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退職金が差押えの対象って本当?差押えを回避する方法は?

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皆さんは、ご自身が勤める会社でいくら退職金を受け取れるか把握していますか。
とあるアンケート調査によると、多くの方が退職金に興味はあるものの、実際にその金額を計算したことのある方は4人に1人にとどまるとのことです。一方で、公的年金への不安が高まる中、「老後資金のために退職金はなくてはならないもの」と考えている人が8割を超えるとのアンケート結果もあります。
退職金の必要性を強く感じるにもかかわらず、その金額がわからなければ漠然とした不安は大きくなるばかりかもしれません。さらに、その退職金がもし借金のカタに奪われてしまうことがあるとしたら、老後の生活は成り立つのでしょうか。
今回は、弁護士が「退職金の差押え」について解説します。老後破産をしてしまわないように、借金の問題はなるべく早く解決しておきましょう。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

老後破産とは?老後破産しやすい人の特徴や今からできる対策を解説

退職金が差し押さえられるまでの流れ

貸したお金が戻ってこないとわかったとき、相手の家に乗り込んで、相手の同意なくお金を持ち出す行為は犯罪です。しかし、相手の同意がなくても法律に則ればお金を強制的に借金の返済に充てることができます。それを「差押え・強制執行」といいます。

法律上明記されている差押禁止財産に該当しない限り、債権者(例:お金を貸した人)は不動産・動産・債権を法律に基づき差し押さえることができます。退職金についても、後述するような差押禁止財産に関する制限はありますが、差し押さえることができる場合があります。

1.借金の返済を滞納した場合と2.税金の支払いを滞納した場合に分けて、その流れをみてみましょう。

(1)借金の返済を滞納した場合

一般的に消費者金融や銀行から借りたお金を返せなくなったとき、次のような流れをたどります。

  1. 督促状が届く
    (通常、支払いを終えるまで、あるいは、次の段階に進むまでに何度か届く)
  2. 裁判所から訴状や支払督促状が特別送達にて自宅等に届く
  3. 「お金を返しなさい」という裁判所からの書面(判決等)が自宅等に届く
  4. 退職金などの差押え

消費者金融などからの連絡を無視しなければ、どこかの段階で消費者金融などと和解契約を締結できる場合もありますので、実際に差押えまで進むかどうかはケースバイケースです。
しかし、話し合いに応じていれば差押えがされないとの保証はありませんし、差押えまで進んでしまった段階で弁護士に依頼しても手の打ちようがないケースが多くあります。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

督促とは?催促との違いや督促状が届いたときの対処法を弁護士が解説

(2)税金を滞納した場合

借金の返済を滞納した場合と税金を滞納した場合で大きく異なるのは、債権者が差押えにあたって裁判所を通じて手続きをする必要があるかどうかです。借金滞納の場合であれば、債権者が個人か法人(会社など)かに関係なく、「お金を返して!」という権利があることなどを公的に証明した文書(裁判所の確定判決など)を取得した上で、裁判所を通じて差押えの手続きを行う必要があります。これに対して、税金を滞納した場合には裁判所の手続きは必要ありません。

一般的に、税金を滞納した場合の流れは、法律に明記されています。
市町村民税を滞納した場合の流れをみてみましょう。

  1. 納期限を過ぎても納付されない場合、納期限から20日以内に督促状が送付される
    (1-2.手紙や自宅訪問などにより納付を催告されることがある)
  2. 給与、預貯金、不動産など滞納者の財産に関して滞納者の同意なく財産調査が行われる
  3. 督促状を発した日から10日を経過した後に差押えが行われる

地方税法331条1項等に「滞納者の財産を差し押えなければならない」と明記されているため、法律上は、支払いをしなければ必ず差押えが実施されることになります。

退職金の差押えの範囲

老後の生活資金として多くの方が強く必要性を感じている退職金。
退職金の全額について差押えが行われてしまうのでしょうか。
もし退職金全額を差し押さえられてしまったら、その人は路頭に迷ってしまうでしょう。
そこで、滞納してしまった人にも法律で一定程度の保護がなされています。

(1)退職金が支払われる前

一般的に、退職金は定年退職時や転職時などその会社を退職するときに受け取るものです。
もっとも、法律上は、退職時にまとめて全額発生するものではなく、給料の後払い的な性質のものとして日々発生するものと考えられています。そのため、退職金規定のある会社で働いている場合、退職していなくても退職金を受け取る権利は発生していることになります。

差押え時の退職金支給額のうち、手取り額の4分の3に相当する金額は差押えが禁止されています(民事執行法152条2項)。ただし、養育費や婚姻生活費用などに関して退職金(請求権)を差し押さえようとする場合には、2分の1に相当する金額まで差し押さえることができます(同条3項)。

(2)退職金が支払われた後

退職金が支払われた後は、手持ち現金や預貯金として扱われ、前記のような差押え禁止の制限はなくなります。
もっとも、現金であれば2ヶ月分の生活費に相当すると考えられている66万円までは手元に残すことができます(民事執行法131条3号、民事執行法施行令1条)。

預貯金について、2021年2月時点において、差押えを禁止する明文規定はありません。そのため、もしそのお金を失うと生活が成り立たなくなるならば、差押禁止債権の範囲変更の申立て(民事執行法153条1項)をすることが考えられます。この手続きにおいて、元々差押え禁止であった退職金が入金されたにすぎず、それを失うと生活が困難になるおそれがあると主張していくことになります。差押えがされた後に不当利得返還請求をする方法もありますが、そのお金を受け取るまでに長い月日を要する可能性もありますので、なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

(3)差し押さえられない退職金もある

法律上、全額差し押さえられないとされている退職金もあります。

  • 中小企業退職金共済法に基づく退職金(中小企業退職金共済法20条)
  • 確定給付企業年金(確定給付企業年金法34条1項)
  • 確定拠出年金(確定拠出年金法32条1項)
  • 社会福祉施設職員等退職手当共済法に基づく退職金(社会福祉施設職員等退職手当共済法14条)

ご自身に支給される退職金が差押え禁止かどうかを知りたい場合には、「〇〇(退職金の名称) 差押え禁止」と調べて見つかった条文をe-Govなどで辿ってみるといいでしょう。中小企業退職金共済法20条のように「退職金等の支給を受ける権利は~差し押えることができない。」と規定されていれば、差押え禁止であるとわかるはずです。

退職金が差押禁止債権にあたる場合でも、銀行口座に入金されてしまうと、通常の預貯金と同様に扱われてしまいます。そのため、必要に応じて差押禁止債権の範囲変更の申立て(民事執行法153条1項)をすることになります。

退職金の差押えを回避する方法

退職金を差し押さえられるのは、借金の返済や税金の滞納など本来支払わなければならないものを支払えなくなったときです。そのため、親族や友人に援助してもらうなどして、滞納しないようにすれば差押えを回避することができます。
もっとも、援助つまり贈与ではなく、お金の貸し借りであれば債権者が変更するだけですので、いずれ財産を差し押さえられてしまうリスクがあります。

自分では返済しきれない借金を抱えてしまった場合には、自己破産や民事再生、任意整理といった債務整理をする方法があります。債務整理をしても税金の支払いは免除されませんが、借金返済の負担が軽減されることで、税金を支払えるようになる可能性もあるでしょう。
また、税金を滞納してしまった場合、税務署や市区町村役場の相談窓口に行って相談すれば、分納などの対応をしてもらえる可能性もあるので、早めに相談することをおすすめします。

【まとめ】退職金を差し押さえられそうな場合はアディーレ法律事務所にご相談ください

退職金の差押えを回避するなら、借金や税金などを滞納しないように注意しなければなりません。もし膨れ上がった借金でお困りならば、アディーレ法律事務所にお気軽にご相談ください。