きです。
    ケースにもよりますが、任意整理よりも大幅に総支払額を減らせることがあります(減額の程度は借金の額や保有している財産によって異なります。また、税金等は個人再生によっても減額されません。)。
    また、一定の条件を満たしていれば、住宅ローンの残った自宅を手放さずに済む可能性もあります。
  • 自己破産
    債務者の財産や収入からは負債を返済できなくなってしまった場合に、裁判所から、原則全ての負債について支払を免除してもらうこと(免責許可決定。なお、税金等の非免責債権は免除されません)を目指す手続きです。
    一定の財産は手放さなければならない場合がある(債権者への配当など)などの注意点はありますが、3つの手続きの中で最も支払の負担を軽くできる可能性があります。

任意整理と個人再生の場合、基本的に財産を手放さなくてよいなどのメリットの反面、借金自体は残りますので、数年間支払を続けることが前提となります。
そのため、無職の方でこの2つの手続きをとりたい場合には、近々再就職できるなどの返済のメドが必要となります。

どの債務整理が一番適しているのかは、負債の総額や家計の状況などによって異なります。過去の借金について調べてみると、思わぬ過払い金があって借金を清算できた、ということもあります。
「借金で生活が苦しい」「今までなんとか支払えていたけど物価高で返済が回らなくなった」など、借金でお悩みの方は、弁護士に相談してみることをおすすめします。

【まとめ】国民年金の支払が難しい場合には免除や猶予の制度を確認しましょう

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 無職の状況でも国民年金保険料の支払義務はあるため、滞納していると「特別催告状」が届いてしまうことがある。
  • 特別催告状を放置し続けると、主に次の3つのデメリットがある。
    • 財産を差し押さえられてしまうおそれ
      (※本人だけでなく、配偶者や世帯主の財産も対象)
    • 延滞金が上乗せされてしまう
    • 将来受け取れる年金の額が減ってしまう
  • 失業や低所得の場合には、主に次の3つの制度で支払の負担を減らせる。
    • 保険料免除制度
    • 保険料納付猶予制度
    • 失業等による特例免除
  • 借金も抱えている人は、債務整理を検討することがおすすめ。

免除や納付猶予の制度を利用できるかどうかなどについては、お近くの年金事務所などでご相談ください。

参考:全国の相談・手続き窓口|日本年金機構
参考:電話での相談窓口|日本年金機構

借金を抱えている場合の債務整理については、弁護士にご相談下さい。アディーレ法律事務所では、債務整理手続きを取り扱っております。

アディーレ法律事務所では、債務整理に関するご相談は何度でも無料です。

そして、アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続きにつき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続きに関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。
また、過払い金が発生していることが分かった場合、過払い金返還請求ができる可能性があります。完済した業者への過払い金返還請求の場合は、原則として過払い金を回収できた場合のみ、弁護士費用をいただいておりますので、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。(2023年3月時点)

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