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自己破産をすると結婚できない?夫婦への影響や注意点を徹底解説

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自己破産は、借金の返済を免除してもらう手続きです(金など一部を除きます)。
多額の借金を抱えている人にとって自己破産をするメリットは大きいといえます。
一方、どのようなデメリットがあるのかを正確に把握しなければ、ただ不安だけが募る結果になりかねません。そこで、今回は弁護士が「自己破産と結婚」についてお伝えします。

自己破産をしていても結婚できる

大前提として、過去に自己破産をしていても、あるいは自己破産間際でも結婚はできます。
離婚をした女性が100日間再婚できない(民法733条)のと異なり、自己破産をした後一定期間結婚できないとの規定はありません。

自己破産を隠して結婚することはできる?

戸籍や住民票に自己破産をしたことは記載されませんし、配偶者だからといって信用情報を取り寄せることもできません(亡くなった配偶者の信用情報を取り寄せる場合を除きます)。そのため、結婚の10年前(この10年間というのは後ほどご説明します)に自己破産をして、それ以降借金をしていない場合には、結婚相手に自己破産が発覚してしまう可能性は低いでしょう。もっとも、長年隠し通したことが発覚したとき、夫婦の信頼関係が壊れてしまうこともあるので、配偶者には事前に打ち明けておいたほうがいいこともあります。

どのような状況で過去の自己破産を知られてしまうのかお伝えします。

(1)過去の自己破産を結婚相手に知られてしまうケース

自己破産を知られてしまうケースとしては、次の3つが考えられます。

  • 住宅ローンや車のローン、学資ローンを組めない
  • クレジットカードを1枚も持っていない
  • 官報をチェックされる

自己破産をすると、個人情報信用機関に約10年間登録され、ローンを含む借入れができなくなったり、クレジットカードを持てなくなったりします。一定の収入のある人であれば可能なことができないので、結婚相手に不信感を抱かせてしまうかもしれません。
また、官報とは国の発行している新聞のようなもので、破産者の氏名・住所が掲載されます。多くの人は見るものではありませんが、図書館などで検索することもできるため、結婚相手が破産していないかチェックしようと思った時に発覚してしまう可能性があります。

(2)自己破産を隠していたことが離婚の原因になることも?

夫婦がお互いに納得して離婚するのであれば、その理由は問いません。
そのため、「自己破産という重大な事実を隠していた以上信頼できない」との理由でも夫婦がお互いに納得すれば、離婚届を市(区)役所に提出することで協議離婚が成立します。
もっとも、夫婦間での話し合いではまとまらず、家庭裁判所に夫婦関係調整調停を申立てても夫婦のどちらかが離婚したくないと思う場合には、離婚できません。
いくら話し合っても折り合いがつかない場合には、裁判で訴訟という形により決着をつけることになります。

自己破産を理由に離婚する場合、自己破産に至った事情が「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかを裁判所で争うことになります(民法770条1項5号)。過去に自己破産をしたことを隠していたとしても、特に何の問題もなく夫婦として暮らしてきたのであれば、離婚はできない可能性が高いでしょう。逆に働かず家事もしないのに散財している状況では、離婚が認められる可能性があります。そのほか、結婚相手が「昔借金ですごく苦労したから、過去に自己破産したとかお金にだらしない人とは結婚したくない」と結婚前から常々言っていた場合には、離婚できる可能性が高まります。
実際に離婚が成立するかどうかはケースバイケースなので、弁護士に相談しましょう。

(3)これから自己破産する場合にはバレる可能性は高い?

過去に自己破産した場合と異なり、結婚前の同棲期間中に自己破産する場合には相手に知られる可能性が高まります。場合によっては、同一家計の方の通帳のコピーや源泉徴収票の提出を自己破産を申立てた裁判所から求められるなど同棲相手の協力が不可欠なことがあります。そうなると、相手に無断でコピーするわけにもいきませんので、自己破産を打ち明けざるを得なくなるでしょう。
また、少額管財(しょうがくかんざい)と呼ばれる手続きで自己破産を進める場合には、一定期間破産者宛の郵便物が自宅ではなく破産管財人(裁判所の代わりをする弁護士)の事務所に届きますので、同棲相手に不信感を抱かれてしまうかもしれません。
さらに、クレジットカードを持てないなど自己破産によるデメリットも長く続きますので、夫婦生活で支障をきたす可能性がゼロとは言い切れません。

自己破産をした人と結婚する場合の注意点

恋人から自己破産したことを打ち明けられたとき、自己破産のデメリットを正確に把握していなければ、適切に対応できないでしょう。そこで、自己破産をした人と結婚する場合の注意点をお伝えします。

自己破産をすると信用情報に「異動」情報として登録され、いわゆる「ブラックリスト」に載った状態となります。信用情報とは、キャッシングローンの申込状況や返済状況、債務整理の有無などいわば個人の「信用」に関する情報です。クレジットヒストリーともいわれています。

個人情報信用期間に「異動」情報として登録されている場合のデメリットは次の4つです。

(1)クレジットカードを作ることができない

クレジットカードを作ることができません。
家族カードを渡すことはできますが、限度額を低めに設定するなど使い過ぎに対応しておいたほうがいいでしょう。一般的には、家族カードの利用限度額を個別に設定することはできず、本人の利用限度額のうち本人が利用しない分を家族が使えることになります。
家族カードを渡すのが不安な場合には、本人名義のデビットカードやプリペイドカードを作るように提案するのがいいでしょう。

(2)子どもの奨学金の保証人になれない

基本的に子どもの奨学金の保証人になることができません。自己破産をした時期、その時点の収入、年齢、借金の有無・金額によっては保証人になれる可能性もありますが、不安であれば機関保証の利用を検討したほうがいいでしょう。

(3)キャッシングの利用が難しい

キャッシングを利用することができません。
もし「迷惑をかけないから名前だけ貸してほしい」と頼まれても、クレジットカード会社に対する詐欺罪が成立しかねませんので、きっぱりと断りましょう。

(4)ローンの利用が難しい

ローンを利用することができません。
もっとも、住宅ローンを組む場合に、十分な頭金を用意できれば審査に通る可能性もあるので、諦める前に一度申し込んでみるのも1つの方法です。もっとも、利率の高いローンしか審査に通らないことも考えられるので、注意してください。

結婚後に自己破産する場合の注意点

結婚した後に自己破産する場合にどのようなリスクがあるのかを解説します。

(1)財産を処分する必要がある

結婚生活を営んでいると、夫婦で協力して物を購入する機会が多くあるでしょう。
その際、夫婦の共有名義ではなく配偶者の単独名義とするケースもあります。
夫婦がそれぞれお金を支払って購入した場合、その財産の行く末に注意が必要です。

自己破産するためには、原則として、20万円以上の価値のある破産者名義の財産をお金に換えなければなりません。仮にその財産を夫婦2人でお金を出し合って購入したとしても、あくまでも名義で判断されるため、破産者の配偶者がお金を払ったことは原則として考慮されません。

具体的には、次のものの名義が一方配偶者のみになっている場合は注意してください。

  • 住宅
  • 夫婦の共有口座

20万円以上の価値がある破産者名義の財産は、お金に換えられ、債権者に配当されることになります。

持ち分を表記している場合でも、その価値が20万円以上であれば処分・換価の対象になりえます。もっとも、単独名義にしている場合よりも価値が低くなりますので、20万円を超えない可能性も高まるでしょう。

(2)クレジットカードが使えなくなる

借入れをしていたカード会社のクレジットカードは、弁護士に自己破産を依頼すると同時に、強制解約となります。破産者名義でなければ強制解約にはなりませんが、家族カードを利用していた場合には、クレジットカードを利用できなくなります。

(3)配偶者が保証人になっていると自己破産の影響を受ける

自己破産をしても、基本的に破産者の配偶者が影響を受けることはありません。
家族だからといって破産者の借金を背負う法律上の義務はないのです。
例外的に、配偶者が保証人になっている場合には、破産者が返済できなくなった借金を配偶者自ら返済しなければなりません。もし返済できないのであれば、配偶者自身も自己破産を含めた債務整理を検討する必要があります。債務整理をしたり、2、3ヶ月返済を滞納したりすると、配偶者自身もブラックリストに載ってしまうことになります。

(4)子どもに影響を与えることはほとんどない

ブラックリストに載ったままでは、奨学金の保証人になったり、学資ローンを借りたりすることができません。もっとも、子供の進学や就職にあたって自己破産したことが不利益に働くことはないので、子どもに対する影響はほとんどないといえるでしょう。
逆に、自己破産せずに借金を残したまま死亡してしまうと、借金が相続され、子どもに負の財産を残してしまうことになります(子どもが限定承認・相続放棄した場合を除きます)。
子どもに迷惑をかけたくないのであれば、返せない借金を抱え続けるよりも自己破産したほうがいいといえるでしょう。

(5)自己破産の手続き中は仕事が制限される

裁判所に自己破産を申立ててから破産手続きが終了するまで、いくつかの仕事に就くことができません。このような仕事を「制限職種」といいます。
大きく分けて、制限職種には次の2種類があります。

  • 法律上当然に資格の制限を受けるもの
  • 一定の手続きによって資格が使えなくなるもの

破産をするという理由だけで解雇されることはないため、制限職種で働いている場合には、破産することを勤務先に相談してもらうのがいいでしょう。場合によっては、配置転換などで一時的に資格を必要としない仕事をさせてもらえる可能性があります。

(5-1)法律上当然に資格の制限を受けるもの

たとえば、次の職種では資格制限が定められています。

  • 警備員(警備業法14条1項)
  • 交通事故相談員(交通安全活動推進センターに関する規則4条1項2号)
  • 任意後見監督人(任意後見法7条4項、民法847条3号)
  • 遺言執行者(民法1009条)

他人の財産や秘密などの機密情報を扱う仕事に制限職種が多い傾向にあります。

また、破産手続きを開始すると、代理権が消滅します(民法111条1項2号)。
夫婦間で何らかの代理権を与えていた場合には、注意が必要です。

(5-2)一定の手続きによって資格が使えなくなるもの

法律上当然にその仕事をできなくなるケース以外に、一定の手続きが必要なケースもあります。たとえば、生命保険外交員は、法律上当然にその仕事をできなくなるわけではなく、一定の手続きが必要です。

自分の仕事が制限職種にあたるかを知りたい場合には、「〇〇(自分の仕事) 制限職種」と検索するのがいいでしょう。ただし、見つかった情報が正しいとは限らないので、検索して見つかった情報を頼りに一度根拠条文を確認してみてください。
たとえば、「弁護士 制限職種」と検索すると、いくつかのサイトで「制限職にあたる(弁護士法7条4号)」などと書かれていますので、e-Govの「弁護士法」で7条4号をみます。そうすると、制限職種にあたることがわかります。

【まとめ】自己破産についてのご相談はアディーレ法律事務所へ

過去に自己破産をしたことがあっても、結婚できないわけではありません。また、数年前に自己破産したことを配偶者に隠し続けることも不可能ではありませんが、何かがきっかけとなって自己破産が発覚してしまうおそれもないとは言い切れません。円満な結婚生活のためには、あらかじめ打ち明けたほうが良いケースが多いでしょう。
結婚後に自己破産するとなると、破産者名義の財産を処分されてしまったりクレジットカードを使えなくなったりするなどいくつか不都合が生じます。具体的には、債務整理をお願いする弁護士に尋ねてみましょう。
自己破産に関してお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。