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自己破産したら持ち家は失う?今の家を残す方法を弁護士が解説

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思い出は形に残らないものだとはいえ、思い出の詰まった物を手放したくない人も多いでしょう。特に持ち家は、長い年月をともにするものですから、非常にたくさんの思い出が詰まっていると感じる人も多いのではないでしょうか。
今回は、「自己破産と持ち家の関係」について弁護士が解説します。

自己破産すると持ち家は原則として失うことになる

自己破産では、破産者の財産は破産管財人によってお金に変えられ、債権者に配当されることになりますが、破産者は全ての財産を失う訳ではありません。
99万円以下の現金などの自由財産は、換価されません。また、東京地裁では、一定の種別の財産ごとに20万円を超えない財産は、原則として自由財産が拡張され、換価(お金に変えること)されない運用となっております。東京地裁において、自由財産または自由財産の拡張として、(原則)換価されない財産は、具体的には、1. 99万円までの現金、2. 残高が20万円以下の預貯金、3. 見込額が20万円以下の生命保険解約返戻金、4. 査定額が20万円以下の自動車、5. 居住用家屋の敷金、6. 電話加入権、7. 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の退職金、8. 支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金の8分の7、9. 家財道具、10. 差押禁止動産又は債権です。上記以外の財産は原則として換価されることになりますが、破産管財人の意見により換価されないこともあるとされています。
持ち家等の不動産は、上記の1~9には含まれておりませんので、自己破産をすると原則として持ち家を失うと考えておくべきです。
例外的に、田舎の一軒家など買い手の見つからない物件は、破産者の手元に戻してもらえる可能性もありますが、その場合も、破産者が、その価値相当額を支払う必要があります。

他の親族とともに実家を相続した場合のように、誰かと共同で不動産を所有(共有)することがあります。

具体的な事例を想定してみましょう。

家族構成:父、母、子ども3人
単独で不動産(時価90万円、ローンなし)を所有していた父親が交通事故で亡くなり、遺産分割協議未了のまま(遺言はなし)、長男が自己破産手続きをすることになりました。

持ち家は母、子どもら3人が共同で所有しており、その持分は法定相続分に従い、母親2分の1、子どもらは1人あたり6分の1です。そうなると、長男の持分は、15万円です。
このような場合、破産管財人は、長男の持分を売却してお金に変えることになりますが、共有者である母や他の子どもらが長男の持分を15万円で購入すれば、長男は引き続き持ち家に住み続けることができるでしょう。
共有者が持分を購入することができなければ、第三者に持分を売却することも考えられますが、母や他の子どもらは、引き続き共有物(持ち家)の全部を、その持分に応じて使用することができますので(民法249条)、第三者があえてそのような物件を購入することは多くはないでしょう。そして、買い手が見つからなければ、結局、長男は持ち家を失わずに済みます。もっとも、長男は、持分の価値相当額を支払わなければならないのが原則です。

共有名義となっている家も住めなくなる可能性が……

具体的な事例を想定して、共有名義の不動産についてもう少し詳しく解説します。

家族構成:父、母、子ども1人
単独で不動産(時価900万円、ローンなし)を所有していた父親が交通事故で亡くなり、遺産分割協議未了のまま(遺言はなし)、長男が自己破産手続きをすることになりました。

不動産の持分は、母と長男がそれぞれ2分の1ずつ持っていることになります(価格は450万円)。
長男が自己破産を申立てると、その破産管財人は、長男の持分を売却してお金に換えようとします。もし母親に不動産の持分を買い取れるお金があれば、破産管財人は母親に対して持分を買い取らないかを打診するでしょう。
もし母親に買い取れるだけのお金がないか買い取るつもりがないのであれば、破産管財人は不動産の持分を買い取ってくれる人を探し、見つからない場合には長男の持ち分を競売にかけることが考えられます。
そして、競売で持ち分を売却できれば、破産管財人は、その代金を債権者に配当することになります。
他方、持ち分を購入した人は、いつでも共有物の分割を請求でき(民法256条1項)、共有者間で協議が調わないときは、共有物分割請求訴訟を起こすることができます。共有物分割請求訴訟とは、裁判所に不動産を強制的に分割してもらう手続きのことで、裁判所は、一定の場合には、共有物の競売を命じることができます(民法258条2項)。その場合には持ち家は売却され、その売却代金を持ち分に従い、母親と持ち分の購入者で分けることになります。
以上のように、共有名義の場合でも、破産者の持ち分を本人や母親が買い取っておかなければ、持ち家に住み続けられなくなる可能性があるということです。

持ち家の住宅ローンが残っている場合の注意点

持ち家の住宅ローンが残っている場合には、持ち家を手放さなければならない可能性がさらに高まります。
一般的に、住宅ローン債権者は、住宅に抵当権をつけています。抵当権とは、借りた人が住宅ローンを返済できなくなった場合、住宅を売却できる権利のことです。抵当権は、破産手続外で行使することができます。そのため、借りた人が自己破産の手続きを進めるなど住宅ローンの支払いを停止すると、住宅ローン債権者はその住宅を競売にかけ、その売却代金を優先的に住宅ローンの返済に充てるのです。

共有名義であっても、抵当権が不動産全体についていれば、共有者が競売を拒否することはできません。それどころか、共有者であると同時に連帯債務者や連帯保証人となっている場合には、自らも債務整理をしなければならない可能性があります。

持ち家の名義を他人に変えてはいけない

自己破産によって持ち家を失う可能性があるのは、単独であれ共有であれ、破産者がその不動産を所有している場合です。破産者が住んでいても、所有者が破産者以外であれば、その持ち家を失う心配はありません。

では、自己破産を申立てる前に所有名義だけ別の人に変えればよい、と思うかもしれません。
しかし、自己破産をする以上、法律に則って手続きを進める必要があるため、そのような脱法的行為は許されません。破産管財人には、別の人に変えられた名義を一定の条件に基づき破産者に戻す権限がありますし、場合によっては借金の返済義務の免除が認められないリスクもあります。

自己破産前に持ち家を任意売却するメリット

上記のように、自己破産をする前に、持ち家の名義を形式的に別の人に変えるようなことは許されませんが、自己破産して売却されてしまう前に、持ち家を任意売却することは可能です。
田舎であれば買い手を探すのがなかなか大変かもしれませんが、都心であれば買い手が見つかる可能性も十分にあります。持ち家を任意売却するメリットを2つお伝えします。

(1)任意売却は市場価格と変わらない金額で売却できる

通常、競売にかけられた不動産の売値は、高くても相場の7割程度にしかなりません。
これに対して、ローンを組んでいる金融機関の同意の下、任意売却する場合には市場価格と変わらない金額で売却できる可能性があります。
任意売却するのであれば、不当に安い価格で売却したと指摘されないように、大手不動産業者2社以上から査定を取って、なるべく高く売却するようにしましょう。

(2)自己破産の手続きが短期間で終わる可能性がある

持ち家が任意売却されずに残っていると、持ち家をお金に換えるため、裁判所から破産管財人が選任され「(少額)管財事件」で手続きを進めることになります。
これに対して、自己破産を申立てる時点で既に適正な価格で持ち家が売却され、しかもその代金もローンの支払いに充てられたなど使途が明確であれば、持ち家を理由として「(少額)管財事件」とする必要はありません。他の事情次第では、手続きの簡略化された「同時廃止事件」で進められる可能性もあります。

同時廃止事件であれば、(少額)管財事件よりも手続き費用や弁護士費用が安く済み、また手続きに必要な期間も短くなります。同時廃止事件で進めることができれば、破産者の負担は大きく軽減されることでしょう。

持ち家に住み続けたいなら個人再生や任意整理を検討する!

「個人再生」とは、返済困難な方が、裁判所の認可決定を得た上で、基本的に減額された一定の負債を原則3年で分割返済していく手続きです。

負債の額や保有している資産の額などによって異なりますが、任意整理よりも大幅に負債が減額されることが多いです(公租公課など減額されない負債が一部あります)。

個人再生では、持ち家を手元に残したまま、住宅ローン以外の債務を減額する制度が設けられている点が特徴です(ただし一定の要件を満たさないと当該制度は利用できません。)。負債の減額幅は負債総額及び保有している資産などによって決まっております。なお、保有している資産や負債額などによっては、減額されないケースもありえます。

住宅ローンがない場合でも、個人再生を利用することはできます。ただし、持ち家の価値次第では、そもそも個人再生の手続が開始されない場合や、借金が大幅には減額されない場合もありますので注意が必要です。

借金の総額が少ない場合には、任意整理をするだけで済むかもしれません。
「任意整理」とは、

任意整理とは、原則として

・引き直し計算(適正な利息で負債残高や払いすぎた利息を計算すること)をして、払いすぎたお金があれば、その分負債残高を減らし、

・引き直し計算しても残った負債については、今後発生する利息(将来利息)をゼロにして、元本だけを分割で払っていくことを、借入先と交渉する

手続きです。

任意整理をすることにより、返済の負担を現状よりも減らすことができる可能性があります。

※なお、和解できるかどうか、どのような和解内容になるかは、相手との交渉次第ですので、必ずしも希望する通りの和解に至るわけではありません。

自己破産後も持ち家に住み続ける方法

自己破産後も持ち家に住み続けられる方法がないわけではないので、ご紹介します。

(1)自分で買い取る

破産管財人の許可があれば、自分で持ち家を買い取ることができます。
弁護士に依頼した後、申立書の作成に必要な資料を集めるのと並行して、毎月お金を積み立てていくことになるでしょう。

(2)家族に持ち家を購入してもらう

破産管財人の許可があれば、家族に持ち家を購入してもらうこともできます。
購入価額は大手不動産業者の査定から決められ、原則として一括で支払うことになります。

(3)持ち家をリースバックする

破産管財人の許可があれば、持ち家をリースバックすることもできます。ただし、実際には不動産業者から持ち家を買い戻すことを前提とした契約になるため、破産管財人が認めない可能性も高いでしょう。
リースバックとは、不動産業者に持ち家を買い取ってもらい、不動産業者に家賃を支払いながら住み続ける方法のことです。不動産業者の言い値で売却せずに、適正価格で購入してもらうことが大切です。もっとも、家賃は地域相場と関係なく、不動産業者が設定するため高額になりやすく、家賃を滞納すれば強制退去になるおそれもあります。
せっかく自己破産が認められたのに、家賃が家計を圧迫しては意味がありません。経済生活を立て直すためには、適正な家賃のところに引っ越したほうが良いケースのほうが多いでしょう。

【まとめ】持ち家がある場合の自己破産に関するご相談はアディーレ法律事務所にご相談を!

自己破産をすると、破産者が所有する持ち家は手放さなければならない可能性が高いといえます。住み慣れた持ち家に自己破産後も引き続き住みたいのであれば、個人再生を検討するか、家族に買い取ってもらえないか打診してみましょう。個人再生をする場合には、利息などで借金が膨れ上がってしまわないうちに、なるべく早く弁護士にご相談ください。
もしどうにも借金を支払いきれず、持ち家がある状況での自己破産についてお悩みであれば、アディーレ法律事務所へお気軽にご相談ください。