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ギャンブル依存症でも自己破産は可能?無事手続きを終えるための注意点

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yamazaki_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「パチンコと競馬で、気づいたら返せないほどの借金に。自分はギャンブル依存症なのかもしれない。でも、ギャンブルが原因の借金だと、自己破産できないって聞いた。これから先、どうすればいいんだろう?」

ギャンブルが原因で返しきれないほどの負債を抱えてしまった場合、自己破産の手続きにおいて裁判所が負債の支払義務を免除してくれない(免責不許可決定を出す)おそれがあります。
これは、ギャンブルで過大な負債を抱えることが、「免責不許可事由」に当たるためです。

しかし、免責不許可事由がある場合でも、裁判所の裁量で免責許可決定が出る可能性もあります。
ギャンブルをきっぱりやめ、誠実に手続きをすれば、負債から解放される可能性もゼロではないのです。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • ギャンブル依存症とは何か
  • ギャンブルが原因で借金を抱えた場合、免責許可決定は出るか
  • 自己破産の手続きにおける注意点
  • 免責許可決定が出なかった場合の対処法
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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ギャンブル依存症とは

ギャンブル依存症とは、自分の意思だけではギャンブルをやめることができず、生活に支障が出ることです。

ギャンブル等依存症対策基本法では、ギャンブル依存症を次のように定義しています。

この法律において「ギャンブル等依存症」とは、ギャンブル等(法律の定めるところにより行われる公営競技、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為をいう。第七条において同じ。)にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態をいう。

引用:ギャンブル等依存症対策基本法2条

ギャンブル依存症では、脳の前頭葉の活動に問題が生じているという研究結果もあります。
ギャンブル依存症には、本人がただ「やめよう」と思うだけでは克服できない、病気としての一面があると言えます。

参考:ギャンブル依存症の神経メカニズム|京都大学

ギャンブル依存症を克服するためには、病院などの専門機関に相談することが大切です。
自分が「ギャンブル依存症」なのではないかと感じた場合の対処法について、詳しくはこちらをご覧ください。

家族がギャンブル依存症かも? 3つの対処法と借金の解決方法を解説

ギャンブルが原因の借金でも自己破産で支払義務を免除してもらえる?

自己破産の手続きのゴールは、裁判所から「免責許可決定」が出て、原則全ての負債についての支払義務から解放されることです(税金など、一部の負債はそのまま残ります)。

しかし、ギャンブルが原因で過大な負債を抱えた場合には、裁判所が免責許可決定を出さない(免責不許可)おそれがあるのです。

それでは、ギャンブルが原因で借金を抱えた場合に、免責許可決定が得られるかについて説明します。

(1)ギャンブルをしていると、「免責不許可」!?

免責許可決定について、破産法は次のように定めています。

裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責決定の許可をする。

引用:破産法252条1項本文

「各号に掲げる事由」がなければ、免責許可決定が出ます。

「各号に掲げる事由」は免責不許可事由と言われ、ギャンブル(賭博)については、次のものがあります。

浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

引用:破産法252条1項4号

ギャンブルは、「賭博」に当たり、ギャンブルが原因で返済しきれないような過大な負債を抱えた場合には、免責許可決定が「原則として」出ないということになります。

(2)「裁量免責」の可能性とは

免責不許可事由があると、「原則として」免責許可決定が出ないと述べました。

実は、免責不許可事由があっても、裁判所は裁量で、免責許可決定を出すことができます。これが裁量免責です。
破産法252条2項では、裁量免責について次のように定めています。

前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。

引用:破産法252条2項

「前項」というのは、免責不許可事由を定めた破産法252条1項のことです。
免責不許可事由があっても、さまざまな事情を考慮のうえ、裁判所は、免責許可決定を出すことができるのです。

実際に免責許可決定が出るかどうかはあくまで個々のケース次第ではあるものの、自己破産で免責許可決定が出た事例の割合は低くありません。

免責許可決定が出るケースが少なくないことについて、詳しくはこちらをご覧ください。

(2-1)裁量免責を出すかどうかでは、どんなことが考慮される?

裁量免責をしてよいかどうかの判断では、主に次のような事項が検討されます。

  • 債務者の属性
  • 負債を負った事情
  • 自己破産に至った事情
  • 免責不許可事由の性質や重大性、債務者の帰責性
    …ギャンブルにどのくらいのお金を使ったか など
  • 債権者がお金を貸すに至った経緯やその後の債権管理の状況
  • 債務者の家計の立て直しに向けた努力や意欲
    …ギャンブル依存症を克服するためのカウンセリングを受けるなど、ギャンブルを辞めるための努力をしているか など
  • 裁判所での自己破産の手続きへの、誠実な協力の有無
    ギャンブルに使ってしまった金額などについて、正直に述べているか など

参考:全国倒産処理弁護士ネットワーク『破産実務Q&A220問』きんざい出版469頁

裁量免責を得られる見込みがあるかどうかについては、弁護士に相談することをおすすめします。

(2-2)免責不許可事由があると、「管財事件」に?

免責不許可事由があると、その深刻さなどにもよりますが、「管財事件」となるのが原則です。
管財事件では、裁判所から選任された「破産管財人」が負債を負うに至った事情等の調査、債権者への配当などの業務を行います。

管財事件について、詳しくはこちらをご覧ください。

管財事件とは?手続きの流れや注意点についても解説

免責許可決定のための注意点

ギャンブルなどの免責不許可事由があっても、裁量免責の可能性はあります。しかし、免責不許可事由については慎重に審査されるます。そのため、裁量免責の可能性を少しでも上げるためには、慎重な対応が必要となります。
それでは、自己破産の手続きを進める上での注意点を説明します。

(1)ギャンブルをきっぱりやめる

ギャンブルを続けているようでは、家計を立て直すための努力や意欲がないと判断され、免責を受けられる可能性はほぼなくなります。きっぱりと、ギャンブルを断つことが必要です。

また、医療機関などで「ギャンブル依存症」の診断を受けた場合には、必要なカウンセリングや治療などをしっかりと受けることで、負債を抱える原因となったギャンブルをやめる努力をする必要があります。

(2)裁判官や破産管財人に非協力的な態度を取らない

ギャンブルで負債が膨らんでしまった場合、どうしても「裁判官や破産管財人に、正直に言いにくい……。」と感じるかもしれません。

しかし、虚偽の内容を申告するなど、手続きに関して不誠実な態度を取ると、ギャンブルとは別の免責不許可事由に当てはまってしまうおそれがあります。

具体的には、次の免責不許可事由に当てはまるおそれがあります。

八 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
九 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
十一 第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。

引用:破産法252条1項8号、9号、11号

それぞれの免責不許可事由について詳しくはこちらをご覧ください。

また、裁判所への出頭期日を正当な理由なく欠席した場合も、今後の生活を立て直していく誠実な意思がないと判断されて裁判官や破産管財人の心証が悪くなり、裁量免責が認められない可能性が高まります。

裁判官や破産管財人に対しては誠実に対応するよう心がけましょう
破産管財人への対処について、詳しくはこちらをご覧ください。

自己破産で破産管財人に嘘はNG!免責不許可事由・詐欺破産罪に要注意

免責許可決定が出なかった場合の対処法

深刻な免責不許可事由があるなど、裁量免責を得られる見込みがほとんどない場合、相談を受けた弁護士は自己破産以外の負担減につながる選択肢を示すものと考えられます。
自己破産以外の支払いの負担減につながる可能性のある手続きには、主に次の2つがあります。

  • 個人再生
  • 任意整理

しかし、これらの手続きは、基本的には数年間支払い続けることが前提となっています。そのため、支払っていくことになる金額を工面できないという場合には、免責不許可となるリスクが高いことを覚悟の上で自己破産の手続きを取らざるを得ないかもしれません。

それでは、自己破産がうまくいかなかった場合の対処法を説明します。

(1)即時抗告

免責不許可決定が出た場合、その決定に対して即時抗告を行うことができます(破産法252条5項)。
即時抗告は、免責不許可の通知が届いてから1週間以内に行う必要があります。

ただし、重大な免責不許可事由があることが明らかな場合などには、即時抗告をしても免責不許可を覆せない可能性が高いです。

(2)個人再生を検討する

個人再生とは、このままでは負債を支払えなくなってしまうおそれがある場合に、裁判所から認可をえたうえで、法律上の基準によって決まった金額を、原則3年間で支払っていく手続きです。

個人再生で支払うこととなる金額は、負債の額や所持している財産などによって決まります。ケースにもよりますが、次にご説明する「任意整理」よりも大幅に減額できることが多いです。

個人再生の場合、「借金の経緯がギャンブルであったこと自体を裁判所が問題視して認可をしない」ということはありません(ただし、個人再生の中でも「小規模個人再生」という方法を選んだ場合、借金の理由によっては債権者からの反対が出て手続きがとん挫するおそれがあります。
このような、債権者からの反対で手続きがとん挫すると見込まれる場合には、債権者の決議が不要な「給与所得者等再生」を検討します)。

自己破産の次に、支払いの負担を軽くできる可能性のある手続きと言える個人再生について、詳しくはこちらをご覧ください。

個人再生のスケジュールと手続終了までにかかる時間を解説

(3)任意整理を検討する

任意整理では、まず、払い過ぎた利息がないか正確な負債額を計算します。

次に、残った負債について、今後発生するはずだった利息(将来利息)のカットや数年間での分割払いにすることで毎月の返済額を減らすなどの負担減を目指して、個々の債権者と交渉します。

任意整理は、「すでに債権者から裁判を起こされてしまった」などの例外を除いて、基本的には裁判所を通す必要のない手続きです。

そのため、裁判所から「ギャンブルで膨らんだ負債を減額することはできない」と言われてしまうことはありません(ただし、債権者が交渉に応じるかどうかはあくまで「任意」です)。

任意整理の場合、全ての債権者に対して確実に滞りなく支払っていけるのであれば、それぞれの債権者について、手続きの対象とするかどうかを選択できます。そのため、住宅ローンや車のローンなど維持したいローンや迷惑をかけたくない保証人のいる借金については手続きの対象とせずに、それ以外の負債について返済の負担減を図るなどといった柔軟な対応が可能です。

任意整理について詳しくはこちらをご覧ください。

任意整理しない方がいいのはどんなケース?手続のメリットや流れも解説

【まとめ】ギャンブルが原因の借金でも、免責許可決定の可能性はある!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • ギャンブル依存症は、本人の意思だけでは克服の難しい精神疾患。病院などの専門機関への相談が必要。
  • ギャンブルが原因で返しきれない負債を抱えた場合、自己破産の手続きにおける「免責不許可事由」があることとなる。免責不許可事由があると、免責許可決定が出ないおそれがある。
  • 免責不許可事由があっても、「裁量免責」が認められる可能性はある。ギャンブルをきっぱりやめることや、誠実に手続きへ対処する必要があることに注意。
  • 免責不許可事由が甚大で裁量免責も見込めない場合や、結局免責不許可となった場合には、個人再生や任意整理などを検討する。

自分の意思だけでは、なかなかやめられないギャンブル。

ギャンブルで抱えてしまった負債を払うためにギャンブルをしたら、負けが込んでかえって負債が膨らんだという方もいるのではないでしょうか。

誠実に自己破産の手続きをすれば、到底支払うことのできない負債から解放される可能性はあります。

そしてそのためには、ギャンブルをきっぱりとやめること(ギャンブル依存症の方の場合は、適切な治療を継続して受けること)が肝心です。

「負債を払うためには、もうギャンブルしかない」という生活から抜け出すために、まずは弁護士に相談してみませんか?

アディーレ法律事務所では、自己破産などの債務整理についてのご相談を無料で受け付けております。

また、アディーレ法律事務所では、万が一免責不許可となってしまった場合、当該手続きにあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用は原則として、全額返金しております(2022年12月時点)。

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