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配偶者居住権とは?(5)配偶者居住権が消滅するのはこういう場合編

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配偶者居住権について、これまで、以下の記事にて、ご説明してきました。

配偶者居住権とは?(1)意味とメリット編
配偶者居住権とは?(2)配偶者のデメリット・注意点編
配偶者居住権とは?(3)配偶者居住権付きの建物の所有のデメリット編
配偶者居住権とは?(4)配偶者居住権を取得するための要件編

さて、配偶者居住権を取得したものの、年月が経って、老人ホームに入りたい、配偶者居住権を消滅させたい、と考えることが起きるかもしれません。

どういった場合に配偶者居住権は消滅するのでしょうか。
消滅事由の中には、意図せぬタイミングで、居住建物からの立ち退きを迫られてしまうような事由もあります。

では、詳しくご説明します。

配偶者居住権の消滅事由

(1)配偶者居住権の存続期間の満了

配偶者居住権は、その取得時に存続期間を定めることができます(民法1030条但書)。
この存続期間が満了すると配偶者居住権は消滅します(民法1036条、597条1項)。

例えば、配偶者居住権の存続期間を「相続開始日から10年」と決めると、相続開始日(被相続人の死亡日)から10年経つと、配偶者居住権は消滅します。

(2)配偶者居住権を取得した配偶者が死亡した場合

配偶者居住権の存続期間を定めなかった場合は、配偶者居住権を取得した配偶者の死亡時までとなります(民法1030条本文)。
配偶者居住権を取得した配偶者が亡くなると、配偶者居住権は消滅し、相続の対象とはなりません(民法1036条、597条3項)。

配偶者居住権は、あくまで「配偶者」のための権利だからです。

(3)居住建物が全部滅失等した場合

居住建物が、地震で全壊してしまったなど、居住建物全体が使用・収益ができなくなった場合は、配偶者居住権は消滅します(民法1036条、616条の2)。

(4)居住建物が、配偶者居住権を取得した配偶者の所有となった場合

居住建物が、配偶者居住権を取得した配偶者の単独所有となれば、配偶者居住権がなくとも配偶者は居住建物の使用収益ができるようになります。
そのため、配偶者が、居住建物の所有権を全部取得すると配偶者居住権は消滅します。

ただし、第三者と配偶者の共有となる場合には、配偶者居住権は消滅しません(民法1028条2項)。

(5)配偶者が配偶者居住権を放棄した場合

老人ホームに入所する等、途中で配偶者居住権が不要になれば、配偶者は、配偶者居住権を、途中で放棄することができます。

(6)居住建物所有者から消滅請求がなされた場合

最後にこれが要注意です。

下記のいずれかの場合には、居住建物の所有者は、配偶者に相当の期間を定めて、下記の違反を是正するように催告することができます。
そして、その期間内に是正がなされない場合には、居住建物の所有者は、配偶者居住権の消滅請求をすることができます(民法1032条4項)。

  • 善管注意義務(民法1032条1項)に違反した場合
    (簡単に言えば、用法に従って建物を大切に扱わなかったという場合です)
  • 配偶者が、居住建物の所有者に無断で、第三者に使用収益をさせた場合
    (無断で居住建物を第三者に貸した場合などです)
  • 配偶者が、居住建物の所有者に無断で、居住建物を増改築した場合
    (無断でバリアフリー工事をすると、無断の増改築に当たる可能性があります)

【まとめ】消滅事由には様々なパターンがある

今回の記事をまとめると次の通りです。

次の場合に配偶者居住権は消滅します。

(1)配偶者居住権の存続期間の満了

(2)配偶者居住権を取得した配偶者が死亡した場合

(3)居住建物が全部滅失等した場合

(4)居住建物が、配偶者居住権を取得した配偶者の所有となった場合

(5)配偶者が配偶者居住権を放棄した場合

(6)居住建物所有者から消滅請求がなされた場合


以上の通り、配偶者居住権の消滅事由には様々なものがあります。

なかでも、「(6)居住建物所有者から消滅請求がなされた場合」は要注意です。
建物所有者から違反を是正するように催告が来た段階で、すぐに違反を是正するか、すぐに専門家に相談することをお勧めします。
この催告を放置しておくと、居住建物から立ち退かざるを得なくなる危険性があるので、素早く対応するようにしましょう。

次回の記事「配偶者居住権とは?(6)配偶者居住権の消滅で発生する権利義務編」では、配偶者居住権が消滅した場合、どのような権利義務が生じるのかご説明します。
配偶者居住権の消滅事由によっては、税金が発生する場合もあるので、ぜひとも押さえておきましょう。