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夫の死後も今の家に住める?配偶者居住権が消滅するのはこういう場合(5)

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リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「夫の死後も、配偶者居住権で自宅に住み続けているけど、この権利がなくなることってあるの?」

配偶者居住権について、これまで意味やそのメリット、デメリットなどを次の4記事にて、ご説明してきました。
今回の記事では、配偶者居住権がなくなる消滅事由について弁護士がご説明します。

夫の死後も今の家に住める?配偶者居住権の意味とメリット(1)
夫の死後も今の家に住める?配偶者居住権のデメリット・注意点(2)
夫の死後も今の家に住める?相続人が配偶者居住権付き建物を所有するデメリット(3)
夫の死後も今の家に住める?配偶者居住権を取得するための要件とは(4)

配偶者居住権を取得したものの、年月が経って、老人ホームに入りたい、配偶者居住権を消滅させたい、と考えることがあるかもしれません。
また、消滅事由の中には、意図せぬタイミングで、居住建物からの立ち退きを迫られてしまうような事由もあります
では、どういった場合に配偶者居住権は消滅するのでしょうか。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

配偶者居住権の消滅事由

(1)配偶者居住権の存続期間の満了

配偶者居住権の期間は、基本的に配偶者の死亡時までですが、遺言や遺産分割協議などで存続期間を定めることができます(民法1030条但書)。
この存続期間が満了すると配偶者居住権は消滅します(民法1036条、597条1項)。
例えば、配偶者居住権の存続期間を「相続開始日から10年」と決めると、相続開始日(被相続人の死亡日)から10年経つと、配偶者居住権は消滅します。

(2)配偶者居住権を取得した配偶者が死亡した場合

配偶者居住権の存続期間を定めなかった場合は、配偶者居住権を取得した配偶者の死亡時までとなります(民法1030条本文)。
配偶者居住権を取得した配偶者が亡くなると、配偶者居住権は消滅し、相続の対象とはなりません(民法1036条、597条3項)。
配偶者居住権は、あくまで「配偶者」のための権利だからです。

(3)居住建物が全部滅失等した場合

居住建物が、地震で全壊してしまったなど、居住建物全体が使用・収益ができなくなった場合は、配偶者居住権は消滅します(民法1036条、616条の2)。

(4)居住建物が、配偶者居住権を取得した配偶者の所有となった場合

居住建物が、配偶者居住権を取得した配偶者の単独所有となれば、配偶者居住権がなくとも配偶者は居住建物の使用収益ができるようになります。
そのため、配偶者が、居住建物の所有権を全部取得すると配偶者居住権は消滅します。
ただし、第三者と配偶者の共有となる場合には、配偶者居住権は消滅しません(民法1028条2項)。

(5)配偶者が配偶者居住権を放棄した場合

老人ホームに入所する等、途中で配偶者居住権が不要になれば、配偶者は、配偶者居住権を、途中で放棄することができます。

(6)居住建物所有者から消滅請求がなされた場合

最後にこれが要注意です。
次のいずれかの場合には、居住建物の所有者は、相当の期間を定めて、配偶者に違反を是正するように催告することができます。
そして、その期間内に違反が是正されない場合には、居住建物の所有者は、配偶者居住権の消滅請求をすることができます(民法1032条4項)。

  • 善管注意義務(民法1032条1項)に違反した場合
    (簡単に言えば、用法に従って建物を大切に扱わなかったという場合です)
  • 配偶者が、居住建物の所有者に無断で、第三者に使用収益をさせた場合
    (無断で居住建物を第三者に貸した場合などです)
  • 配偶者が、居住建物の所有者に無断で、居住建物を増改築した場合
    (無断でバリアフリー工事をすると、無断の増改築に当たる可能性があります)

【まとめ】消滅事由には様々なパターンがある

今回の記事のまとめは次のとおりです。

次の場合に配偶者居住権は消滅します。

  1. 配偶者居住権の存続期間の満了
  2. 配偶者居住権を取得した配偶者が死亡した場合
  3. 居住建物が全部滅失等した場合
  4. 居住建物が、配偶者居住権を取得した配偶者の所有となった場合
  5. 配偶者が配偶者居住権を放棄した場合
  6. 居住建物所有者から消滅請求がなされた場合

配偶者居住権の消滅事由には様々なものがあります。
なかでも、「6.居住建物所有者から消滅請求がなされた場合」は要注意です。
建物所有者から違反を是正するように催告が来た段階で、すぐに違反を是正するか、すぐに専門家に相談することをお勧めします。
この催告を放置しておくと、居住建物から立ち退かざるを得なくなる危険性があるので、素早く対応するようにしましょう。
次回の記事「配偶者居住権とは?(6)配偶者居住権の消滅で発生する権利義務編」では、配偶者居住権が消滅した場合、どのような権利義務が生じるのかご説明します。
配偶者居住権の消滅事由によっては、税金が発生する場合もあるので、ぜひとも押さえておきましょう。

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この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。