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リボ払いなどでのショッピング利用に過払い金は発生する?返済が苦しい場合の対処法

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kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「クレジットカードのショッピングで、高額なものを後からリボ払いに変更していたけど、何だかいつまで経っても支払いが終わらない……。広告とかで見る『過払い金』で減らせないかな?」

借金を減額できたり、逆にお金を取り戻せたりする可能性のある「過払い金」ですが、クレジットカードのショッピング利用では基本的に過払い金は発生しません。

もっとも、クレジットカードのキャッシング利用分には、過払い金が発生する可能性があります。
また、ショッピング利用分の支払いが大変な場合、過払い金こそありませんが、「任意整理」などをすることで、支払いの負担を軽減できる可能性もあります。

この記事を読んでわかること
  • ショッピング利用分には過払い金が発生しないこと
  • キャッシング利用分についての過払い金返還請求
  • ショッピング利用分の支払いの負担を軽減するための対処法
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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ショッピング利用と過払い金の関係

それでは、過払い金がどのようなものなのか、ショッピング利用に過払い金が発生するのかについてご説明します。

(1)過払い金とは?

過払い金とは、支払い過ぎた利息のことです。

過去に借入れをしていた貸金業者や、今も借入れがある貸金業者に対して「過払い金返還請求」をすれば、過払い金の全部または一部を取り戻せたり、今残っている借金を減額できたりする可能性があります。

かつて、多くの貸金業者が、利息制限法で定められた上限金利を超える利息を取っていました。
利息制限法の上限金利を超えていても、出資法(正式名称:出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)の上限金利である「29.2%」を超えていなければ、刑事罰などのペナルティがなかったからです。
そのため、上のグラフの「グレーゾーン金利」の高利を取る貸金業者が多かったのです。

しかし、貸金業法が改正され、出資法の上限金利が引き下げられたことで、グレーゾーン金利は撤廃されました。
このグレーゾーンで借金をし、支払い過ぎていた利息は「過払い金返還請求」することができます。

次の2つを両方満たしていると、過払い金返還請求ができる可能性があります。

  1. 2010年(平成22年)6月17日以前に借入れを始めた
    ……2010年6月18日にグレーゾーン金利が撤廃され、以降はほぼ全ての貸金業者が適法な利息を取るようになったためです。ただし、一部の貸金業者ではそれに先駆けて金利を下げていましたので、これ以前の借金についても過払い金が発生していないこともあります。
  2. 最後に返済や借入れをした日から10年以内である
    ……その貸金業者と最後に取引をした日から10年経過していると、過払い金返還請求権が時効で消滅しているおそれがあります。

(2)ショッピング利用に過払い金が発生しない理由

しかし、クレジットカードのショッピング利用については、基本的に過払い金は発生しません。

繰り返しになりますが、「利息制限法」の上限金利をオーバーして返済していた場合に、その分のお金を過払い金として取り戻せたり、借金を減額できたりする可能性があります。
しかし、クレジットカードのショッピング利用について適用されるのは「利息制限法」ではなく、「割賦販売法」です。

利息制限法……お金の貸し借りについて、「利息」の利率などの規制をする法律
割賦販売法……商品やサービスの代金の分割払いについて、「手数料」の手数料率などの規制をする法律

ショッピング利用でリボ払いなどにすることは、「お金の支払いを、一旦待ってもらう」という点では借金と共通しています。
しかし、ショッピングは「お金の貸し借り」とは違うものとして扱われるため、そもそも利息制限法が適用されません

そのため、「『利息制限法の上限金利』を超えて支払ったことが原因の過払い金」は発生しようがない、ということになるのです。

キャッシング利用なら、過払い金が発生している可能性あり

一方、クレジットカードによる取引でも、キャッシング利用については過払い金が発生する可能性があります(キャッシングを利用したことがない方は、ショッピングの支払額を減らせる可能性について「ショッピング利用の支払いが難しいときの対処法」の項目をご覧ください)。

クレジットカードでのキャッシングは、お金の貸し借りなので、「利息制限法」が適用されます。
そのため、過去に貸金業者が利息制限法オーバーの利息を取っていた場合には、過払い金を回収できる可能性があるのです。

キャッシングとショッピングを両方利用している場合の注意点

キャッシングを利用したことがあり、過払い金返還請求をしてみようかと思われた方には、「今も同じ会社のカードをショッピングに使っているんだけど、このカードはそのまま使えるの?」と気になった方もいるのではないでしょうか。

それでは、キャッシングとショッピングを両方利用している方が、過払い金返還請求をする場合の注意点をご説明します。

(1)過払い金とショッピングの残高は相殺される

あるクレジットカード会社に対して過払い金返還請求をする場合、「ショッピング利用はそのまま続けて、キャッシング利用で生じた過払い金について返還請求をする」ということは基本的にできません。

原則として、「キャッシング利用で生じた過払い金」と「ショッピング利用の残高」を相殺して、差額の全部または一部を返してもらうことになります。

例えば、キャッシング利用で60万円の過払い金が発生していて、ショッピング利用の残高が20万円あるという場合、差額の「40万円」を返してもらう権利があるということになります。
その40万円のうち、どれくらいの金額を受け取ることができるかは、そのクレジットカード会社の財政状況や交渉経緯などの、さまざまな事情によって変動します。

同じクレジットカード会社のカードを複数持っている場合も、全てのカードの取引について清算・相殺が行われることとなります。
したがって、

今持っているそのクレジットカード会社のカードは、全て解約される

というのが基本です。

過払い金返還請求をしようとしている会社のクレジットカードで公共料金や家賃などを払っている場合には、請求前に他社のクレジットカードや口座引落しなどに変更しておくことがおすすめです。

(2)請求先の会社のカードを、今後利用できない可能性

また、過払い金返還請求の手続きが全て終わった後も、請求先のクレジットカード会社やグループ会社ではクレジットカードを作成できなくなるケースもあります

過払い金返還請求は、本来支払う必要のなかったはずの利息を取り戻す、正当な権利行使です。
それでも、お金を支払わなければならなくなったクレジットカード会社側では、自社に不利益なことをされたととらえて、そのクレジットカード会社やグループ会社内で「この人は過払い金返還請求をした」という情報が半永久的に残る場合があります。

そのため、そのクレジットカード会社やグループ会社では、クレジットカードを作れなくなる可能性があります(いわゆる「社内ブラック」)。

次にご説明する、いわゆる「ブラックリスト」とは異なり、「社内ブラック」になっても他社のクレジットカード利用には基本的に影響はありません。

(3)過払い金を反映しても支払いが残る場合、「ブラックリスト」に載る可能性

また、「確かに支払い過ぎた利息はあるものの、ショッピング残高の方が高い」など、過払い金を反映しても支払残高があるという場合、過払い金返還請求をすることで、いわゆる「ブラックリスト」に載る可能性があります。

「ブラックリスト」という名称の名簿が、クレジットカード会社や貸金業者にあるわけではありません。「ブラックリスト」というのは俗称です。
個人のクレジットカードやローンの申込み、契約、支払いの状況などの情報を「信用情報」といい、信用情報の中でも「支払いが長期間遅れている」「支払額を減らすための『債務整理』をした」などの情報を「事故情報」と呼びます。
信用情報に事故情報が載っている間は、過払い金返還請求をした会社以外の会社も含め、クレジットカードの新規作成や更新、ローンの新規契約などが難しくなります。この状態を俗に「ブラックリストに載っている」というのです。

「過払い金<残高」の状態で過払い金返還請求をすると、「支払額を減らすために、債務整理をした」という扱いを受け、事故情報を登録される可能性があります。

過払い金の有無などについて正確に計算すれば「過払い金≧残高」と判明する場合でも、請求時点で一旦事故情報が登録され、「過払い金≧残高」と実際に判明した時点で事故情報が削除される場合もあります。
このような場合であれば、事故情報が登録されることによる支障は、それほど長くは続きません。
ただし、「近々車のローンを申し込もうと思っている」など、一時的であれ事故情報が登録されるのは困るという場合には、完済した後に請求することをおすすめします。

事故情報は、一度登録されたら永遠になくならないというわけではありません。

事故情報が登録される期間について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

何をするとブラックリストに載るの?いつまで情報は残るのか解説

対処法|事前に「取引履歴」を取り寄せ、「過払い金≧残高」かどうか見当をつける

事故情報が登録されるリスクを下げるための対処法は、過払い金返還請求をする前に「取引履歴」(そのクレジットカード会社での借入れ・返済の履歴)を取り寄せて、過払い金の有無や金額を計算することです(引き直し計算)。

引き直し計算をすれば、過払い金と残高のどちらが大きいかについてある程度見当をつけられます。

引き直し計算は、取引履歴からご自身ですることも可能です。引き直し計算用のソフトも、ネット上で検索すれば出てきます。
もっとも、数値の入力ミスなどで本来請求できたはずの額よりも小さくなってしまった場合、過小な額でクレジットカード会社との話合いをまとめてしまい、損することにもなりかねません。

過払い金≧残高の場合には依頼することが前提であれば、引き直し計算を無料で行っている法律事務所も少なくないので、一度相談してみることをおすすめします。

ショッピング利用の支払いが難しいときの対処法

「『過払い金』で借金が減るって聞いたけど、そもそも過払い金がないなら減らせないのか……。ショッピングの支払いはどうやって乗り切ればいいんだろう?」

ショッピング利用の支払いの負担も、「任意整理」などの方法によって、軽減できる可能性があります。

(1)ショッピング利用の支払額を減らせる可能性がある「任意整理」とは?

任意整理とは、先ほども出てきた「引き直し計算」で借金の正確な額を求めたうえで、次のような方法で返済の負担を軽減できないか、個々の債権者と交渉する手続きです。

  • 返済期間を長期化することで、毎月の返済額を減らす
  • 今後発生するはずだった利息や手数料(将来利息)をカットすることで、総返済額を減らす

任意整理の場合、確実に支払っていける見込みがあれば、

一部の債権者を、任意整理の対象から外す

ことができます。

例えば、住宅ローンや車のローン、迷惑を掛けたくない保証人がいる借金などを手続きから外し、それ以外の借金について返済の負担減を図るなどの柔軟な対応の余地があります。

クレジットカードのショッピング利用分についても、任意整理を試みることができます(実際に返済の負担を軽減できるかどうかは、交渉次第です)。
特に、手数料が高額にのぼり、なかなか返済が終わらないことのある「リボ払い」について将来利息をカットできれば、毎月の返済額自体はほとんど変わらなくても、早期に完済できる可能性があります。

リボ払いの手数料で総支払額が膨らむ仕組みについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

リボ払いは危険!?借金がふくらんでしまう仕組みや脱出方法を解説

任意整理の注意点

ただし、クレジットカードのショッピング利用分について任意整理をする場合には、次のような注意点があります。

  1. 任意整理についての事故情報が登録される
  2. そのクレジットカードは強制解約になる
  3. ショッピングで分割払いにしていた商品を、クレジットカード会社から引き揚げられるおそれがある

任意整理をする以上、たとえそのクレジットカードを手続きから外しても1.は避けられません。2.についても、そのクレジットカードを手続きから外しても、事故情報の影響で、更新できなくなるおそれがあります。

3.については、例えば他のクレジットカード会社にも返済の大変な借金がある場合、当該クレジットカード会社以外からの借金について任意整理をして、当該クレジットカード会社は任意整理の対象から外すことで、引き揚げを回避できます。

(2)個人再生・自己破産

影響を出したくない借金を手続きから外すことで影響を小さくできる「任意整理」ですが、その分減額幅も小さいケースもあります。
任意整理をしても返済しきれないという場合には、より大きな減額につながる可能性のある「個人再生」や「自己破産」を検討することとなります。

(なお、「任意整理」「個人再生」「自己破産」などを総称して、「債務整理」と呼びます。名前が似ていますが、「任意整理」は「債務整理」のうちの1つです。)

個人再生や自己破産では、原則全ての債務を手続きの対象としなければなりません(一部の債務を隠して手続きを進めたり、一部の債務だけ自分で支払ったりしてしまうと、最悪の場合、手続きがとん挫します)。

  • 個人再生
    ……裁判所から認可を得たうえで、基本的に大幅に減額された債務(例:500万円→100万円、ただし高額な財産がある場合などは変動)を原則3年間で分割払いしていく手続き。一定の条件を満たしていれば、住宅ローンの残った自宅を手放さずに済む可能性がある。
  • 自己破産
    ……裁判所から、原則全ての債務について支払義務を免除してもらうことを目指す手続き。一定の財産は債権者への配当などのために手放さなければならない可能性があるが、もっとも返済の負担を軽くできる可能性あり。

※どちらの手続きでも、税金や養育費など一部の支払義務はそのまま残ります。

【まとめ】ショッピング利用に過払い金は発生しないが、「任意整理」などを行うことで支払いの負担を軽減できる可能性がある

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • クレジットカードのショッピング利用には、過払い金は発生しない。
  • キャッシング利用については、過払い金が発生している可能性がある。
  • ショッピング利用分の支払いが大変なときは、「任意整理」などを行うことで、支払いの負担を軽減できる可能性がある。

ショッピング利用分の支払いが大変なときの対処法として、「任意整理」を中心にご説明しました。任意整理は、一部の債権者を手続きから除外できる可能性がある分、個人再生や自己破産よりも日常生活への影響が小さいからです。

ただし、ある程度借金が減額される可能性があるとはいえ、任意整理は数年間支払い続けることが前提の手続きです。
いつまでもショッピング利用分の支払い債務や借金を抱え続けていては、手数料や利息でどんどん金額が膨らんでしまい、いずれは任意整理をしても完済の見込みがないという状況にもなりかねません。

借金問題は、放置するほど解決からは遠ざかってしまいます。
まずは、弁護士に相談だけでもしてみませんか?

アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続きにつき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続きに関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。
また、完済した業者への過払い金返還請求の手続きの場合は、原則として過払い金を回収できた場合のみ、成果に応じた弁護士費用をいただいておりますので、費用をあらかじめご用意いただく必要はありません(2023年9月時点)。

クレジットカードなどのお支払いについてお悩みの方は、債務整理を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。